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2024.06.26

職場でのハラスメントとは? 種類や定義をわかりやすく解説【社労士監修】

近年、パワハラ、セクハラ、マタハラなど、いわゆる3大ハラスメントに加え、さまざまなハラスメントが注目されています。「多すぎる」と感じるという声もあるようですね。この記事では、厚生労働省による各種のハラスメントの定義に合わせて、最近話題のハラスメントも解説します。

近年、いろいろなハラスメントについて、耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか?

パワハラ、セクハラ、マタハラなど、いわゆる3大ハラスメントだけではなく、「スメハラ」や、「カスハラ」など、さまざまなハラスメントが注目されています。

「いろいろあって、興味深い」と思う人がいる一方で、「ハラスメントの種類が多すぎる」と感じる人もいらっしゃるようですね。また、「そもそも、ハラスメントってどんなもの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

そこで、この記事では、厚生労働省による各種のハラスメントの定義に合わせて、最近話題のハラスメントも解説します。

そもそも「ハラスメント」とは?

まず、ハラスメントの意味を見ていきましょう。ハラスメントとは、一般的には、いやがらせやいじめなど、人を不快にさせるような言動のことです。「不快になる」というのが、人によって違いますので、判断が難しいという声もあるようですね。

グレーゾーンも多く、最近では、「○○ハラスメント」という言葉が増えてきています。「最新の動向についていけているか不安」と感じる人もいらっしゃることでしょう。

そこで、ここからは、厚生労働省による主なハラスメントの定義などを解説します。

(c) Adobe Stock

3大ハラスメント

ハラスメントにもいろいろな種類がありますが、まずは、特に職場で問題視されている3つのハラスメントを見ていきましょう。厚生労働省は、次のようなハラスメントについて、注意喚起をしています。

1:パワハラ

パワハラは、職場におけるパワーハラスメントのこと。聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

厚生労働省は、以下3要素を全て満たす言動を、パワーハラスメントと定義づけています。

・優越的な関係を背景にしているもの
・業務上必要かつ相当な範囲を超えているもの
・働く環境が害されるもの

なお、意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、パワハラは上司から部下に対するものだけに限られません。最近では、部下からのパワーハラスメントである「部下ハラ」なども注目されてきていますよ。

2:セクハラ

セクハラは、セクシャルハラスメントの略称です。「職場におけるセクシャルハラスメント」は、職場で行われる働く人の意に反する性的な言動で、働く人に不利益がある、もしくは働く環境が害されること。なお、セクハラは、大きく分けて次の二つのタイプがあることをご存知でしょうか?

・環境型セクハラ:働く人の意に反するような性的な言動で、働く環境が不快になり、見過ごせないような支障が起こること。つまり、嫌がっている人がいるにも関わらず、性的な発言や行動をとるようなイメージですね。

例としては、肩や腰などにたびたび触る、性的な噂話をする、性的な写真を会社内に飾るなどがあります。一概に、「この程度はセクハラではない」と言い切れない点にも注意が必要ですよ。

・対価型セクハラ:働く人の意に反した性的な言動への対応の仕方によって、解雇や賃金を下げる、昇格対象から外すなど、不利益をもたらすこと。例えば、上司が部下から交際を断られ、腹いせに人事評価を下げるなどは、典型的な対価型セクハラと言えるでしょう。

3:マタハラ

「マタニティハラスメント」の略称で、妊娠や育児などの事情がある人へのハラスメントのこと。例えば、妊娠をした社員に対して、「迷惑なので退職してほしい」などが、わかりやすいマタハラのケースでしょう。マタハラにも、大きく分けると次のような類型がありますよ。

・状態へのいやがらせ:妊娠や出産、つわりなどの状態に対して、不利益になるようなことをしたり、不快な言動をすること。例えば、「忙しい時期に妊娠したなんて迷惑」などの発言などは、状態へのいやがらせ型と言えるでしょう。

・制度等の利用へのいやがらせ:産休や育休など、法律上認められた制度にも関わらず、それを利用することに対していやがらせをすること。「うちの会社は育休を取れる余裕はないから、やめてほしい」などのイメージです。

男性に対して、「男が育休を取るなんておかしい」などの発言も、制度の利用へのいやがらせにあたるでしょう。

なお、厚生労働省は、育児以外にも、介護休業などに関するハラスメントにも注意喚起をしているという点も、おさえておきたいポイントですね。

参考:厚生労働省ホームページ「職場におけるハラスメントの防止のために」

(c) Adobe Stock

その他のハラスメント

ここからは、職場で問題視されやすいハラスメントを一覧表で見てきましょう。中には、近年急激に注目されるようになったものもあります。ハラスメントは、種類が増えてきていると言えるでしょう。そのため、常に最新の情報をキャッチしたいところですよね。

1:スメハラ

「スメルハラスメント」のこと。きつすぎる香水、体臭など、匂いで人を不快にさせるハラスメントです。

2:フキハラ

「不機嫌ハラスメント」のこと。不機嫌な態度をあからさまにすることで、人を不快にさせるハラスメントです。

3:カスハラ

「顧客(カスタマー)ハラスメント」のこと。顧客による長時間の居座りや、土下座の要求、付きまとい、暴言など、ひどすぎる要求やいやがらせを指します。最近では、カスハラ対策のために、名札をイニシャルにするなどの対策を取っている会社や自治体もあるようですよ。

(c) Adobe Stock

4:アルハラ

アルコールに関するハラスメント。例えば、会社の懇親会でお酒を飲むことの強要をするのは、典型的なアルハラです。また、お酒を飲めない人に対して、「飲めばお酒に強くなる」などと言って、無理やり飲ませようとすることや、「上司の注いだお酒は一気飲み」なども、アルハラになる可能性が高いので、注意が必要ですね。

5:ロジハラ

「ロジカルハラスメント」のこと。理屈で人を論破する、人を問い詰めるなどのハラスメントです。「一見正論なので難しい」という声もあるようですね。ですが、相手に共感的な言葉をかけずに、淡々と人を責めるタイプの人は、職場で同僚や部下たちを精神的に追い詰めてしまうことも。こういった場合、「ロジハラ」になる可能性があります。

ロジハラは、間違ったことを言ってはいない場合、明確な境目がわかりにくく、難しいハラスメントと言えるでしょう。

6:SOGIハラ(ソジハラ)

「SOGIハラスメント」の略称です。初めて聞いたという方も多いかもしれませんね。SOGIとは、性的な指向(sexual orientation)と性に関する自認(gender identity)が由来の言葉で、最近注目されつつあるハラスメントです。例えば、「同性愛はおかしい」や、「男たるもの」、「女たるもの」などの発言は、SOGIハラになる可能性がありますので要注意。

参考:厚生労働省 都道府県労働局「多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて
~ 性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内 」

なお、「性的な指向」は、恋愛や性愛の気持ちがどの性別に向くか、もしくは向かないかを指す言葉です。また、「性に関する自認」は、自分の性別をどう捉えているかのこと。人によってSOGIはさまざまで白黒分けることは難しいというのもポイントですよ。

最後に

この記事では、パワハラ、セクハラ、マタハラなどの定義や、さまざまなハラスメントの種類を解説しました。ハラスメントは、仕事をする上で重要なキーワードですので、おさえておくと安心ですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表

行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサルの傍ら、ポジティブ心理学をベースとした研修講師としても活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン

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