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「全知全能」とは
「全知全能」が何を意味するのか、知っている人はあまりいないかもしれません。「全知全能」とは、すべてを理解して実行できる能力のこと。「全知全能の神様」のように使われる言葉です。
「全知全能」は、日常で使うこともできますので、意味や使い方を把握しておくといいですね。まずは辞書で調べた意味を見ていきましょう。
意味と読み方
【全知全能】
読み方:ぜんちぜんのう
すべてを理解し、どんなことでも行える能力。「—の神」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「全知」は、すべてを見極める知恵や、完全な知恵を意味する言葉。「全能」は、どんなことでもできることや、完全無欠な能力を表します。
由来は
「全知全能」の由来については、現時点では不明とされています。ギリシャ神話が由来ではないかとする説がありますが、詳しいことはわかっていません。
「全知全能」はどのように使う?
「全知全能」の使い方を紹介します。具体的な使い方を例文で見ていきましょう。
《例1》人は全知全能ではない。そのような人が存在するとしたら、それはきっと神様だろう
すべてを理解し、どんなことでもできる人はおそらく存在しないでしょう。「全知全能」は、知らないことやできないことがない状態を意味しますので、ありえないことですよね。例文は、「全知全能」な人はいない、いるとしたら神様だと考えていることを表しています。
《例2》全知全能の神として知られるのが、ギリシャ神話のゼウスです
ゼウスとは、ギリシャ神話の最高神。天候や社会秩序をつかさどる存在とされています。父神クロノスを王座から追放し、3代目の支配者となりました。正義を守り、義理を重んじて、秩序と安寧を司る「全知全能」の神だとされています。
《例3》全知全能だと思われがちな彼だが、実は料理が苦手らしい
仕事ができ、スポーツも得意。すぐれた人格を持ち、努力家である。そんな人がいたら「全知全能」だと思うかもしれませんね。例文に登場する彼は、なんでもできるけれど、実は料理が苦手。「全知全能」に見える人も、何かしらの欠点や弱点、苦手なことがあるのでしょう。
《例4》全知全能の神だって、今回のことは予測できなかっただろう
上述したように、「全知全能」は神に対して使われることが多い言葉です。神は何でも知っていて、できないことはないと考えられていることが影響しているでしょう。例文は、そんな全知全能の神でも、予想や予測ができないことがあるのではないかということを表しています。
「全知全能」を会話で使う場合は?
「全知全能」を会話で使うパターンを見ていきましょう。母と娘が、亡くなった祖父のことを話しています。
母「あなたは小さな頃からおじいちゃんが大好きだったよね」
娘「うん。やさしくて強くて賢くて、スーパーマンみたいに全知全能だと思っていた。でも、小学校の時に違うってわかったけどね。」
母「どうしてわかったの?」
娘「おじいちゃん、野菜が苦手で、よくおばあちゃんに怒られていたから。でも、大好きなのは変わらなかったよ」
母「おじいちゃん、今頃天国で照れているわね」
小さな頃、家族が「全知全能」に見えていたという人は多いかもしれませんね。例文は、成長するにつれて祖父の苦手とすることがわかったというエピソードです。「全知全能」でないとわかっても、大好きであることに変わりはないというのが素敵です。
「全知全能」と似た言葉
ここからは「全知全能」と似た言葉を紹介します。「完全無欠」「十全」「パーフェクト」について、意味を見ていきましょう。
「完全無欠」
「完全無欠」とは、欠点や不足がなく、非のうちどころのないことを表す言葉。「かんぜんむけつ」と読みます。人に対して用いることが多い言葉で、「完全無欠な人格者」のように使います。
《例文》彼のことを完全無欠な人格者だと思っていたが、それは私の早とちりだったようだ
「十全」
少しも欠けたことがないことや、十分に整っていて、危なげのないことを意味するのが「十全」です。読み方は「じゅうぜん」。「十全を期する」「十全な備え」のように使われています。
《例文》十全な準備をしたので、きっと問題ないだろう
「パーフェクト」
完全であることを意味する「パーフェクト」は、英語の「perfect」が由来のカタカナ語。「パーフェクトな〜」「パーフェクトを心がける」のように使います。
《例文》彼女の仕事はいつもパーフェクトだが、気を抜かずにしっかりとチェックしよう
「全知全能」の対義語は
「全知全能」と反対の意味を持つ対義語を見ていきましょう。「無知」「無能」「凡人」を紹介します。
「無知」
知識がないことや、知らないこと、知恵のないことを意味するのが「無知」です。「無知につけ込む」「無知な〜」のように用いられています。読み方は「むち」。
《例文》相手の無知につけ込むなんて、卑怯としか言いようがない
「無能」
「無能」は、能力や才能がないことや、役に立たないことを意味します。読み方は「むのう」。「無能な〜」「無能無策」のように使います。
《例文》無能なマネージャーだと罵倒され、怒りで体が震えました
「凡人」
普通の人や、ただの人という意味の「凡人」。「ぼんじん」と読みます。「凡人だ」「凡人のように〜」といった使い方をする言葉です。
《例文》私は凡人だが、与えられた場所で誠実に生きているつもりだ
「知恵」に関する慣用句を紹介
「全知全能」のように「知恵」に関連する慣用句を見ていきましょう。
知恵出でて大偽あり(ちえいでてたいぎあり)
人間が素朴であった昔は、自然のままの生活で平和だった。しかし、時代が下り人間の知恵が発達すると、人為的な掟が盛んに作られるようになる。それは、小賢しい知恵が発達したからだという意味。
知恵を借りる(ちえをかりる)
人に相談して、よい考えや方法を教えてもらうこと。
知恵は小出しにせよ
知恵は一時に出してしまわずに、時に応じて少しずつ出すのがよいということ。
最後に
「全知全能」とは、すべてを理解し、どんなことでも行える能力のこと。神を説明する際に用いられることが多い言葉です。「全知全能」は日常やビジネスシーンで使える言葉ですが、使う際は注意するほうがいいことも。使い方によっては、信用を失ったり、自意識過剰と思われたりする可能性がありますので、注意したいですね。
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