「二の句が継げない」の意味は
「二の句が継げない」は会話などで使う言葉ですが、正確な意味を知っていますか? 何気なく使っている場合は、正しい意味や適切な使い方を把握しておくといいですね。本記事では「二の句が継げない」について、意味や使い方、語源などを紹介します。
まずは意味や語源を見ていきましょう。
意味と読み方
二(に)の句(く)が継(つ)げ◦ない
読み方:にのくがつげない
次に言う言葉が出てこない。あきれたり驚いたりして、次に言うべき言葉を失う。「あっけにとられて—◦ない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
相手の言動に驚いて言葉が出ない、呆れてしまって言葉を失うといったことは、めずらしくないでしょう。そのような場合に「二の句が継げない」を用いて表現します。
「二の句」とは、次に言い出す言葉のこと。「継げない」は継続しないことを表しますので、「二の句を継げない」は「次に言う言葉が出ない」「次に話す言葉を失う」の意味になります。
語源は
「二の句が継げない」の語源とされるのが、雅楽の朗詠(平安時代に流行った漢文を歌詞にした宮廷歌謡)です。
朗詠は、「一の句」「二の句」「三の句」からなりますが、このうちの二の句は高い声で歌わなければなりません。高音を出すのは息が切れて音が出しにくいことから、二の句につなげるのは難しいという意味で「二の句が継げない」を使うようになったとされています。
誤用に注意
「二の句が継げない」と似た言葉に、「二の矢が継げない」があります。これは、続いて打つべき手段がないことを表す言葉。「二の句が継げない」とは別の意味を表しますので、混同しないようにしてください。
また、「二の句が継げない」を「二の句が告げない」と書くのも誤りです。誤変換や書き間違いに注意したいですね。
「二の句が継げない」の使い方
「二の句が継げない」の使い方を紹介します。シチュエーション、特徴、例文を順に見ていきましょう。
どんなシチュエーションで使う?
「二の句が継げない」を使うのは、他の人の言動に驚いたときです。相手の言動に対して驚いたり呆れたりして、何も言えなくなる状況を表す際に用いることが多いでしょう。
基本的には、ネガティブな感情が沸いて言葉を失う場合に使います。「うれしい」「楽しい」というポジティブな感情に用いることはあまりないと考えてください。
特徴
「二の句が継げない」は、会話で使うことが多いかもしれません。言葉を失ったさまを説明するときに用いられています。書き言葉として使う際も、使い方は同じと考えてください。
「二の句が継げない」は次のような言い回しで使うことが多いでしょう。
・二の句が継げなかった
・二の句が継げない状態
・二の句が継げないように見えた
例文
「二の句が継げない」の具体的な使い方を紹介します。例文を確認してみてください。
《例文1》彼の発言が非常識すぎて、二の句が継げなかった
相手の発言が予想以上で驚き、言葉を失ったさまを表す例文です。自分とあまりに違う感覚や価値観だと、このような反応になることがありますよね。
《例文2》パートナーのとんでもない発言に愕然とし、二の句が継げない状態になった
ケンカになったときや、揉めているような場面では、「二の句が継げない」状態になることがあるでしょう。例文はパートナーの言ったことに言葉を失ったさまを表しています。
《例文3》彼女が、息子が詐欺まがいのことをしていたと知ったとき、二の句が継げないように見えた
身近な人のよくないニュースに言葉を失うというのも、ありえることですね。例文はまさしくそのような状態を表しています。このような思いをするのも、誰かにさせてしまうのも、可能な限り避けたいですね。
「二の句が継げない」の類語
ここからは「二の句が継げない」の類語を見ていきましょう。言い換えの表現として使えるかもしれません。それぞれの意味をチェックしてくださいね。
「毒気に当てられる」
非常識な、また、予想外な相手の行動や話に呆然とするさまを表すのが「毒気に当てられる」です。読み方は「どくけにあてられる」。「毒気」とは、人の気持ちをひどく傷つけるような雰囲気や悪気のこと。基本的には、ネガティブな状況を表す言葉といえます。「二の句が継げない」を言い換える際に使える言葉です。
《例文》クレーマーにまくしたてられて、すっかり毒気に当てられてしまった
「唖然とする」
思いがけない出来事に驚き、呆れて声も出ないさまを表すのが「唖然とする」。「あぜんとする」と読みます。「呆れる」というニュアンスを含みますので、「二の句が継げない」と近い意味を表すといえるでしょう。
《例文》急に上司が怒りだし、暴言を吐かれて唖然とした
「開いた口がふさがらない」
「開いた口がふさがらない」とは、驚いて呆れ、何も言えないさまを表す言葉。「あいたくちがふさがらない」と読みます。この言葉も「二の句が継げない」と同じ意味を表すと考えてください。
「開いた」を「空いた」「明いた」と書くのは誤りです。また「開いた口」を「ひらいたくち」と読むのも誤用になりますので、要注意ですね。なお、「ふさがらない」を「塞がらない」と漢字で書くのはOK。間違いにはなりません。
《例文》彼女の一方的な言い分に開いた口がふさがらなかったが、そういう人間なのだと諦めもついた
「ポカンとする」
「ポカンとする」は、呆然とした状態や、ぼんやりした状態などを表す表現です。驚き呆れて、言葉を失いぼんやりするさまを表す場合に用いることが多いでしょう。この言葉も「二の句が継げない」と近い意味を持ちます。
《例文》社長のあまりの暴君ぶりに、社員はみんなポカンとするばかりだった
「茫然自失」
呆気にとられて、我を忘れてしまうさまを表すのが「茫然自失」です。読み方は「ぼうぜんじしつ」。あまりのことに気が抜けて、ぼんやりするさまを表します。
《例文》あまりに怖かったので茫然自失、しばらく動けなかった
最後に
「二の句が継げない」の意味や使い方、注意点、類語などをまとめました。驚いて言葉が出ないさまを表す慣用句ですが、基本的にはネガティブな感情がわいた場合に使います。他の人の言動に驚き呆れて、何も言えなくなる状態を表現するのに適した言葉です。しかし、そのような状況に陥るのは、可能な限り避けたいですね。
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