人を優先して、つい自分を後回しにしていない?
「自分の仕事もあるのに頼まれると断れなくて、また帰りが遅くなってしまった」
「いつも子どもや夫を優先していて、自分の時間がなかなか取れない」
「希望を聞かれても遠慮してしまい、思っていることを言えない」
「自分の気持ちよりも相手の意向を汲んだけれど、報われていない感じがする」
「お願いしたら迷惑かなと思うと、頼めない」
こんなことを感じた経験、ありませんか?
『人を優先して自分を後回しにすること自体に問題があるわけではありません。人を優先できるのは、その人に対してやさしい思いを向けられるからこそで、素晴らしいことです。
ただ、人にやさしさを向けるがために自分が疲れてしまっては問題です。
もし、あなたが、「自分もそれでいいと思って始めたのに、なんだか気持ちがハッピーじゃない……」などのように感じて心が苦しいのなら、自分らしく人生を生きることができていないと言えるでしょう。』
ー-そう語るのは、心理カウンセラー・積田美也子さん。
そこで、積田さんの書籍『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』より、自分らしく人生を生きることができるようになる考え方のヒントをお届け!
※書籍では、「心の旅」と称し、7つのステップが紹介されていますが、本連載ではステップ4までの一部を掲載します。
ステップ2:過去の親との関係を振り返る
自分を優先しなくなったのは、いつ頃からですか?
ステップ2では、自分の過去を振り返っていきます。
ステップ1で、人を優先して、自分を後回しにしてしまうのは、「そうするのはよいことだから、そうすべき」
「そうしないと嫌われてしまう」「自分の希望を優先して、その場の調和が乱れてしまったら面倒」などと考えてしまう「思考の癖」があるからだとお話ししました。
こうした「思考の癖」は、往々にして「過去」に原因があります。
「自分を後回しにしてしまう」と相談にみえる方に、「それはいつ頃からですか?」と聞くと、子どもの頃からだとお話しする方が大多数です。
さらに詳しく聞いていくと、親との関係について触れる方が多くいらっしゃいます。
自分を後回しにしてしまう人は、自分よりも人を優先すべきだと、子ども心にそう思わざるをえない経験を繰り返すうちに、自分を後回しにする思考や行動がパターン化した可能性が。
人は、よくも悪くも過去の経験に影響を受けて生きています。
とは言っても、過去にあった出来事を分析して原因探しをするわけではありません。
ステップ2では、子どもの頃の家族との関係や出来事を中心に振り返っていきます。
子ども時代の自分に意識を向け、「ああ、そういうことがあったなあ」と感じるだけで十分。
子ども時代のことを振り返るのは、あまり気が進まない、嫌な出来事を思い出したくないという方もいらっしゃるかもしれません。
もし、途中で心に痛みを感じたなら、そんな自分もやさしく、よしよしと受け止めてあげてくださいね。
親との関係は、どのようなものでしたか?
私たちが、どのような思考の癖に基づいて行動しているかを探るとき、特に、幼少の頃の両親との関係が大いにヒントになります。
距離的にも近く、また、密接である親子間では、思考の癖や行動パターンがわかりやすく表われることが多いからです。
ここでは、自分を後回しにしてしまう人たちの子どもの頃のお母さん、お父さんとの関係を事例を挙げながら見ていきます。
読み進めながら、自分の親との関係を思い出してみましょう。
過去の親との出来事、経験が、今の自分の思考にどのような影響を与えているかを知るきっかけとなるはずです。
ケース:お母さんに、甘えることができなかった
ステップ1で振り返ったように、人を優先して自分を後回しにしてしまう人の行動パターンの一つに、人に頼ったり、甘えたりするのが苦手というものがあります。
「頼み方、甘え方がわからない」のです。
そのような方のお話をうかがうと、大多数が、子どもの頃に、「親に甘えた記憶がない」と言います。
人に「お願い」と言えないというある女性は、お母さんから愛情を受けた記憶がないと教えてくれました。
「子どもの頃はお母さんが厳しく、『きちっとしなさい』と怒られてばかり。言動を常に監視されているような気がしていました。楽しいことをして笑っているのはダメで、何か人のために役立つことをしていないと、怒られると思うようになりました。
また、好奇心旺盛な子どもだったので、お母さんに『なんで? どうして?』など、たくさん質問することがありましたが、答えてもらえませんでした。お母さんには、もっと抱きしめてほしかったし、『わかるよ~』と言ってほしかったです。
自分が泣いても、お母さんは来てくれなかったし、褒められたことは一度もありませんでした」
もう一つ、事例をご紹介します。
人に助けを求めるのが苦手で、家事も仕事も一人で抱え込みがちなある女性は、お母さんとの関係をこのように振り返っていました。
「今まで、あまり自覚はなかったんですけど、振り返ってみると、子どもの頃、母親に甘えることができていませんでしたね。母親は家事で忙しすぎて、全然ゆとりがなかったんだと思います。
弟が産まれて、さらに母が病気になったことで、私は一時期、親戚の家に預けられていたこともあります。母親にやさしくしてもらった記憶がありません」
厳しかったり、忙しくて構ってもらえなかったなど、なんらかの理由で親に甘えることができなかった場合、人にお願いをしたり、甘える方法がわからないのも不思議ではありません。
甘えた経験が極端に少ないと、「自分は愛されていない」「こんな自分には価値がない」という思いが、知らず知らずのうちに心の奥底に溜まっていきます。
甘えられなかった経験は、「こんな自分がお願いしたら、人に迷惑なんじゃないか」「こんな自分を優先するなんて……」という思考の癖につながっていきます。
この思考の癖があると、人に頼りたい、甘えたいという思いがあっても、寂しさを抱えながら自分一人で頑張ってしまいます。
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『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』(積田 美也子 著/あさ出版)
自分の意見が言えない… 相手が不機嫌になったらイヤだ… 私ばっかり損している気がする… これで丸く収まるなら… 自分のことをする時間がない…
あなたは、人を優先してつい自分を後回しにしていませんか?
人を優先して自分を後回しにしてしまうのは、「思考の癖」が原因です。
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自分を優先するのは、決してワガママなんかではありません!