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キャリアパスって?
キャリアパス制度を導入する企業が増えていますが、キャリアパスについてよく知らない人もいるでしょう。キャリアパスは、従業員の経歴に関連することを指します。
キャリアパスは、自分のキャリアを考える際の重要な指標になりますので、意味を把握しておきたいですね。
まずは意味を確認
【career path】
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
読み方:きゃりあぱす
企業内での昇進・出世を可能とする職務経歴。昇進への早道。
キャリア(career)は、経歴のことを指します。個人が働く中で得た知識や技能、職業上で経験したことすべてが含まれると考えてください。パス(path)は、進むべき方向や道筋を意味しますが、これは抽象的な意味での道を表します。
キャリアパスは、企業が従業員に対して示す「職務経歴への道筋」です。
キャリアパスが注目される理由
近年、キャリアパスを制度として導入する企業が増えています。キャリアパスが注目されるのは、従来の日本型雇用に大きな変化が生じているからです。
個人がキャリアを考える時代になった
従来の雇用条件には、終身雇用制度や年功序列制度が当たり前のように存在していました。かつて企業に就職したら、収入は年齢とともに右肩上がりで増え続け、その企業で定年を迎えて退職するのが一般的でした。個人が自分のキャリアを意識する必要はなかったのです。
しかし、日本経済や世界情勢の変化とともに、そのパターンは消えつつあります。働き方や価値観は大きく変化し、キャリアの選択肢も増えました。一つの企業で定年まで働く人は、大幅に減っています。何より、個人が自分自身のキャリアについて考え、自ら必要な経験や知識を得るために行動することが望まれるようになりました。
キャリアパス制度は企業にも有益
どうすれば昇進できるのか、キャリアアップに何が必要かなどを企業側が明示することで、従業員は自分自身のキャリアについて考えることになります。キャリアパスは、従業員がキャリアについて考える際の重要な指標になるでしょう。
キャリアパス制度の導入は、企業側にも有益です。従業員の意欲向上や採用のミスマッチ防止、適切な人材育成などに活用できるからです。現在の企業が抱える人材不足解消の手段としても、キャリアパスは注目されています。
キャリアパス制度が従業員にもたらすメリット
ここからは、キャリアパス制度が従業員にもたらすメリットを見ていきましょう。3つ紹介します。
従業員が望む未来を描きやすくなる
キャリアパス制度があると、現在の業務がどのようなキャリアにつながるのかを具体的に把握することができます。それを知ることで、おのずと自分のキャリアについて考えるでしょう。最終的に自分がどうなりたいのか、キャリアアップを望むのかどうかなどがより明確になるはずです。
必要なスキルや能力が明確になる
自分が目指す方向性がはっきりすると、その実現に必要なスキルや能力も明確になります。また、今の自分が持つ強みをどのように生かせばいいかも、つかむことができるでしょう。必要な資格や知識を具体的に知ることができるのも、メリットといえます。
モチベーションアップにつながる
目標が定まり、今の自分のやるべきことが明確になると、自然とモチベーションは上がるでしょう。ゴールへの道筋が明確であればあるほど、行動しやすく、意欲が高まる人は多いかもしれません。目指す未来に向かって着実に歩みを進めることで、自信を持てるようになるケースもあります。
キャリアパス制度にはデメリットもある?
メリットが多いように感じるキャリアパス制度には、デメリットもあります。一緒に見ていきましょう。
モチベーションが低下するケースも
キャリアパス制度は、5年後や10年後のキャリアを想定して考えるケースが多いです。そのため、従業員のタイプによっては、未来がイメージできないと思ったり、目標のレベルが高いと感じることがあるでしょう。
また、従業員がキャリアパスの内容に魅力を感じないと、モチベーションが低下し、離職につながるリスクがあります。
キャリア選択の柔軟性が失われる
キャリアパスの内容が固定化すると、状況や企業のニーズ、個人の変化に対応しづらくなります。キャリアパスの固定化は、他のキャリアを選びにくくしてしまうのです。キャリアの選択肢がないように感じると、従業員の意欲の低下につながる可能性が出てきます。
従業員の希望通りにならない可能性がある
キャリアパス制度で昇進や昇格の条件を明示しても、従業員の希望通りにならないパターンも出てくるでしょう。役職に空きがなければ、いくら要件を満たしても希望は叶いません。また、経営状態や状況などが影響し、従業員の希望が認められないケースもあるでしょう。
努力したのに希望通りにならないと、従業員の意欲は大きく下がるはずです。その場合は、企業側が何かしらのフォローをする必要が生じるでしょう。
キャリアパスと関連する言葉を紹介
ここからはキャリアパスと関連する言葉を紹介します。それぞれの意味をチェックしていきましょう。
【career plan】キャリアプラン
自分が持つ目標や願望を実現するために、どのような経歴を積んでいくかの計画を立てることを指します。
【career design】キャリアデザイン
自分の生き方や働き方について、具体的に構想し設計する(デザインする)ことを意味します。自分の性格や強み、ライフスタイルなどを考慮しながら、願望や目標を実現させるために必要なプロセスを明確にすることを指します。
転職情報を見るなら、キャリアパス制度もチェック
転職を考える際、志望企業にキャリアパス制度があるかどうか、キャリアパス制度がある場合はその内容もチェックするといいですね。その企業に入社することで得られるスキルや能力がわかるはずです。
また、キャリアパス制度を確認することで、企業とのミスマッチを防ぐこともできるでしょう。キャリアパス制度は、求人情報や企業の採用サイトに掲載されていることが多いです。
最後に
キャリアパスについて紹介しました。キャリアパス制度があると、キャリア形成を考えるよい機会になります。数年後、自分がどうなっていたいかを具体的にイメージできれば、今やるべきことが明確になるでしょう。キャリアパスを意識し、計画的にキャリアを形成してくださいね。
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益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン