「上旬」とは?
「上旬」は、「1月上旬に発売予定です」や「2月上旬から中旬にかけて冷え込む日が続きます」などというように、さまざまな場面で耳にします。しかし、ふと「でも1月上旬っていつからいつまで?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
本記事では、「上旬」が示す範囲や言葉の使い方について紹介します。また、上旬に関連する表現も見ていきましょう。
「上旬」の意味
「上旬(じょうじゅん)」は、「ひと月の1日から10日までの期間」です。
はじめの10日間は「上旬」、次(11日から20日)の10日間は「中旬(ちゅうじゅん)」、最後(21日から30日、ないしは31日)の10日間は「下旬(げじゅん)」と言います。
「上旬」の英語表現
「上旬」と同じ意味を英語で伝えるには、どのような表現がいいのでしょうか? ここでは、2パターンの表現を紹介します。
the beginning of 〇〇
「the beginning of 〇〇」の意味合いは「〇〇のはじめ」です。〇〇には、月を表す単語(例:January“1月”、February“2月”、March“3月”)を入れます。
the first 10days(of〇〇)
「the first 10days」は、「ひと月の1日から10日の間」を強調した言い方。例えば、「the first 10days of March」で「3月の上旬」を表すことができます。
「上旬」の使い方を例文を用いて紹介
「上旬」は、さまざまな場面、相手に対して使われる言葉です。だからこそ、正しい使い方を覚えて、どんな状況でも対応できるようにしておきたいですね。ここでは、「上旬」の具体的な使い方を紹介します。
1:「来月の上旬には、プレゼンの資料をあらかた完成させておきたい」
上記の例文で使われている「上旬」は、プレゼンの資料を完成させる目処となる時期をあらわしています。
2:「毎年、12月の上旬から中旬にかけて繁忙期になります。体調管理はしっかりしておきましょう」
「上旬から中旬にかけて」という表現は、「月のはじめ(1日)からだいたい20日までの期間」という意味合いになります。月のはじめから中ごろまでの期間を示したいときに使える便利な表現です。
3:「4月上旬は、新年度の新しい環境になれることで精いっぱいだった」
「上旬」は、1日から10日までの期間全体を表す言葉。したがって、その期間に起きた出来事や感じたことを総評するのにぴったりな表現です。
4:「2月の上旬だったらだいたい空いているよ! 久しぶりにお茶でも行こう!」
カジュアルな会話でも使うことができます。遊びの予定を決めるときは、まず「上旬」や「中旬」など、どのくらいの時期なら余裕があるかを伝えて、そのあとに細かな日程を決めていくとスムーズに予定を立てることができますね。
「上旬」の類語表現は?
ここでは、「上旬」の類語表現を見ていきましょう。
1:初旬
「初旬(しょじゅん)」は上旬の言い換え表現です。「月のはじめの10日間」を指します。
使い方は上旬と同じ。「来月の初旬に、はじめて推しのライブへ行く」というように使います。
2:上澣
「上澣(じょうかん)」も上旬や初旬の言い換え表現。「月のはじめの10日間」という意味です。また、「中澣(ちゅうかん)」、「下澣(げかん・かかん)」というように、中旬や下旬と対応する表現もあります。
「上澣」は、かつての中国、「唐」の制度から生まれた言葉です。当時は、ひと月のうち、10日ごとに役人に休暇を与えて入浴をさせるという制度があり、10日をひとつの単位として「澣(浣)」と呼んだのだそう。したがって、「澣(浣)」という漢字には、「すすぐ」、「洗う」という意味があります。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
3:月初め
「月初め」は、言葉の通り「月のはじめ」のこと。だいたい、ひと月のはじめの5日間前後を指して使われることが多いです。「毎月、月初めにネイルサロンに行くのがおきまりとなっている」というように使います。
参考:『使い方の分かる 例解大辞典』(小学館)
他にもある! 期間を表す言葉とは?
「上旬」のように、期間を表す言葉は、他にも数多くあります。ここでは「月半ば」、「月末」、「初頭」を紹介しますよ。
月半ば
「月半ば」とは、「ひと月のうち15日前後の日」のこと。例えば、「1月半ばに地元へ帰る予定です」は、「1月の15日前後に地元へ帰る予定です」と受け取ることができます。
中旬は11日から20日の間のことなので、指し示す範囲が違うことを覚えておきたいですね。
月末
「月末」とは、「ひと月のうち、月の終わり近く」のこと。「今月末の支払いが不安で仕方ない」、「来月末はことさらに忙しいだろう」などというように使います。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
初頭
「初頭」は、「ある時期や時代のはじめごろ」を指します。初頭は、時期や時代など、規模の大きなことに使われる傾向があります。例えば、「20世紀の初頭から現在までの人口の推移を見てみる」などという使い方ができますよ。
最後に
本記事では、さまざまな場面で使われる「上旬」という言葉について見ていきました。普段何気なく使っている言葉だからこそ、あらためてじっくり向き合うのもいいですよね。
「上旬と月初めを混同して使っていた」という方もいらっしゃるかもしれません。上旬は、ひと月の1日から10日までの期間を指しますが、月初めはだいたい1日から5日前後を指します。誤解なく相手へ伝えられるように、日ごろから「この言葉ってどういう意味だろう」と意識する気持ちを忘れずにいたいですね。
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