「興味本位」って?
「興味本位」という言葉になじみのある人は多いでしょう。日常の生活でも使う言葉ですが、正しい意味を把握している人はあまりいないかもしれません。また、「興味本位」を使う場合、注意した方がいいことも。本記事ではよく見聞きする言葉「興味本位」について、意味や使い方などを紹介します。
意味
【興味本位】
読み方:きょうみほんい
おもしろいかどうかだけを判断基準にする傾向。「—に書き立てた記事」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「興味本位」が示すのは、物事の判断基準。自分の立場や状況、及ぼす影響などを考慮せず、「おもしろい」だけを基準として判断するさまを表します。
「興味本位」の「興味」は、その物事が感じさせる「おもしろみ」のこと。「本位」は判断や行動をするときの基本となるものを意味する言葉です。辞書の意味からは、本質的なことよりも、表面的なことを指す言葉であるということがうかがえますね。
「おもしろい」の捉え方
「興味本位」の意味について、もう少し見ていきましょう。
意味にある「おもしろいかどうか」「おもしろみ」が意味するのは、「興味を引かれるような要素」のこと。「おもしろい」という言葉でイメージしがちな、「お腹を抱えて笑うおもしろさ」「こっけいさ」を指すのではありません。
この意味の捉え方が違うと、文章自体がおかしくなるかもしれません。誤解しないよう注意してくださいね。
「興味本位」の使い方で知っておきたいこと
ここからは「興味本位」の使い方を見ていきましょう。まずは、特徴や注意点を紹介します。特にビジネスシーンで「興味本位」を使う場合は、意識するようにしてください。
特徴
「興味本位」は、プラスとマイナス、どちらの意味でも使うことができます。また、書き言葉と話し言葉の両方で用いることができ、立場や関係性などの影響を受けません。日常はもちろん、ビジネスシーンやかしこまった場でも使える言葉です。
使い方として多いのは「興味本位で〜する」「興味本位でやる(やらない)」のような言い回しでしょう。また、行動と結果を合わせて使うのも、この言葉の特徴です。
注意点
「興味本位」を使う際に意識したいのが、不真面目な印象を与える可能性があること。「興味本位」は、おもしろいかどうかだけを判断基準にすることを示すため、シチュエーションによっては、真剣に取り組んでいない、あるいは取り組もうとしていないと受け取られるかもしれません。
たとえば、新しいプロジェクトに参加することになり、そのきっかけを聞かれたとします。「興味本位で参加しました」と答えたとして、この言葉に熱意ややる気を感じるでしょうか? おそらく多くの人は「本気なのかな?」「おもしろいだけで参加したの?」と疑問に思ったり、不快に感じたりするでしょう。
このようなシチュエーションなら、「興味を持ったので参加した」と答える方がいいですよね。あるいは、「最初は興味本位だったけど、調べるうちに強い関心を抱くようになった」のように答えると、相手にやる気が伝わるでしょう。
「興味本位」の具体的な使い方
ここからは「興味本位」の使い方を見ていきましょう。具体的な使い方を例文で紹介しますので、参考にしてくださいね。
《例文》興味本位でウォーキングをはじめたが、姿勢や歩き方が美しいとほめられるようになった
この例文は「興味本位」をプラスの意味で使っています。最初は「おもしろそう」という理由ではじめたことが結果的によい影響を与えてくれたという例です。「興味本位」で何かをはじめるのもいいかもしれない、と読み手は思うかもしれません。
《例文》興味本位とは言え、聞いていいことと悪いことがある
「おもしろそう」と思って質問したことが、相手にとって不快だったことを表す一文です。人は誰でも触れられたくないことや、他人に立ち入ってほしくない領域を持ちますが、それに触れるようなことを聞いてしまったのかもしれません。「興味本位」がマイナスに作用した例と言えるでしょう。
《例文》彼が元カノに会ったのは興味本位だったらしいが、私は許せずにいる
「おもしろいかも」「ちょっと興味がある」という気持ちが湧き、いつもならやらないことに手を出すことってありますよね。例文は、そのような心境で元カノに会い、それが今の恋人にバレたさまを表現しています。「興味本位」であっても、やらない方がいいことは多いかもしれません。
「興味本位」の類語
「興味本位」の類語を見ていきましょう。「興味本位」を別の表現で言い換える場合の参考にしてください。今回は、日常的に使える表現をピックアップしました。
「おもしろ半分」
興味本位の気持ちがあり、真剣さに欠けていることを表す「おもしろ半分」。漢字表記では「面白半分」と書きます。「興味本位」とほぼ同義なので、言い換えたい場合に使うといいですね。「おもしろ半分で行動する」「おもしろ半分に〜する」のように用いることが多いでしょう。
《例文》おもしろ半分に練習しても、あなたはきっと上達しないよ
「遊び半分」
「遊び半分」は、いい加減な気持ちで物事に取り組むことを表します。この言葉も「興味本位」と近い意味を持つ言葉。「興味本位」の言い換え表現として把握しておきたいですね。「遊び半分で〜する」「遊び半分に〜する」のように使います。
《例文》娘は遊び半分で中学受験を決めたのに、今になって「絶対合格する」と言いはじめた
「気乗り」
「気乗り」とは、興味があって、それをしようという気持ちになることの意。「きのり」と読みます。「気乗りがしない」という言い回しで使うことが多いでしょう。「興味本位」の言い換え表現としてチェックしておくといいですね。
《例文》あまり気乗りがしないけれど、明日のイベントに参加することにした
最後に
「興味本位」について、意味などを紹介しました。「おもしろいかどうかだけを判断基準にする傾向を指す」言葉であるため、シチュエーションによってはマイナスに作用する可能性があります。この言葉を使う場合、特にビジネスシーンでは状況や相手を見極める方がいいでしょう。
「興味本位」で行動するのはいいですが、軽率になるのは避けたいもの。可能な限り継続して、よい結果をつかみたいですね。
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