「完全無欠」って何?
「完全無欠」という言葉を聞いたことがあるでしょう。この言葉の意味をご存じですか?
「完全無欠」は、人に対して使うことが多いかもしれません。使う際は注意するほうがいいこともありますので、ぜひチェックしてください。まずは、辞書に掲載されている「完全無欠」の意味を見ていきましょう。
辞書の意味は
かんぜん‐むけつ〔クワンゼン‐〕【完全無欠】
読み方:かんぜんむけつ
[名・形動]欠点や不足がなくて、非のうちどころのないこと。また、そのさま。「—な人格者」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「完全」は、欠けたところや足りないところがまったくないことを表します。「無欠」は、足りないところや欠点がないことの意。同じ意味を表す言葉が重なって使われていることから、完全を強調しているといえるでしょう。
由来は
「完全無欠」の由来については、詳しいことはわかっていません。明治時代の小説家であり、政治家でもあった植木枝盛の著書に「完全無欠」の記述がありますので、この頃から使われていたことがわかります。
「完全無欠」と似た言葉は?
「完全無欠」と似た言葉を見ていきましょう。それぞれの言葉の意味をチェックしていくと、「完全無欠」をより理解できるかもしれません。
「絶対的」
「絶対的」とは、他の何者ともくらべようもない状態や、存在であるさまを表す言葉。「ぜったいてき」と読みます。「絶対的に〜な状態」「絶対的に〜な立場」「〜は絶対的だ」のように用いることが多いでしょう。
《例文》他社に比べて絶対的に有利な立場にいるとはいえ、油断はできない
「完璧」
欠点がまったくないことや、そのさまを表すのが「完璧」です。「かんぺき」と読み、「完ぺき」と表記することも。「完璧を期する」「完璧な〜」「完璧さ」のように使う言葉です。
《例文》彼女の完璧なふるまいに圧倒された私は、負けを確信しました
「コンプリート」
全部そろっているさまや、全部そろえることを意味する「コンプリート」は、英語の「complete」が由来。カタカナ語として根付いていますよね。「コンプリートな状態」「コンプリートする」のように使われています。
《例文》必要なプロセスやステップはすべてコンプリートしているので、安心して挑むことができるでしょう
「完全無欠」と反対の意味を持つ言葉は?
「完全無欠」と反対の意味を表す言葉はあるのか見ていきましょう。3つ紹介します。
「不完全」
欠けたり十分でないところがあったりして、完全ではないことを表すのが「不完全」です。読み方は「ふかんぜん」。「不完全な〜」「不完全な状態」のように使われる言葉です。
《例文》準備が不完全なまま発表することになってしまうが、ベストを尽くそう
「不十分」
足りないところがあることや、完全でないことを表す「不十分」も、「完全無欠」の反対語にあたるでしょう。読み方は「ふじゅうぶん」。「不十分な〜」「証拠不十分」のように用いられています。
《例文》書類不十分で返却になるそうなので、戻ったら即時対応してください
「未完成」
「未完成」とは、まだ完成していないことや、でき上がっていないさまを表す言葉です。「みかんせい」と読みます。「未完成のまま」「未完成の状態」という言い方で使われることが多いでしょう。
《例文》彼の作品は未完成のものばかりだが、それでも人を魅了してやまない
「完全無欠」はどう使う?
ここからは「完全無欠」の使い方を見ていきましょう。注意点、例文、会話例の順に紹介します。
使う際の注意点
「完全無欠」は、自分ではなく他人に対して使うことが多い言葉です。自分に対して「完全無欠」と使うと、「自分は完全な人間である」と強調することになります。親しい人に冗談で言うのは問題ありませんが、ビジネスシーンだと信用を損ねることも。状況や相手によっては、自意識過剰な人と捉えられる可能性もあるでしょう。
また、他人に対して「完全無欠」を使う際、本人に面と向かって言うのは避けるほうがいいことも。「あなたは欠点がなく、足りないところはない」と直接言われても、言われた本人はあまり喜べないかもしれませんね。
「完全無欠」を褒め言葉として使う場合は、相手や状況をよく見て使うようにしてください。
例文を紹介
「完全無欠」を使った例文を紹介します。具体的な使い方をチェックしてください。
《例文》
・完全無欠の人なんて、この世に存在するはずがないと私は思っている
・幼い頃、アニメの完全無欠なヒーローが大好きだった
・亡くなった祖父は、完全無欠の人格者だったとみんなが言っている
・頭がよく、常に周りに気を配る彼女は、この部署にとって完全無欠の存在です
・私の恋愛が上手くいかないのは、相手に完全無欠を求めてしまうからでしょう
いずれの例文も「欠点がなく、足りないことがない」ことを表します。恋愛で相手に完全無欠を求められると、苦しいものがあるかもしれません。欠点があるからこそ、感じる魅力があるということを理解しておきたいですね。
会話で使う場合
「完全無欠」を会話で使うパターンを見ていきましょう。退勤後、先輩と後輩が上司について話しています。
後輩「今度課長になったAさん、判断が早くてビックリしました」
先輩「細かなところまでよく見ておられるけれど、口うるさくは言わないね。人格者だと聞いていたけど、本当かもしれない」
後輩「この間、Bさんが失敗したでしょう。あの件も、まったく怒られなかったそうですよ。それよりも業務フローの見直しをして、ミスが発生しない仕組みづくりを提案されたそうです」
先輩「そういう指導をする上司は会ったことがないな」
後輩「なんだか、完全無欠の上司のように思えてきました」
先輩「完全無欠な人間はいないと思うけど、ちょっと期待してもいいかもしれないね」
一緒に働く人により、仕事のやりがいや楽しさは変わりますよね。会話例のような上司だと、社員のモチベーションは上がるかもしれません。
最後に
「完全無欠」について、意味や似た言葉、反対の意味を持つ言葉、使い方などをまとめました。「完全無欠」は、欠点や不足がないさまを表す言葉。人に対してよく使われます。「完全無欠」を自分に対して使うと、自意識過剰と思われるかもしれません。親しい間の人と冗談で使うのはいいですが、相手や状況を考えて使うようにしたいですね。
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