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2024.02.26

「栴檀は双葉より芳し」とは? 類語や「栴檀」を使ったことわざを解説

「栴檀は双葉より芳し」とは、「大成する人は、幼少のときからすぐれているというたとえ」。良い香りがすると言われる栴檀(せんだん)に由来することわざです。本記事では、言葉の意味や使い方、類語などを解説します。

「栴檀は双葉より芳し」という言葉を、聞いたことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 「栴檀」とは、良い香りのする植物のこと。和の香りが好きな方は、案外馴染みのあるものかもしれません。そこで本記事では、「栴檀は双葉より芳し」の意味や使い方、類語を解説します。

「栴檀は双葉より芳し」の意味

「栴檀は双葉より芳し」は、「せんだんはふたばよりかんばし」と読みます。意味は以下の通りです。

白檀(びゃくだん)は発芽のころから香気を放つ。大成する人は幼少のときからすぐれているというたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「栴檀は双葉より芳し」とは、大きな物事を成し遂げる人は、幼い頃から優れていることのたとえです。「栴檀」は、「白檀(びゃくだん)」の異称とされ、品質の良いお線香などに使われています。インド産の香木であり、白檀・沈香(じんこう)・伽羅(きゃら)が有名ですね。白檀は甘く爽やかな香りを持ち、お線香の他にも、仏像彫刻や念珠、薬などにも用いられてきた歴史があります。

続いて「双葉」は、発芽して最初に出る芽のこと。2枚出る植物が多いことから、「双葉」と呼ばれています。若い芽であることから、人間の幼少期にもたとえられているようです。

ところで、「栴檀は双葉より芳し」は、やや解釈に誤解が生じやすい言葉でもあります。というのは、「栴檀は双葉より芳し」の「より」は、比較で使われる「〜より」ではなく、英語における「from(〜から)」という意味であるということ。

つまり、噛み砕いて説明すると、「栴檀という植物は、若い芽である時からすでに良い香りがする」という意味になるのです。

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「栴檀は双葉より芳し」は、一体どのようなシチュエーションで使うのが適切なのでしょうか? 主な使い方を例文で紹介します。

1:栴檀は双葉より芳しというように、かつて神童と呼ばれていた子は、のちに立派な政治家となった。

「神童(しんどう)」とは、才能や知性が極めて優れている子供のこと。数学などの学問や芸術的な才能が、他の子供と比べて抜きん出ている子は稀にいるものです。この例文では、子供の頃から非凡な才能を持っていた子は、ことわざの通り、立派な政治家になったということですね。

スピーチする女性
(c) Adobe Stock

2:栴檀は双葉より芳しとはいうものの、まさか息子がメジャーリーガーになるとは思わなかった。

「栴檀は双葉より芳し」ということわざがあるけれども、まさか自分の子供が世界のトップ選手になるなんて思ってもみなかったという意味ですね。そのような優れた子供を持つ両親ならではの、驚きの言葉と言えるでしょう。

類語や言い換え表現は?

「栴檀は双葉より芳し」はあまり馴染みのない言葉ですが、同じような意味を持つことわざは案外たくさんあります。ここでは、その中で3つのことわざを紹介します。

1:実の生(な)る木は花から知れる

「実の生る木は花から知れる」は、「偉くなる人は、初めからどことなく常人とは違うところがある」という意味。果実がたくさん実る木は、咲いた花の様子からわかることから転じて、人にも使われるようになったようです。

(例文)
・実の生る木は花から知れるという言葉があるが、彼女は若い頃から芯の強いところがあったね。

2:蛇は寸(すん)にして人を吞む

どんなに若く小さな蛇でも、すでに人を呑み込もうとする気迫が感じられるという意味。そこから転じて、優れた人物が幼少の頃から、ずば抜けた素質を表していることのたとえとして用いられます。同じ意味のことわざとして、「蛇は一寸にして兆し現わる」「蛇は一寸にしてその気を得る」も。かつては、「栴檀は双葉より芳し」とともに、よく使われることわざだったとか。

(例文)
・蛇は寸にして人を吞むというように、彼には子供の頃から抜きん出て絵がうまかった。

絵を描く子供
(c) Adobe Stock

3:虎豹の駒は食牛の気あり

「虎豹の駒は食牛の気あり」は、「こひょうのくはしょくぎゅうのきあり」と読みます。虎や豹の子供は、幼いうちから牛を食うほどの意気込みを持っているという意味。将来大物になる人物は、子供の頃から普通の人とは違ったところがあるということです。「駒(く)」は、「けものの子」という意味があります。

(例文)
・政治家の〇〇は、虎豹の駒は食牛の気ありというように、かつて血気盛んな子供だったようだ。

「栴檀」を使ったことわざ

実は、「栴檀」を使った別のことわざがあることをご存知ですか? 教養の1つとして一緒に覚えてみてください。

1:栴檀の林に入る者は染めざるに衣自ずから芳し

直訳すると、「栴檀は香りが強いので、その林に入った人の衣服は、香をたきしめなくても良い香りに包まれる」という意味。実際には、「良い環境にいると、自然とその影響を受けて良い習慣が身につくことのたとえ」として使われます。自分の衣からふわっと香気が湧き立つ、風情が感じられますね。

2:栴檀は二葉より薫じ梅花は蕾めるに香あり

「栴檀は二葉の時から、芳香を放ち、梅の花は蕾の頃にはもう良い香りがする」という意味。栴檀と同じく、蕾の頃から良い香りがする梅の花をたとえた言葉です。転じて、「大成する人は、幼い頃からすぐれている」ということを表します。

最後に

「栴檀は双葉より芳し」とは、「大成する人は、幼少のときからすぐれているというたとえ」。若い芽の頃からすでに芳しい良い香りがする、栴檀の性質から生まれたことわざです。大物になった人物を見て、「彼は子供の頃から抜きん出た才能があったものね」というようなことを伝えたい時に、このことわざを使ってみると良いでしょう。風情のある日本語表現の1つとして、覚えてみてはいかがでしょうか?

TOP画像/(c) Adobe Stock

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