「純真無垢」とは心が清らかなこと
赤ちゃんや小さな子供を見て、「純真無垢だな」と感じる人もいるでしょう。「純真無垢」は会話などでも使う四字熟語。意味や使い方を把握しておきたいですね。
本記事では「純真無垢」について調べました。この四字熟語が何を意味するのか、一緒に見ていきましょう。まずは、辞書で調べた意味を紹介します。
意味と読み方
【純真無垢】
読み方:じゅんしんむく
[名・形動]清らかでけがれを知らず、心に邪心がまったくないこと。また、そのさま。「幼児の—な魂」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「純真」が表すのは、心にけがれがなく、清らかなこと。悪心や邪な心がないことを意味します。「無垢」の意味も、けがれがなく純真という意味。同じ意味の言葉を重ね、強調しているのです。
人は成長するうちに、何かをたくらんだり、よくないことを考えたりするようになりますよね。嘘や偽り、人を疑う心は誰もが持っているでしょう。
しかし、何も知らない赤ちゃんや小さな子供は、邪心を持っていない状態。「純真無垢」は、赤ちゃんや小さな子供、とても性格のよい人などに対して用いることが多いでしょう。
由来は?
「純真無垢」の由来について、明確なことはわかっていません。しかし、1951年の『善良な罪人』(著者:山本健吉)において、「純真無垢」を使った一文があるため、この頃には存在していたことがわかっています。
「純真無垢」の類語を紹介
ここからは「純真無垢」の類語を見ていきましょう。「純粋無垢」「清浄無垢」「天真爛漫」「ピュア」を紹介します。
「純粋無垢」
「純粋無垢」とは、清らかでまじりけがないことや、雑多なけがれがまじっていないことを意味する四字熟語。「じゅんすいむく」と読みます。心身のけがれがないさまを強調する表現として用いることが多いでしょう。
「清浄無垢」
清らかでけがれのないことや、心身ともにけがれていないことを意味するのが「清浄無垢」です。「せいじょうむく」と読みます。「清浄」は、清らかでけがれがないという意味。「純真無垢」と近い意味を持つ四字熟語です。
「天真爛漫」
飾ったり気取ったりせず、ありのままであることや、無邪気でほほえましくなるようなさまを意味する「天真爛漫」も、「純真無垢」の類語にあたります。読み方は「てんしんらんまん」。「天真爛漫な〜」のように用いることが多いでしょう。
「ピュア」
まじりけのないさまや、純粋、けがれがないさまを表す「ピュア」は、英語の「pure」が由来のカタカナ語。日常でよく使う言葉ですよね。「ピュアな〜」「ピュアさ」のように使われています。
「純真無垢」の対義語は
「純真無垢」の対義語となる言葉を見ていきましょう。「不純」「邪心」「邪念」「煩悩」を紹介します。
「不純」
「不純」とは、純粋でないことや、まじりけのあることを意味する言葉。「ふじゅん」と読みます。まじりけがないことを表す「純」の前に、否定を表す「不」がつくため、純粋でないことを表しています。「不純な〜」「不純だ」「不純さ」のように使うことが多いでしょう。
「邪心」
よこしまな心や悪心を表す「邪心」も、「純真無垢」の対義語です。読み方は「じゃしん」。よこしまな心とは、行いや考えが人の道をはずれ、よくないものという意味。悪心は「あくしん」と読み、恨みを抱いて悪事を働こうとする心を指します。「邪心がある」「邪心を捨てる」といった使い方をすることが多いでしょう。
「邪念」
悪意やたくらみを秘めた、よこしまな考えのこと。「邪念」と読みます。「邪心」の同義語と考えていいでしょう。「邪念を抱く」「邪念のある」のように使われています。
「煩悩」
「煩悩」とは、身心を悩まし苦しめ、煩わせ、けがす精神作用のこと。迷いや苦しみの原因となる心のけがれを指します。読み方は「ぼんのう」。もとは仏教の用語であり、仏教の根本に関わる基本教義のひとつとされています。
仏教における「煩悩」の根本とされるのが、「貪(とん)」「瞋(しん)」「痴(ち)」。貪は貪欲さ、瞋は怒りや憎しみ、痴は無知・無明のことを表すとされ、この3つを総称して「三毒」といいます。
「純真無垢」の使い方
ここからは「純真無垢」の使い方を見ていきましょう。まずは注意点を紹介します。
注意点は?
「純真無垢」を使う際、注意したいのが書き間違いです。「純心無垢」と表記するのは誤用にあたります。漢字のイメージや読み方が似ていますので、混同しないようにしたいですね。変換ミスにも注意してください。
例文
「純真無垢」の具体的な使い方を例文で見ていきましょう。
《例文1》誰もが純真無垢だと感じていた人が、裏で悪事を働いていた。人は見かけによらないものだ。
邪心のかけらもないように見える人が、実は悪事を働いているというのは、実際の社会でもありそうですよね。人を外見だけで判断するのはリスクがあることを感じさせる例文です。
《例文2》彼女は純真無垢だが、あまりに欲がなさすぎて、かえって心配になります。
素直で欲がなく、清らかな人がいると、周りが心配することがあります。例文が表すのは、まさしくそのようなこと。邪心や欲がない人だからこそ、助けたくなりますよね。
《例文3》家族の一員として迎えた保護犬は、とても利口でおとなしい。純真無垢な瞳を見ていると、愛おしさが増す一方だ。
犬や猫といった動物にも、純真無垢を感じることがあるでしょう。癒しを与えてくれる存在だからこそ、最後まで責任を持って飼いたいですね。
会話例
ここからは「純真無垢」を会話で使うパターンを紹介します。出産したばかりの姉を、妹が労っています。
妹「昨日は眠れた?」
姉「うん、ありがとう。この子がよく眠ってくれたから、助かったわ」
妹「赤ちゃん、起きているのね」
姉「さっき起きたばかりなの」
妹「目が開いているね! 純真無垢な瞳を見ていると、心が癒されるよ」
「純真無垢」を感じるのは、瞳が多いかもしれませんね。赤ちゃんや小さな子供を見ていると、気持ちや心が和らぐ人も多いのではないでしょうか?
最後に
「純真無垢」について、意味や使い方、類義語や対義語をまとめました。清らかでけがれのないさまを表す言葉で、赤ちゃんや小さな子供、動物などに対して使うことが多いでしょう。「純心無垢」と書きがちですが、これは誤用。書き間違いや変換ミスに注意したいですね。
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