近年、よく聞かれるようになった「マインドフルネス」という言葉。ストレス軽減や集中力アップなどのメリットがあると聞いて、気になっているものの「マインドフルネスって何をするの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「マインドフルネス」の意味や実践するメリット、初心者でも取り入れやすいやり方などをまとめました。
「マインドフルネス」の意味
そもそも「マインドフルネス」とはどんな意味があるのか辞書を見てみると、
今この瞬間の自身の精神状態に深く意識を向けること。またそのために行われる瞑想。2010年代半ば頃からストレス軽減や集中力の向上に役立つ心的技法と見なされ、特に欧米の企業を中心に社員研修などに採り入れる動きがある。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
と記載されています。普段生活していると、将来のことが心配になったり、過去の失敗にとらわれて「心ここにあらず」の状態になってしまうことも多いもの。
「マインドフルネス」によって、ただ目の前のことに集中し、五感を使って感覚を深く味わうことで心が満たされていくのです。
「マインドフルネス」を実践するメリット
心配事や悩みなどで心の中がモヤモヤしてしまう… そんな時は、リラックスできる方法の一つとして、「マインドフルネス」を試してみては? ビジネスの世界で成功した著名人たちも、「マインドフルネス」を実践しています。
ここでは、「マインドフルネス」をすることのメリットをチェックしていきましょう。
1:集中力や記憶力が高まる
「マインドフルネス」を行い、ただ目の前のことに意識を集中させることで、仕事や勉強への集中力が高まることも期待できるでしょう。「今、ここにある」ことを意識すれば、視界がクリアになり、自分が今何をするべきかがわかるようになっていきます。
余計なことを考えてしまい、資格の勉強や作業に集中できない! という方は、実践してみてはいかがでしょうか?
2:ストレスの軽減
普段の生活の中で、過去の失敗を思い出して「あの時こうすればよかった」と後悔したり、将来のことが心配になってしまうこともあるでしょう。いろいろ考えすぎて、心の中に雑念が溜まり精神的に疲れてしまう… ということもあるものです。
「マインドフルネス」で、過去でも未来でもなく今ここに集中することで、心の中がすっきりとし、気持ちを軽くすることができるでしょう。
3:リラックスできる
「マインドフルネス」では、深く呼吸をすることで心を解放していきます。普段仕事や家事に忙しくしていると、無意識に呼吸が浅くなってしまいがち。瞑想をして意識的にゆっくり深く呼吸をすることで、凝り固まった心身をほぐすことができるでしょう。
瞑想をする際に、部屋の照明を少し暗くしたり、心の落ち着く音楽を流したり、お香をたくことでよりリラックスした状態に近づくことができますね。
4:発想力が豊かになる
「マインドフルネス」を実践して、フラットな姿勢でいられることで、先入観や思い込みなどから解放されて、より物事がシンプルに考えられるようになります。既成概念にとらわれることが少なくなり、商品を開発するアイデアが湧いたり、別の視点から物事が考えられる客観性が身につくというメリットも。
Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、「マインドフルネス」を行っていたことで有名で、重要なプレゼンの前には必ず実践していたそうですよ。
「マインドフルネス」のやり方
「マインドフルネスってどんなことをやるの?」と疑問を持つ方に、ここでは日常生活の中で簡単にできる方法をいくつか紹介します。「これなら続けられそう!」と思うものを選んで、実践してみてくださいね。
1:呼吸法
「マインドフルネス」の基本となるのが、呼吸法。ここでは、初心者でも簡単にできる椅子に座って行う呼吸法を紹介します。
1.椅子に背筋を伸ばして座る。目は軽く閉じる、もしくは少し開けてななめ前を見る。
2.息を吸っている時に、おなかや胸がふくらむのを感じる。呼吸はコントロールせず、その時いちばんしたいように呼吸する。
3.息を吐いた時に、おなかや胸元がちぢんでいくのを感じる。
もし、「雑念が湧いているな」と思った時には、再び呼吸に意識を戻します。まずは、1日10分ほど行ってみて、慣れてきたら時間をのばしてみてください。
2:食べる瞑想
黙々と呼吸に集中する瞑想が長続きしない… という場合は、「食べる瞑想」を試してみては? 日々の食事の中で意識したいポイントを見ていきましょう。
1.テーブルの上に、お箸や食事、お盆などを整えて置く。書類など食事以外のものは置かないようにする。一呼吸して、食べ物を味わうというモードに頭と体を切り替える。
2.目の前にある食事を目で見て、香りを感じた後に、味覚を味わう。食器の手触りや、食材の舌触り、嚙む音、飲み込む音などの聴覚も併せて感じてみる。五感を使って食事をする意識をしてみる。食べている最中に、スマホは見ない。
3.食べることは、野菜や動物などの命をいただくこと。目の前の食材を作ってくれた人や動植物に感謝することで、周りのものに生かされているという実感が芽生えることも。テレビやスマホから離れて、目の前の食事と向き合うことで食べることへのありがたさが感じられそうです。
おなかが空いていないのに、お昼の時間になったからと義務的に食べたり、味そのものよりも、体にいい効果があるから食べているということも多いはず。「おなか空いてる?」とおなかの調子と相談してから食べるという習慣が身につくと、食べ過ぎや間食を防止することもできそうですね。
3:歩く瞑想
歩きながら行う瞑想のことを、「歩行瞑想」または「マインドフル・ウォーキング」と呼びます。散歩や通勤中に、歩きながら瞑想ができるのなら一石二鳥ですよね。普通のウォーキングとは何が違うのか見ていきましょう。
1.まずは、大きく息を吸って呼吸を整える。全身の力を抜いてリラックスする。足の裏で地面を踏んでいる感覚を意識する。コンクリートの硬さや、土や砂利の凸凹を感じながらゆっくりと歩き出す。
2.一歩一歩踏み出す時に、重心が移動する感覚を味わっていく。慣れるまでは、「重心が右足に移る」「踵から地面につく」など体の動きを心の中で実況すると、雑念がなくなりやすい。1歩踏み出すごとに「ありがとう」「大丈夫」など、自分が安心する言葉を唱えるのもおすすめ。
歩いている時に、心配事や雑念が思い浮かんだら、また歩くことに意識を戻します。「意識がぶれても、また歩くことに気を戻せばいい」と考えて、気軽に始めてみてくださいね。
最後に
「マインドフルネス」とは、今この瞬間に目を向けて、ありのままを感じる心の状態のこと。日々忙しくて、心に余裕が持てないという方は、通勤途中や食事中、寝る前などの隙間時間に、10分間でも瞑想してみてはいかがでしょうか?
心を解放して、リラックスできる方法の一つとして、取り入れてみるといいかもしれませんね。
TOP画像/(c) Adobe Stock