「驚き、桃の木、山椒の木」という言葉、聞いたことがある! という方も多いのでは? 一度聞くと耳に残るユニークなことわざですが、あまり使っている人を見たことがないかもしれません。本記事で「驚き、桃の木、山椒の木」の意味や由来、使い方などを見ていきましょう。
「驚き、桃の木、山椒の木」の意味
「驚き、桃の木、山椒の木」の読み方は、「おどろき、もものき、さんしょのき」です。意味を辞書で調べてみると、
「驚き」の「き」に「木」をかけた語呂(ごろ)合わせ。たいそう驚いたの意。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
となり、とても驚いた様子を表しています。「驚き」に続く、「桃の木、山椒の木」の部分には特に意味はないようです。「おどろき」の「き」に「木」を続けることで、語呂を合わせた洒落言葉となっています。会話の中では、略して「おどろき桃の木」と言うことも。
このような掛け言葉が入った言葉遊びの文化は、江戸時代からあったらしく、ものを売る時の口上としても使われていました。「驚き、桃の木、山椒の木」の由来は定かではありませんが、『男はつらいよ』や昭和のテレビアニメ『ヤットデタマン』作品の中で使われたことがあるようです。
「驚き、桃の木、山椒の木」は古い?
「驚き、桃の木、山椒の木」はインパクトのある言葉なので知っている方も多いかもしれませんが、現代ではあまり頻繁に耳にするフレーズではありませんよね。やや古風な洒落言葉であることから、若者が使うことは少なく「もはや死語」と捉えている人もいるようです。
死語とは、昔は使われていたが、現在では話されなくなった言葉のこと。なおかつ冗談まじりに使う言葉なので、その場の状況を見て使った方が良さそうです。
使い方を例文でチェック!
「驚き、桃の木、山椒の木」は、会話の中でどのように使ったら良いのでしょうか? よくあるパターンを例文で紹介します。
1:友人が20歳年下の男性と結婚したそうだ。これはまさに「驚き、桃の木、山椒の木」だね。
衝撃的な知らせを聞いた時に、「驚き、桃の木、山椒の木」を使うこともあります。会った時には全く誰かと付き合っている話をしていなかったのに、いきなり「自分よりも二回り若い人と結婚することになった」という知らせを聞いたらびっくりしますよね。
近年では、歳の差婚はあまり珍しいことではなくなっていますが、いざ身近なところに現れると驚くこともあるでしょう。
2:抽選で1等が当たり、パートナーと温泉旅行に行けることになった。「驚き、桃の木、山椒の木」だ。
この例文のように、思いがけない幸運をゲットできた時にも使われることあります。「驚き、桃の木、山椒の木」は、良い知らせ・悪い知らせ両方に使うことができますが、一般的には良いことが起きて驚いた時に使われることが多いですね。
3:まさか私が試験に合格できるなんて! 「驚き、桃の木、山椒の木」だよ!
良い知らせを聞いて驚いた時には、こんな風に表現することもできますよ。「これはすごく驚いた!」と言うところを、「驚き、桃の木、山椒の木!」と茶目っ気を込めて言うことで、周囲の笑いを誘いますね。
驚きを表す言葉
驚きの感情を表す言葉は、他にもたくさん! 驚いた時の表現のバリエーションを増やしてみてはいかがでしょうか?
1:たまげる
「たまげる」も、会話の中で驚きの感情を伝える時に使われる言葉ですよね。意味を辞書で見ていくと、
[動ガ下一]《「たまきえる」の音変化》非常に驚く。肝をつぶす。びっくりする。たまぎる。「人出の多いのには―・げた」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
となります。漢字で「魂消る」と書くのは、まるで魂が消えるほどにびっくりすることから。知らせを聞いた時以外にも、誰かから大きい声をかけられ驚いた時などにも、「こりゃ、たまげた!」と言ったりしますね。
(例文)
・急に夜道から人が出てきて、たまげたよ。
・まさか2人が結婚するなんて、たまげたよ。
2:腰を抜かす
「腰を抜かす」も時々聞く言葉ですね。意味を見ていくと、
1 腰の関節が外れたり、腰の力がなくなったりして立てなくなる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 驚きや恐れのために立ち上がれなくなる。「恐ろしくて―・した」
という2つの意味があります。恐怖のためにびっくりして動けなくなるような時にも、使われる点が、他の類語との違いですね。思わず腰を抜かして倒れ込んでしまいそうなほど、衝撃を受けたということが伝えられるでしょう。
(例文)
・急に大きい地震が起きて腰を抜かしてしまった。
・お化け屋敷でお化けに襲われて腰を抜かしてしまったよ。
3:寝耳に水
「寝耳に水」は、「ねみみにみず」と読みます。意味は以下の通りです。
《「寝耳に水の入るごとし」の略》不意の出来事や知らせに驚くことのたとえ。「―の話」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「寝耳に水」は、「耳」の字が使われていることから、どちらかというと驚きのニュースを聞いて驚いた時に使われる傾向があります。まったく予想もしていなかったような知らせを聞いて、驚いた時に使えることわざです。
(例文)
・彼女が転勤するなんて、まったく寝耳に水だったよ。
・このタイミングで株価が大暴落するなんて、寝耳に水だった。
驚いた時の英語表現
海外のビジネスパーソンから、思いがけない知らせを聞いた時のリアクションも、英語で表現できると良いですよね。一言で驚きを伝える際には、「Wow!」や「Oh!」が使いやすいでしょう。また、話を聞いて「本当に? 信じられない!」と言いたい場合は、「Really?(本当に?)」。聞いたことが信じられず聞き直す時には、「What?」を使うと良いでしょう。
他にも、「I can’t believe it.(信じられない!)」や「You must be joking.(冗談でしょ?)」、「I’d never had guessed.(思ってもみなかった)」などをセットで覚えておくと、会話が弾みそうですね。
最後に
「驚き、桃の木、山椒の木」は、とても驚いたことを茶目っけを込めて伝える洒落言葉です。ユニークで笑いを誘う表現である一方で、近年ではあまり使われないため、死語のように捉えている人もいるでしょう。びっくりする出来事が起きた時には、本記事で紹介した類語や英語表現を活用してみてくださいね。
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