「かしこまりました」とは
会社づとめをしていれば、多くの人が使ったことのある「かしこまりました」という表現。“ビジネス定型語”と言ってもいい表現かもしれませんね。
そんな「かしこまりました」も、正しく意味を理解し、正しく使えているのかな? と考えたりすると、途端に自信がなくなったりしませんか?
本記事では、「かしこまりました」の意味や使い方、言い換え表現などを紹介します。
「かしこまりました」の意味
「かしこまりました」は、動詞「かしこまる」を丁寧にした言い回しです。まずは、「かしこまる」の意味を辞書で確認してみましょう。
かしこま・る【▽畏まる】
[動ラ五(四)]
1 身分の高い人、目上の人の前などで、おそれ敬う気持ちを表して謹んだ態度をとる。「陛下の御前に―・る」「―・ってあいさつする」
2 謹みの気持ちを表し堅苦しく姿勢を正して座る。正座する。「―・っていないで、ひざをお崩しなさい」
3 命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。「はい、―・りました」
4 堅苦しい感じがする。窮屈である。
「お政は学問などという―・った事は虫が好かぬが」〈二葉亭・浮雲〉
5 恐縮して感謝する。
「かくおはしましたる喜びを、又なき事に―・る」〈源・夕顔〉
6 わびを言う。言いわけをする。
「仏に―・り聞ゆるこそ苦しけれ」〈源・初音〉
7 謹慎する。
「三所ながら―・らせ給へりしかば」〈大鏡・師輔〉
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
辞書で調べると、意外にも多くの意味を持っていることに驚かされます。多くの意味を持つということは、それだけ用途や使う場面が多いということになります。
続いては、例文を見ながら、しっかり使い方を押さえておくことにしましょう。
「かしこまりました」の使い方を例文を用いて紹介
ビジネスシーンを想定しながら、使い方を紹介します。
1:「かしこまりました。本日の午後1時に、あらためてこちらからご連絡申し上げます」
取引先へ電話を掛けた時に、話したい相手が会議中などの場合を想定した例です。はじめに、「かしこまりました」と始めることで、相手の都合や事情を理解したことを伝えられます。活用場面の多い表現ではないでしょうか。
2:「お客様のご到着を、スタッフ一同かしこまってお待ちしておりました」
大切なお客様やゲストをお迎えした時などを想定した例です。相手の方を歓待する気持ちを伝えたい時、効果的な表現となることでしょう。
3:「そのように、かしこまられますと、こちらも心苦しくなります」
取引先などから、丁重な態度で依頼や挨拶を受けた時を想定したケースです。相手が、緊張し神妙な態度で接してきたときなどに、相手の気持ちを解きほぐし労う効果が期待できる表現です。覚えておくと、とっても便利ですよ。
「かしこまりました」の言い換え表現は?
正しく理解して使えば便利な「かしこまりました」ですが、だからこそ使い過ぎには注意が必要。頻繁に使ってしまうと、「言葉は丁寧だけど失礼」なんてことになりかねません…。
そこで、「かしこまりました」の言い換え表現を覚えておくことにしましょう。場面に合わせて使い分けられるようお役立てください。
1:承りました
「承りました」は、「つつしんでお受けする」という意味です。「かしこまりました」と言う場面で、言い換えて使うことができます。
例えば、「ご依頼の件、承りました」のように使うことができます。文字にして表すときは、送り仮名に要注意。思わず「承わり」などというようにしてしまいがちですが、送り仮名は「り」のみです。
ちなみに、「承る」は「うけたまわる」と読み、「受ける」や「聞く」、「伝え聞く」、そして「引き受ける」の意の謙譲語です。
2:承知しました
「承知」には、「要求や依頼などを承諾すること」や「事情などを知ること、許すこと」などの意味があります。「承りました」と同じ漢字が用いられていますね。
先ほどの「承(うけたまわ)る」と同じ漢字を含まれていますが、「承知しました」との方が自然な感じがしますし、言い間違えたり舌を噛むこともないでしょうね。
3:了解しました
「了解」は、「ある物事の内容や事情を理解して認めること」。「かしこまりました」や「承知しました」などよりも、ややカジュアルな場で使うことが多いです。気心の知れた相手などには、「了解!」と言うこともできます。
4:了承しました
「了解」と似た言葉として「了承」があります。「了承」とは、「ある物事や相手の事情をくみ、納得すること」という意味です。「了解」よりも「承認する」ことに重きを置いた表現になります。
「かしこまりました」を使う際の注意点
「かしこまりました」は、目上の方や社外の方に対して使う表現です。したがって、部下や同僚などに対して基本的に使うことはありません。部下や同僚に対しては、「了解しました」とか「分かりました」というのが適切でしょう。
ただ、気の置けない、遠慮などしなくてもいい同僚などに対して、頼まれごとを受けたときに、ふざけて「かしこまりました」なんていうことはあるかもしれませんね。
最後に
普段からよく使う「かしこまりました」。改めて知ると、目上の人やお客様とのコミュニケーションにおいて、大切な表現であることがわかります。
適切な場面で「かしこまりました!」ということで、お客様や上司との信頼関係が一層深まるように思いますが、皆さんはいかが思われますか?
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