「暴飲暴食」とは?
「暴飲暴食をつつしむように」といわれたことがある人もいるでしょう。この場合、「暴飲暴食」が何を意味するのか、知っていますか?
「暴飲暴食」は、健康に関することで使うことがありますので、意味や使い方を把握しておきたいですね。まずは、意味を見ていきましょう。
意味と読み方
ぼういん‐ぼうしょく【暴飲暴食】
読み方:ぼういんぼうしょく
[名](スル)度を過ごして飲食すること。むやみに飲んだり食べたりすること。「—して体をこわす」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「暴飲」とは、度を越して酒を飲むこと。「暴食」は、むやみにたくさん食べることを意味します。つまり、「暴飲暴食」は、食べ過ぎることや飲み過ぎること。過度な飲食を指すといえるでしょう。
「暴飲暴食」は、偏った食事や甘いものの摂り過ぎに対しても使います。また、やけ食い・やけ酒、ストレスによる大食いなども「暴飲暴食」に入るといえるでしょう。
「暴飲暴食」と似た言葉
ここからは、「暴飲暴食」と似た言葉を見ていきましょう。3つの言葉を紹介します。
「酩酊」
ひどく酒に酔うことを「酩酊」といいます。多くの場合、「酩酊」は度を越して飲酒した際に起こるもの。「暴飲暴食」に近い意味を持つといえるでしょう。読み方は「めいてい」。「酩酊する」「酩酊状態」のように使う言葉です。
「酔態」
酒に酔っぱらった姿を表す「酔態」。「酔態」も、過度の飲酒により生じます。読み方は「酔態」。「酔態を演じる」のように用いる言葉です。
「牛飲馬食」
「牛飲馬食」とは、牛が水を飲み、馬がまぐさを食うように、多量に飲み食いすることの意。「ぎゅういんばしょく」と読みます。「まぐさ」とは、牛や馬の飼料とする草のこと。むやみやたらと大量に飲み食いすることを表す言葉です。
「暴飲暴食」はどのように使う?
ここからは、「暴飲暴食」の使い方を紹介します。具体的な使い方を例文で見ていきましょう。
《例1》暴飲暴食を続けていたら、健康診断で体重の増え過ぎを注意された
健康診断や人間ドッグなどで、「暴飲暴食」に注意するよう促されるのはよくあることでしょう。食べ過ぎや飲み過ぎが続くと、増えてしまうのが体重ですよね。体重が増えると、さまざまな病気の発症リスクが高まるとされていますので、注意したいところです。
《例2》筋トレが習慣化したおかげで、暴飲暴食を控えるようになった
運動することが習慣になり、体型などに変化が生じると、食べることに意識が向く人も多いでしょう。例文は、筋トレが習慣化したことで、暴飲暴食をしなくなったことを表しています。
会話の例を紹介
会話で「暴飲暴食」を使うパターンを見ていきましょう。ランチタイムに先輩と後輩が話しています。
先輩「昼ごはん、食べないの? スープだけ?」
後輩「はい。昨日の夜、めちゃくちゃお酒を飲んだから、胃がもたれているんです…」
先輩「暴飲暴食はよくないよ」
後輩「わかっているんですけど、つい…」
先輩「何かあったの?」
後輩「実は彼とケンカしてしまって。もう1週間話していないんです。彼から連絡がないし、ストレスが溜まって、昨日はやけ酒をしてしまいました」
先輩「それはしんどいね。私でよければ話を聞くよ」
嫌なことがあったり、ストレスを感じたりしたら、飲み食いが進みがち。気がついたら「暴飲暴食」していたというのは、誰にでもありますよね。会話例は、ストレスから暴飲暴食をする後輩のことを、先輩が心配するさまを表しています。
「食」「酒」に関する慣用句
「暴飲暴食」のように、「食」や「酒」に関する慣用句は他にもあります。いくつかピックアップしましたので、一緒に見ていきましょう。
「酢でも蒟蒻でも」
「酢でも蒟蒻でも」とは、どうにもこうにも手に負えないことのたとえとして用いる言葉。「すでもこんにゃくでも」と読みます。一筋縄ではいかないものや、どうにもこうにも手に追えないこと、あれこれと文句をつけることを表す際に使う言葉です。
《例文》途中入社してきた彼は、何かにつけ文句ばかりつける。酢でも蒟蒻でも食えぬとは彼のことだ
「うまい汁を吸う」
自分は苦労をせずに、自分の地位や他人を利用して多くの利益を得ることを「うまい汁を吸う」といいます。自分の地位を利用して、他の人が努力してつくりあげたものを奪い、利益を得るような行為に対して用いられる言葉です。
《例文》うまい汁を吸すことばかり考えるのではなく、自ら試行錯誤しながら成果をつかむのが大切だ
「他人の飯を食う」
「他人の飯を食う」とは、親元を離れ、他人の家に奉公するなどして、実社会の経験を積むことの意。「たにんのめしをくう」と読みます。師匠の家に居候して勉強したり、他人とともに生活して社会の厳しさを学んだりしながら、さまざまな経験を積むことを表す言葉です。
《例文》息子に会社を継がせるのであれば、まずは他人の飯を食うことで成長してもらいたいと考えています
「酒に別腸有り」
「酒に別腸有り」とは、酒には酒の入る別の腸があることの意。酒量の多少は身体の大小には関係しないことを表す言葉です。読み方は「さけにべっちょうあり」。
酒を飲むことが好きな人が口実として使ったり、大酒飲みを見て「すごいな」と驚くような場合に用いることが多いでしょう。
《例文》健康診断で酒量を減らすようにいわれた父だが、「酒に別腸有り」といっては飲んでいる
「酒は百薬の長」
酒はほどよく飲めば、どんな薬よりも健康のためによいという意味で使う「酒は百薬の長」。「さけはひゃくやくのちょう」と読みます。適量であれば、良薬よりも酒は効果があるという意味で用いる言葉です。
実際は、体質的にアルコールを受けつけない人もいるため、全員にあてはまる言葉ではありません。お酒は飲み方次第で毒にも薬にもなるということを意識したいですね。
《例文》日本酒好きの祖父の口癖は「酒は百薬の長」。毎晩のように晩酌して、楽しんでいる
「酒は憂いの玉箒」
「酒は憂いの玉箒」は、「さけはうれいのたまははき」と読む言葉。酒は心の憂いを取り除いてくれるすばらしい箒(ほうき)のようなものであるという意味を持ちます。嫌なことがあった日に酒を飲むと、箒のように心配事や悩み事を掃き去ってくれるという意味で使います。
《例文》「酒は憂いの玉箒」というが、飲み過ぎてしまうので体にはよくない
最後に
「暴飲暴食」について、意味や使い方、似た言葉などをまとめました。「暴飲暴食」はよくないとわかっていても、つい過度に食べたり飲んだりしてしまうもの。せめて、それが続かないように注意したいですね。
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