目次Contents
この記事のサマリー
・「固唾」とは緊張時に口にたまる唾液のことで、読み方は「かたず(かたづ)」です。
・「固唾を呑む」とは、事の成り行きを心配して、緊張しながら見守る様子を指します。
・英語では「hold one’s breath(息を止める)」と表現します。
ビジネスシーンやスポーツの試合で、結果を待つ瞬間の緊張感を表す「固唾(かたず)を呑む」という言葉。
耳にする機会は多いものの、いざ「固唾」とは何かと聞かれると、正確に答えられる方は少ないかもしれません。言葉の成り立ちや正しい意味を知ることは、社会人としての教養を深める第一歩!
この記事では、「固唾」の読み方や意味の由来、そしてスマートな言い換え表現までを解説します。
「固唾」と「固唾を呑む」の意味や読み方は?
「固唾を呑む」という表現を深く理解するには、まず「固唾」そのものが何を表しているのかを知ることが近道です。
「固唾」の意味と読み方
「固唾」の読み方は「かたず(「かたづ」とも書きます)」です。これは、緊張するときなどに、口の中にたまる「つば」のことを指します。
辞書では次のように説明されていますよ。
かた‐ず〔‐づ〕【固唾】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《古くは「かたつ」とも》緊張して息を凝らしているときなどに口中にたまるつば。
古くは「かたつ」とも呼ばれていたそうです。
事の成り行きを心配して緊張する際、自然と口中にたまる唾液を飲み込む様子が「固唾を呑む」という慣用句の成り立ちとなっています。
辞書では「固唾を呑む」について、以下のように説明されていますよ。
固唾(かたず)を呑(の)・む
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
事の成り行きが気がかりで、緊張している。「―・んで見守る」
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「固唾」が使われてきた歴史
「固唾」という言葉は非常に古くから使われてきました。1283年の『米沢本沙石集』には「かたつを呑て」との記述があり、古来、極限の緊張状態を表す言葉として定着していたことがわかります。
また、1600年代の『日葡辞書』には、困難な状況や危険を示す語としても登場し、「極限の緊張状態」を表す言葉 として広く用いられていたことがわかります。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

「固唾を呑む」の使い方を例文でチェック
意味を理解した後は、実際のコミュニケーションでどう活用するかが重要です。ビジネスメールや日常会話でスマートに使いこなすための例文をまとめました。
どのようなシチュエーションで使うのが最も効果的なのか、具体的な例を通して、その「生きた表現」としての活用法をイメージしてみましょう。
ビジネスシーンでの使い方
職場での緊迫した場面や、重要な局面を迎えた際の表現として活用されます。単に「緊張した」と伝えるよりも、その場の空気感や熱量をより知的に共有することができます。
【ビジネスでの例文】
・「新プロジェクトの合否通知を、チーム全員が固唾を呑んで待った」
・「提携先との最終交渉の行方を、役員一同が固唾を呑んで見守っている」
状況の重みを伝える際に、報告書やメールでも自信を持って使える例文です。
スポーツや日常での使い方
スポーツ観戦や映画のクライマックスなど、公私を問わず心が揺れ動くシーンで活用されます。特に「見守る」という言葉と組み合わせることで、結果を祈るような真剣さが表現できます。
【日常での例文】
・「サヨナラのチャンス、観客は固唾を呑んでバッターボックスを見つめた」
・「開票速報の画面を、支持者たちは固唾を呑んで見守った」
「固唾を呑む」の類語や言い換え表現は?
一つの言葉に固執せず、その場の空気感や自分の感情に最もフィットする語彙を選択できることは、洗練された大人のたしなみです。
「固唾を呑む」と似た意味を持つ言葉はいくつかありますが、それぞれが指し示す「緊張の質」や「身体の反応」は微妙に異なります。
ここでは、代表的な類語を個別に掘り下げ、そのニュアンスの違いを明らかにしていきます。
息を呑む(いきをのむ)
「息を呑む」は予期せぬ驚きや圧倒的な美しさ、あるいは恐ろしい事態に直面し、思わず息を吸い込んで止める様子を指します。
息を凝らす(いきをこらす)
どうなることかと、呼吸を抑えてじっとしている状態です。物音を立てないように気配を消す「静止」のニュアンスが強く、何かに深く集中したり、隠れたりしている場面で使われることが多いでしょう。
手に汗を握る(てにあせをにぎる)
スポーツの観戦やハラハラする映画の展開など、自分が見ているものに対して強い興奮や不安、期待を感じている状態です。

「固唾を呑む」の英語表現
グローバルなシーンでは、日本語特有の「唾」という表現ではなく、呼吸に焦点を当てたフレーズが使われます。
hold one’s breath
「息を止めて待つ」という意味で、日本語の「固唾を呑む」に最も近い表現だといえます。
with bated breath
期待や不安で息を殺している様子を指し、より文学的でドラマチックな緊張感を伝えたいときに選ばれます。
文化によって「緊張」を身体のどの部分(唾液か、呼吸か)で捉えるかの違いを知ることは、異文化理解を深める知的な刺激にもなりますね。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「固唾」に関するFAQ
ここでは、「固唾」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「固唾を呑む」と「固唾を飲む」はどちらが正しいですか?
A1:『デジタル大辞泉』(小学館)や『日本国語大辞典』(小学館)、『角川類語新辞典』(角川書店)を確認したところ、表記の多くは「呑む」でした。
Q2:「固唾」とは具体的にどのようなものですか?
A2:極度の緊張によって息を凝らしているときに、口の中にたまる唾液のことです。
Q3:「NGな使い方は?」気をつけるべき地雷を教えてください。
A3:単なる「喉の渇き」を指す際に使うのは誤りです。また、「固唾を吐く」といった表現も存在しません。
最後に
「固唾を呑む」という言葉の成り立ちを知ると、緊張した場面での何気ないしぐさにも、古くからの言葉が丁寧に当てはめられていることが分かりますね。
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