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「孤軍奮闘」の意味は?
孤軍奮闘は、応援が一人もこない状況で課題や困難に立ち向かうといった意味の言葉です。
小学館デジタル大辞泉では、”援軍もなく孤立したなかでよく戦うこと。また、誰の援助も受けずに一人で努力すること”と表記されています。
孤軍は「援軍から孤立した状態」、奮闘は「力のかぎり立ち向かう」という意味を表しています。現代の日本では、ビジネスを戦にたとえられることが多く、「孤軍奮闘」もそうした使われ方をします。
たとえば、心を許せる上司や同僚が一人もいないまま営業や商談に向かうなどの場面が「孤軍奮闘」に当てはまります。
「孤軍奮闘」の読み方
「孤軍奮闘」の正しい読み方は「こぐんふんとう」です。孤軍を「狐軍」や「弦軍」と書いたり、「孤」のつくりである「瓜」を「爪」と書くなど、誤りやすい漢字が使われている言葉でもあるので、注意したいところです。
「孤軍奮闘」の正しい使い方を覚えよう!
「孤軍奮闘」の正しい使い方を知ることで、言葉の誤用を防ぐことができます。「孤軍奮闘」の正しい使い方を、例文と一緒に解説しましょう。
正しい使い方
「孤軍奮闘」は本来、チームやグループから孤立している状況で敵や課題、困難に立ち向かう意味で用いられます。
つまり、家族や友人、仕事仲間などのコミュニティに所属しているにもかかわらず、何らかの事情により応援が頼めなくなった場合、それでも目の前の状況を打開するため全力を尽くすのが「孤軍奮闘」です。また、「孤立」の意味を辞書で調べると、「ひとつつまたは1人だけ他から離れて、つながりや助けのないこと」とあります。
このように、「孤軍奮闘」は本来あるべきつながりが絶たれた状態であり、なおかつ、孤立した状況にあっても事態を好転に導くべく死力を尽くす様子でもあります。
「孤軍奮闘」を使った例文3つ
1.真に優れたヒーローは孤軍奮闘でも力を発揮できるものだ。
2.この話の主人公は、親友の命を救うため、夜を徹して孤軍奮闘で走りつづけた。
3.彼を異国の地で孤軍奮闘させたくはなかったが、新事業の成功のためには仕方がなかった。
「孤軍奮闘」の類語はある?
「孤軍奮闘」の類義語には、「孤立無援」、「四面楚歌」、「一匹狼」などが挙げられます。いずれも「味方の支援がない状況で困難に立ち向かう」という意味ですが、意味や使い方が微妙に異なっています。それぞれの類義語の意味を解説します。
孤立無援
「孤立無援」は、「孤軍奮闘」と同様、味方がまったくいない状況を表す言葉です。「孤軍奮闘」は孤立した状況でも懸命に困難に立ち向かう様子を表すのに対し、「孤立無援」は味方がまったくいない状況でもうほとんど打つ手がない、なす術がない状況を表します。
こうした意味から、「孤立無援」のほうが「孤軍奮闘」よりもネガティブな言葉だと言えるでしょう。
四面楚歌
「四面楚歌」も、「味方の支援や応援がない状態」を表す言葉です。「四面楚歌」の場合、「四方を敵に囲まれている」というニュアンスが加わっているので、「孤軍奮闘」よりも八方塞がりである状況を伝えています。
四面楚歌の由来は、古代中国の故事成語にまでさかのぼりますが、現代でも、会社の社長や政治家などの権力者が自分のやり方や考えにこだわった挙句に敵ばかりをつくり、孤立している状況を表す言葉としても用いられています。
一匹狼
「一匹狼」もまた、味方の支援を受けない様子を表す言葉です。ただ、一匹狼の場合は、本人が自ら孤立や孤独を望み、最初から味方・仲間を当てにしていない状態を表すので、「孤軍奮闘」とは少しニュアンスが変わる部分もあります。
英語で「孤軍奮闘」というなら?近い言葉はある?
「孤軍奮闘」の意味を英語で伝えたい場合は、どのような言い回しができるのでしょうか。ストレートに英訳すると、「fight alone (battle)」です。aloneは1人、fightは闘うという意味ですから、まさに「孤軍奮闘」ですね。
まとめ
「孤軍奮闘」は、カジュアルな会話で使われることは少ない言葉ですが、ビジネスシーンではときどき聞く言葉なので、これを機に一般教養としておさえておき、意味や使い方をマスターしておきたいですね。
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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。