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2024.01.07

年休と有給はどう違う? 年休5日義務化も解説【社労士監修】

年休は、「年次有給休暇の略称」です。有給は、「有給休暇」の略称で、年休と同じ意味で使われることもあれば、会社独自の有給でのお休みのことを指す場合もありますよ。この記事では、年休と有給の意味や違い、年休5日義務について解説します。

年休と有給の違いをご存知ですか? 「違いがよく分からない」という方も、多いのではないでしょうか? どちらも職場でよく耳にする言葉ですよね。この記事では、年休と有給の意味や違い、年休5日義務化などを解説します。

年休とは?

「年休」とは、「年次有給休暇」の略称のこと。「年次有給休暇」は、原則、半年勤務を続けることでもらえる「有給」でのお休みです。「年次」という言葉が指すように、毎年年次有給休暇の権利は発生しますよ。「何日もらえるの?」というのも、気になるところですよね。

例えば、フルタイム勤務の人の場合、入社してから半年後に、10日分の権利をもらえることになります。そして、その後は毎年年次有給休暇の日数が増えていきますよ。とはいっても、無限に増えるわけではありません。上限は20日で、勤続6年6か月以上の場合は、毎年20日分の権利が発生します。

ただ、年次有給休暇の権利は、働くべき日の8割以上働いていることが条件になりますので、欠勤が多い場合などは例外パターンも。

なお、この年次有給休暇は、法律で決められている制度です。たまに、「うちは小さい会社だから、年休が取れない」や、「年休制度は、あってないようなもの」などの話を聞くことはありませんか? ですが、実際には、年次有給休暇は、会社の規模は関係なく、当然に発生するものですよ。

有給休暇
(c)AdobeStock

もちろん、「忙しすぎて休みにくい」という事情もあるかもしれません。ですが、法律上の定めは正しく理解しておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省ホームページ「年次有給休暇とはどのような制度ですか」

有給とは?

「有給」とは、「有給休暇」を略した言い方です。「有休」ということもありますが、基本的に同じ意味と考えて良いでしょう。「有給」は、年次有給休暇の略称である「年休」に比べると、意味が広い言葉です。例えば「結婚した社員は、一年以内に7日間有給で休める」など、会社独自で設定している有給休暇もありますよ。

最近では、「バースデー休暇」など、誕生日に有給で休める制度を導入している会社もあるようですね。「お金より時間のほうが大切」という価値観の人からは、「こういう有給休暇が一番嬉しい」と好評のようです。

年休が、法律上定められた最低限の有給休暇であるのに対して、有給は、会社が独自に設定している有給休暇も含んだ、広い意味の言葉と言えるでしょう。ただ、人によっては、年休と有給を特に区別せず、同じ意味で使っていることもあるようです。

年休5日義務化とは?

「年休5日義務化」という言葉を、どこかで見聞きしたことはありませんか? これは、年次有給休暇を、年間5日は確実に取れるようにするという、企業に課せられた義務のこと。

会社は、年10日以上の年次有給休暇の権利がある従業員に対して、権利発生から1年以内に、5日は休ませる必要があるということになります。また、これは「休めたら休む」というものではなく、「必ず休む」ことが必要というのがポイント。

このような義務化の背景には、「休みたくても、遠慮してしまう」という人が多いことがあるようです。たしかに、周りが休んでいない中、自分だけ休むというのは、言い出しにくい人も多いでしょう。

疑問を持つ女性
(c)Adobe Stock

また、上司や経営者が、「休むのは甘えだ」や、「働かない日は無給で当然」というような考え方の場合、「休みたいなんて言える雰囲気ではない」という職場も。年休を取りたいという話をしたところ、しつこく理由を問いただされたという話も耳にします。

実際に、「年休を使えるのは、冠婚葬祭の時のみ」など、独自のルールを設定してしまっている会社もあるようですね。ですが、これは法律に反していることになります。このように根強く残っている「休めない雰囲気」をなんとかするため、2019年4月から「年休5日義務化」という制度が始まりました。

ここ数年の中で、会社で「年間5日間は、必ず年次有給休暇を取るように」などと言われたことがある方も、いらっしゃるでしょう。一方、「うっすら聞き覚えがあるけれど、うちの会社には関係なさそう」と、遠い目をしている方もいらっしゃるかもしれません。実際に、「大企業に勤めている人だけの義務」という誤解をしているケースもあるようです。

ですが、「うちの会社は関係ない」と言われた場合は要注意。というのも、年休5日義務は、企業規模に関わらず、労働基準法で義務付けられている制度だからです。また、「管理職は関係ない」などもよくある誤解。年休5日義務の対象は、管理職も含まれるという点も、おさえておきたいポイントですね。

参考:東京労働局「年5日の年次有給休暇の確実な取得」

年休を勝手に使われるケースも

年休を勝手に使われて困っているという人もいるようです。かなりひどいケースですが、前述の年休5日義務化によって、「書類上だけ休んだことにする」という会社もあると聞きますよ。

ある会社での事例ですが、一年間全く休めていないのに、自分の出勤簿を見ると、「年休」と書かれていて絶句したという人も。そもそも年休は、働いている人が心と体を休め、生活にゆとりを増やすという目的の制度です。勤務した日なのに、出勤簿を改ざんして休んだことにするというのは、かなり悪質ですよね。

ただ、一つ注意したいのは、「勝手に使われた」と誤解するケース。この誤解の背景には、前述の年休5日義務化のルールがあります。この制度上、5日分の年休を確実に取ってもらう必要がありますよね。ただ、働いている人が、「今は忙しいので、落ち着いたら希望日を出します」などと言って、どんどん時間が経ってしまうこともあるようです。「いつか休もうと思っていたら、もう期限が来てしまいそう」という声も耳にしますよ。

上を向く女性
(c)Adobe Stock

こういった背景もあり、「計画年休」という制度を導入している会社もあります。「計画年休」とは、計画的に年休の予定を組み込むことができる制度のこと。なお、会社全体で一斉に休みにするパターンや、チーム別に休んでもらうパターン、人ごとに指定するパターンなどがありますよ。

年休5日の期限ギリギリになって、みんなが一斉に休みたいと言ってくると、会社は困ってしまいますよね。このような事情にも配慮して、確実に年5日は休めるように、労使協定を結んで、あらかじめ年休のタイミングを決めていることもあるのです。このように、会社側の事情がある可能性もありますので、疑問に思った際は、一度会社へ確認してみるのが安心でしょう。

最後に

この記事では、年休と有給の違いや、年休5日義務化、年休を勝手に使われるケースなどを解説しました。会社で働く上で、多くの人に関わるテーマです。また、年休はよく誤解されがちな制度ですので、おさえておきたいですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表

行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサルの傍ら、ポジティブ心理学をベースとした研修講師としても活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン


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