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2024.05.12

「木偶の坊」は役に立たない人のこと? 意味や使い方、類語を紹介

「木偶の坊」は「でくのぼう」と読む言葉で、役に立たない人を表します。いい意味とはいえない言葉なので、使う際は十分に注意を払う必要があります。本記事では「木偶の坊」について、意味や使い方、類語をまとめました。

「木偶の坊」の意味は2つ

「木偶の坊」という言葉をすんなりと読める人は少ないかもしれません。宮沢賢治の『雨ニモマケズ』に登場するこの言葉が意味するのは、「役に立たない人」「気の利かない人」。相手を罵る際や、嫌味などに使われることが多いでしょう。

この言葉を使う場合は、相応の注意が必要です。誤用をさけるためにも、正しい意味や適切な使い方を把握しておきたいですね。「木偶の坊」について調べたことを一緒に見ていきましょう。

辞書で調べました

でく‐の‐ぼう〔‐バウ〕【木=偶の坊】
読み方:でくのぼう

1:人形。あやつり人形。でく。
2:役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。また、そのような人をののしっていう語。「この—め」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「木偶」とは、木彫りの人形や、あやつり人形を指します。「坊」は、そういう人であることを表す語。「木偶の坊」は、「木彫りの人形のような人」「あやつり人形のような人」という意味になります。

(c) Adobe Stock

役に立たない人の意味になったのは?

そもそも人形は、人間が動かさない限り、何もできません。これが転じて、人形のように突っ立っているだけの役に立たない人を「木偶の坊」と表現するようになったとされています。

つまり、現在の「木偶の坊」が意味するのは、「役に立たない人」「気の利かない人」「人の言いなりになっている人」。自分が人に言うのも、誰かから言われるのも避けたい言葉といえるでしょう。

「木偶の坊」の使い方

ここからは「木偶の坊」の使い方を見ていきましょう。使うのが難しい言葉だと思う人はぜひチェックしてください。

「木偶の坊」の使い方は?

意味からもわかるように、「木偶の坊」は人に対して使います。誰かの仕事ぶりや言動などを表す際に用いることが多いでしょう。

言い回しとして多いのは、「木偶の坊と言われる」「木偶の坊のように」「木偶の坊だから」など。ほめ言葉やポジティブな意味合いで使うのは、難しいといえるでしょう。

使う際の注意点

上述したように、「木偶の坊」は「役に立たない人」「気が利かない人」「人のいいなりになっている人」などを意味します。基本的には相手を責めるときや、嫌味を言うときに用いることが多いでしょう。そのため、この言葉を使う場合は、細心の注意を払わなければなりません。

ビジネスシーンで使うのは、避ける方が賢明です。場合によっては、ハラスメントや人権問題につながるかもしれません。相手を責めたい気持ちになったとしても、まずは落ち着き、冷静になって言葉を選ぶようにしたいですね。

(c) Adobe Stock

例文を紹介

「木偶の坊」の具体的な使い方を例文で見ていきましょう。

《例文》
・木偶の坊だと言われていた新人だが、取引先にほめられてからメキメキと実力をつけた
・チームに貢献できず、ミスばかりの自分はただの木偶の坊だ
・複数のトラブルが生じて大混乱だったのに、私は木偶の坊のように何もできないでいた
・彼はやさしい人だけど、親の前では木偶の坊。親のいいなりだとわかった

いずれの例文も「役に立たない人」「気が利かない人」「人のいいなりになっている人」の意味を表しています。

「木偶の坊」を会話で使う

「木偶の坊」を会話で使うパターンを見ていきましょう。先輩と後輩が仕事について話している場面をイメージしてください。

先輩「最近元気がないけど、どうしたの? 何かあったの?」
後輩「実は、この仕事をすればするほど、自分には向いていないと感じてしまうんです」
先輩「どうして?」
後輩「昨日の会議もそうでしたが、何も発言できずに終わってしまいました。自分は何も言えない木偶の坊だと思うと、情けなくて…」
先輩「そんなふうに思っていたのね。よかったら、もう少しゆっくり話さない? 今日のランチ、一緒にどうかな?」

会話例は、仕事で活躍できない自分を「木偶の坊」にたとえて落ち込むさまを表しています。仕事で失敗が続いたり、思うように動けなかったりすると、自分は役立たずだと思ってしまうかもしれません。そんなときは、会話例のように、誰かに気持ちを打ち明けてみるのもいいですね。

「木偶の坊」の類語は?

「木偶の坊」の類語を見ていきましょう。「でれ助」「唐変木」「ぼんくら」「ノータリン」の4つを紹介します。

「でれ助」

でれでれしている男や、好色でしまりのない男を意味する「でれ助」。「でれすけ」と読みます。「でれでれしている」とは、態度や姿勢にしまりがなく、だらしのないさまや、男性が女性にだらしのない態度をとるさまを表す言葉。「でれ助」は、男性に対して使われる言葉です。

《例文》「女性の前ででれでれしてばかりだと、でれ助だと揶揄されるよ」と先輩に注意された

「唐変木」

「唐変木」とは、気のきかない人物や、物分かりの悪い人物をののしっていう語。「とうへんぼく」と読みます。「木偶の坊」と近い意味を持ち、使い方も似ています。日常会話で使われることはほとんどありませんが、物語や演劇などで用いられることがあります。

《例文》あの緊迫したシーンで、主人公が「唐変木のくせに!」っていうところ、なんだか私がビクビクしたわ

「ぼんくら」

ぼんやりしていて物事の見通しがきかないことや、そのような人、そのさまを表すのが「ぼんくら」です。漢字だと「盆暗」と表記しますが、この言葉は博打が由来。盆の上での勝負に対する目利きが暗い、つまり「勝負によく負ける人」を「盆暗」と呼んだことから、広まったとされています。

《例文》彼のことをぼんくらだと思っていたけど、どうやら私の勘違いだったみたい

(c) Adobe Stock

「ノータリン」

脳みそが足りない、つまり頭の働きが鈍いという意味の「ノータリン」。人をののしる際に使うことが多い言葉です。漢字では「脳足りん」と表記しますが、「ノータリン」とカタカナ表記されることがほとんど。「木偶の坊」同様、この言葉を使うのは避ける方がいいでしょう。

《例文》子供の頃、兄からノータリンと言われて大げんかになったことを思い出したよ

最後に

「木偶の坊」について、意味や使い方、類語などをまとめました。「役に立たない人」「気が利かない人」「人のいいなりになっている人」を意味するため、実際に使う際は細心の注意を払わなければなりません。うっかり使って、相手の気分を損ねたり、トラブルになったりしないように注意したいですね。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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