仕事でもプライベートでも、急な変更や予想もしないハプニングが起こった時。その場でフリーズしてしまう人もいれば、臨機応変な対応で、ピンチをチャンスに変えられる人もいます。臨機応変とは、その時その場に応じて、適切な手段をとれること。変化が激しく予測がしづらい現代では、必須ともいえるスキルです。
これまで、5万人以上のキャリアサポートを行ってきた、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんに、臨機応変な対応ができるようになるコツを伺いました。
臨機応変とは? 臨機応変さを構成する3つの要素
「臨機応変な対応とは、状況を柔軟に捉え、その場に応じた適切な判断を下し、行動することができるスキルともいえます。
今は、VUCA時代と言われています。VUCAは、英語の「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった造語です。
不安定で不確実で曖昧な状況が続き、常に速い速度で変化し続けるという環境では、将来の予測が困難な状況です。ここ何年かを振り返っても、私たちは思いもかけない出来事で、これまで常識と言われていたことが覆ったり、日常生活がガラッと変わる経験をしてきました。
何が起こるかわからない。どうなっていくかわからない。それを不安に感じてしまうかもしれません。でも、ちょっとしたコツをつかめば、変化と曖昧さを楽しむことができるようになります。臨機応変に対応できる人は、VUCA時代を軽やかに渡っていけるスキルを身につけた人、ということなのです。」(キャリアコーチ・菊池さん)
臨機応変さは、次の3つの要素があげられます。
1:環境の変化への適応力
仕事をしていると、新しい技術や仕組みが導入され、これまでのやり方を強制的に一新しなければならないことが出てきます。また、組織の再編やマーケットの変動など、想定外の出来事が起こります。プライベートにおいても、予期せぬ出来事に巻き込まれることがあり得ます。
これらの変化に適応する柔軟性を持ち、積極的に流れに乗る姿勢を持つことで、環境変化の波に乗ることができます。
2:問題解決力
予期せぬ問題が発生したときに、解決に向けて行動ができることが重要です。物事を柔軟に捉え、新しいアプローチ方法が見つけることができると、ピンチはチャンスに変換できます。
3:チャレンジ精神
「その場に応じた適切な対応」は、行動を起こしてみないと適切かどうかの判断がつきません。まずはやってみよう! という意識を持って行動することで、状況の変化を導き出し、適切な結果を得ることができるようになります。
臨機応変に対応する3つのコツ
臨機応変な対応をする為には、次の3つを意識しましょう。
1:見通しを立てるクセをつける
臨機応変に対応しなければいけないときは、計画外の出来事が起こったときです。だからと言って、無計画でいいということではありません。逆説的に思えるかもしれませんが、臨機応変に対応するためにも、まずは計画を立て、見通しをつけるクセをつけましょう。
この見通しが、想定外の出来事に対応するための軸となってきます。計画があることで物事をスムーズに進めることができ、プロセスや結果をいくつか予測しておくことで、問題が起こったとしても早急な対応も可能となります。
見通しを立てる際には、時間の余裕をもっておくことも重要です。予期せぬ出来事が起こったとしても、対処に割ける時間を確保しておくことで、適切な解決行動をとることができます。
2:リスクの想定と回避法を考えておく
見通しを立てる時には、悪い結果も起こりうるということも想定します。そして、悪い結果の回避策もあらかじめ用意しておきます。これができると、ちょっとした問題は想定内・計画の範囲内となり、落ち着いて状況を把握し、効果的な行動を選択することができます。
3:計画通りにいかないものだと思っておく
完璧だと思える計画を立てられたとしても、完全にその通りに進むということはあり得ません。計画通りにいかないことに、過度に失望を感じてしまうタイプの人は、問題が発生するたびにストレスを感じ、挫折をしてしまいます。
繰り返しになりますが、計画を立てるのは、不測の事態に直面したときに、柔軟に対応するための準備でもあります。想定外のトラブルに見舞われても、「計画を立てることができた自分」を自覚していれば、冷静に状況を見極めて、再度計画を立てなおすことができます。
計画通りにいかなかったり、問題が発生したときには、焦ったり慌てたりして、冷静な判断や行動ができなくなりがち。「計画通りにいかない」ということを計画に入れておくことで、臨機応変な対応を選択することができます。
臨機応変に対応ができる人になる3つのポイント
臨機応変な対応ができる人になるには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
1:自己理解を深める
自分の強みや弱みを知り、どのような特徴を持っているのかを理解します。特に、自分が苦手とする状況や、ストレスを感じる事を自覚しておきましょう。嫌だと感じる時には、冷静さを欠いた言動をしがちです。自分は何が苦手なのかを理解しておくことができると、そのような状態に陥ったとしても、早めに体制を整え、物事に対処することができるようになります。
2:さまざまな意見を取り入れる姿勢を持つ
臨機応変さのポイントは、さまざまなことを柔軟に捉えることができること。固定概念にとらわれることなく、自分と違う意見や未知のものを、ひとまず受け止める姿勢を持ちましょう。
「知らないことや、自分と違う意見もあるものだ」ということが理解できていると、予期せぬ事態に直面しても、パニックにならずに冷静に対応ができるようになります。
3:試行錯誤や失敗を恐れない
臨機応変とは、その場に応じて適切な判断と行動ができること。その場の状況は刻々と変化をしていくため、行動を起こしたことが、うまくいかないということもあり得ます。試行錯誤や失敗を恐れず、「まずはやってみよう!」と行動に移すことで、臨機応変さに必要な「場をみる力」が養われていきます。
最後に
臨機応変に対応をする事は、日々の心がけで身に着けることができそうですね。3つのポイントを抑えて、VUCA時代を軽やかに進みましょう!
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン