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ツラい腰痛の原因筋のひとつ「腰方形筋」とは?
立っているときの腰が反った姿勢、座っているときの腰が丸まった姿勢。どちらの姿勢も不良姿勢といって、いわゆる正しくない姿勢に当てはまります。そして、これらの姿勢に深く関係する筋肉が、腰方形筋(ようほうけいきん)です。
腰方形筋は、腰の両サイド(骨盤~肋骨と背骨の横の突起)についている筋肉。この筋肉には、背骨と骨盤を安定させながら、腰を横に倒したり、まっすぐにしたりして姿勢を安定させる働きがあります。
(c)adobe stock▲片側の腰方形筋のみが動くと、腰を横に屈曲させる/左右の腰方形筋が同時に動くと、腰を伸展させる。
腰方形筋が硬くなる原因
腰方形筋は、体の土台を支える重要な筋肉のひとつ。しかし、腰が丸まった姿勢では腰方形筋が伸びた状態になっていて、反対に腰が反った姿勢では腰方形筋が縮み、持続的に緊張した状態になっていることから、どちらも筋肉に負担をかけ、凝りを生じさせる原因になります。
腰方形筋の凝り・セルフチェック
・腰が反りやすい
・腰が丸まりやすい
・腰が痛い
このような腰の動かしにくさや痛みの症状に心当たりがある場合、すでに腰方形筋が凝ってしまっているかもしれません。
体の凝りは、「筋肉を動かさずに凝り固まる→血流が悪くなる」ことで生じます。腰の動きに関与する腰方形筋が凝り固まっていると、腰痛が慢性化しやすくなるので、ストレッチをおこなって筋肉を緩めることが効果的な腰痛対策になると考えられるでしょう。ここからは、姿勢別ストレッチ&ヨガポーズをもちいた腰方形筋のほぐし方を紹介していきます。
【寝ながら】腰まわりの筋肉を深くとらえるストレッチ
STEP 1:腰方形筋の位置に手を添える
▲骨盤よりやや上のウエスト部分を、手で横からつかみます。背骨の両サイドを親指で挟むようなイメージです。
STEP 2:床に仰向けになり、ひざを立てる
▲手を腰方形筋に添えたまま、ゆっくりと仰向けになります。脚幅はこぶし1個分ほど開き、ひざを立てましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】両脚を右に倒す~【息を吸いながら】中央に戻す~【息を吐きながら】左に倒す
▲両方の肩が床についた姿勢を保ちながら、脚を倒します。脚は床につかなくてもOK。手で筋肉の位置をとらえながら脚を左右に倒し、腰まわりが緩んでくる感覚を味わいましょう。〈回数:呼吸に合わせて10~20回〉
【座ったまま】腰まわりを大きく伸ばすストレッチ
STEP 1:あぐらで座り、左腕を真上に伸ばす
▲手でお尻のお肉を外にかき出します。左右の座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せて、骨盤を立てて座りましょう。左腕は肩からまっすぐ上に伸ばします。
STEP 2:【息を吐きながら】上体を右に倒す
▲左右のお尻にバランスよく体重を乗せた姿勢のまま、上体を右にカーブさせます。体側や腰まわりの伸びが心地よく感じられる場合、このまま呼吸を5回ほど繰り返してもOK。
STEP 3:【息を吐きながら】上体を丸くする
▲次の吐く息で、側屈の姿勢から上体を前に倒します。左腕を右脚の先に垂らすようにして、左の腰まわりを深くストレッチしましょう。反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5~10回〉
【立ったまま】ちょっとした休憩時間にもできるストレッチ
STEP 1:脚を開いて立ち、手を腰に添える
▲脚幅を広くして、姿勢を安定させます。つま先は進行方向に向けましょう。手は、「寝たままストレッチ」と同様に腰方形筋に添えます。
STEP 2:腰を左右に倒す
▲骨盤を固定したまま、上体を軽く前に倒します。その姿勢を保ったまま、上体を左右にゆっくり倒しましょう。両手の親指は、軽い力で腰方形筋の位置を押さえます。〈回数:左右に5~10回〉
ヨガ「三角のポーズ」で腰方形筋にアプローチ
ヨガの「三角のポーズ」は、姿勢を安定させるために働く腰方形筋や腸腰筋、大臀筋にもアプローチできるため、腰痛の予防におすすめのポーズです。
STEP 1:腕と脚を大きく開いて立つ
▲腕は肩の高さで、床と水平のラインをキープ。左つま先は真横、右つま先は正面よりやや内側に向けます。
STEP 2:【息を吐きながら】上体を左に倒す
▲上体を左に倒します。ヘソの向きを変えないように姿勢を保ちながら、左手を遠くに伸ばしましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】左手の指先を床につき、右腕を真上に伸ばす
▲背骨を伸ばしたまま、さらに上体を左に倒します。左手の指先は床、もしくはすねやひざのあたりにつき、右腕は肩からまっすぐ上に伸ばしましょう。両肩を背中のほうへ下げて胸を開いたら、目線を上げます。反対側も同様におこないましょう。〈回数:呼吸を5回〉
ストレッチローラーを使った筋肉のほぐし方
自宅にストレッチローラーがあるのなら、活用するのもおすすめです。肋骨の下~骨盤の上にあたる位置にストレッチローラーがくるように、体を横向きに乗せます。体を上下に小刻みに動かして、筋肉を刺激しましょう。体の向きを変え、反対側も同様におこないます。
▲ストレッチローラーが骨にあたると、痛みが出ることがあります。特に、肋骨には触れないように注意しましょう。長時間同じところに使うと筋肉が圧迫されて痛める恐れがあるので、1部位につき、20~30秒を目安に使用しましょう。
腰痛の原因はさまざま
腰痛の原因は、さまざまです。腰方形筋が関係している場合は、中腰の姿勢をしたときに痛むこと、ベルトラインよりも上の位置が痛むことがあるといわれていますが、ストレッチや姿勢の改善をしても効果があらわれないようであれば、自己判断せず専門の医療機関を受診しましょう。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。