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2024.05.09

「猫に鰹節」は危険であることのたとえ? 言葉の意味や使い方などを紹介

「猫に鰹節」とは、油断できないことや危険であることのたとえとして使われることわざ。なぜ危険なのか、意味を探ってみました。本記事では、意味に加えて言葉の使い方や注意点、類語を紹介します。一緒に見ていきましょう。

「猫に鰹節」は危険を表す? 言葉の意味

「猫に鰹節」という言葉が「ことわざ」であると知る人は少ないかもしれません。実は「危険であること」のたとえとして用いられているんですよ。本記事では、「猫に鰹節」について、意味や使い方などを調べてみました。見るだけで癒される猫を使ったこの言葉について、一緒に見ていきましょう。

意味

猫(ねこ)に鰹節(かつおぶし)
読み方:ねこにかつおぶし

猫のそばに、その好物の鰹節を置くこと。油断できないこと、危険であることのたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「猫に鰹節」を辞書で調べたところ、上記の意味を持つことがわかりました。鰹節とは、カツオ(魚)の肉を蒸して干し固めたもののこと。出汁をとったり、削って料理にかけたりして使う食材です。

鰹節が猫の好物であると知る人は、多いでしょう。猫のそばに鰹節を置いたらどうなるか、容易に想像できますよね。つまり、猫に鰹節を食べられてしまったとしても、それは置いた側の過失であると言えるでしょう。

このことが転じて、「油断できない」「注意が必要」という意味で、「猫に鰹節」を使うようになりました。

(c) Adobe Stock

「猫に鰹節」で注意したいこと

ことわざの「猫に鰹節」は、とても好きなもののたとえであると思われがちです。しかし、意味からもわかるように、それは誤解。正しい意味を知らずに「猫に鰹節」を使うと、話が食い違ったり、間違った意味で解釈されたりする可能性があります。

「非常に好きなもの」を猫に関連することでたとえるなら、「猫にまたたび」が適しているでしょう。これ以外にも使えるたとえがありますので、チェックしてみるのもいいですね。

「猫に鰹節」の使い方

「猫に鰹節」は、話し言葉で使うことが多いかもしれません。ここからは具体的な言葉の使い方を見ていきましょう。まずは、この言葉を使う状況や言い回しを紹介します。

どんな状況で使う?

上述した意味から、「猫に鰹節」を使うのは危険が迫っている状態や、油断できない状況といえます。あるいは、過ちを起こしやすい状況も当てはまるでしょう。おもに注意を促す際や、戒める際に用いられています。

言い回しの特徴

「猫に鰹節」の言い回しとして多いのは、「猫に鰹節だ」「猫に鰹節とは〜」「猫に鰹節と言うように」。状況に注意を促す際に使うことが多いでしょう。

例文をチェック

「猫に鰹節」の例文を見ていきましょう。

【例文1】窓を開けっぱなしにして買い物に行くなんて、泥棒に入ってくれと言わんばかり。猫に鰹節だよ

「ちょっとの間なら大丈夫だろう」と思って、施錠せずに外出する、窓を開けっぱなしにするというのはよくやりがちかもしれません。例文は、買い物に出かけた人が窓を開けっぱなしにしていたことを咎めるさまを表しています。少しの油断が不運を招くのはよくあること。特に防犯は注意を払う方がいいでしょう。

【例文2】子どもの手の届くところにお菓子を置いたら、あっという間に食べられた。猫に鰹節とはよく言ったものだ

お菓子好きの子どもがいるのに、うっかり手の届くところにお菓子を置いてしまい、案の定食べられてしまったことを表す例文です。このような「うっかり」ほど、目ざとく見つかるのは、ありがちなことと言えるでしょう。

(c) Adobe Stock

会話例もチェック

「猫に鰹節」を使った会話例を見ていきましょう。両親が息子について話しています。

父「あの子がいつも読んでいるコミックが発売されていたから、買ってきたよ」
母「きっと喜ぶと思うけど、今日は渡さないで」
父「どうして?」
母「明日、テストの最終日なの。今渡してしまったら猫に鰹節。きっと勉強そっちのけで読みふけってしまうわ」
父「確かに、見たら読みたくなるだろうな。明日の夜に渡すとしよう」

息子が喜ぶと思ってコミックを買ってきたけれど、息子はあいにくテスト期間中。コミックを渡すと勉強しなくなるから危険と考え、渡さないことにしたという会話例です。無事にテストが終わってから渡す方が、子どもにとってもよさそうですね。

「猫に鰹節」の類語

「猫に鰹節」と似た意味を持つ類語を見ていきましょう。どのような表現があるでしょうか?

「盗人に鍵を預ける」

「盗人に鍵を預ける」とは、泥棒に盗めるよい機会を与えてしまうことの意。災いのもとになるものを助長することのたとえとして使われています。読み方は「ぬすびとにかぎをあずける」。盗人とは「泥棒」のこと。泥棒と知らずに信用して鍵を預けると、災いを招いてしまうという意味も持ちます。

「狐に小豆飯」

「狐に小豆飯」は、「猫に鰹節」とほぼ同義。狐の前に好きなもの(小豆飯)を置くと、すぐに手を出して食べられることから、油断できないことのたとえとして用いられています。「きつねにあずきめし」と読みます。「小豆飯」とは、似た小豆とその煮汁を白米にまぜて炊いた赤色のご飯(赤飯)のことです。

猫が登場することわざを紹介

猫が登場することわざは他にもあります。いくつかピックアップしましたので、意味を見ていきましょう。

(c) Adobe Stock

「猫の手も借りたい」

非常に忙しく手不足で、どんな手伝いでもほしいことのたとえとなるのが「猫の手も借りたい」。「ねこのてもかりたい」と読みます。「猫の手も借りたいほど忙しい」「猫の手も借りたいくらいだ」のように使うことが多いでしょう。

「猫の首に鈴を付ける」

いざ実行となると、引き受け手のない至難なことをたとえとして使われる「猫の首に鈴を付ける」。読み方は「ねこのくびにすずをつける」。「猫の首に鈴を付けるということ」「猫の首に鈴を付けるという状態」のように使います。

猫に仲間を捕られる鼠(ねずみ)たちが集まって相談し、猫の首に鈴をつけることにしたけれど、実行する鼠はいなかったという西洋の童話が由来とされる言葉です。

最後に

「猫に鰹節」について、意味や使い方、注意点などをまとめました。猫が鰹節を好むことから、好きなものをたとえる際に使うと思われがちですが、実際は「注意を払う」「油断をしない」ことをたとえる際に用いられています。

正しい意味を把握していないと、誤解を招くことになりますから、注意したいですね。猫が登場することわざや慣用句は他にもたくさんあります。どのような言葉があるのかリサーチすると楽しいかもしれません。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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