「空前絶後」の意味は?
番組の宣伝などにも使われる「空前絶後」という四字熟語。皆さんは意味を理解していますか? ここでは改めて意味から解説していきますね。
アニメ『ドラゴンボール』のオープニング曲や、芸人であるサンシャイン池崎さんのセリフから、聞いたことがあるという方も多いでしょう。「空前絶後」は「くうぜんぜつご」と読みます。意味は、過去にも将来にもありえないほど珍しいこと。過去に起こった事例もなく、未來にも起こりえないだろうと思われるほど、きわめて珍しい様子のことを指します。
例えば、新型コロナウイルスによる「ステイホーム」はこれにあたるかもしれませんね。コロナ初期は、これまで当たり前に通っていた学校や職場が休みになり、外出自粛が要請されました。国民全体が家でゆっくり過ごしていたあの時間は、過去にもこれから先にもないかもしれません。「空前」はこれまでに一度もないこと。「絶後」は、今後決して同じようなことは起こらないということを意味します。
「空前絶後の超絶怒涛の…」ってどういう意味?
サンシャイン池崎さんのセリフの中には、「空前絶後の超絶怒涛のピン芸人」という表現がありますよね。こちらの意味についても見ていきましょう。
「超絶」は、他よりもはるかに飛び抜けて優れていることを指し、「怒涛」は、激しく押し寄せる様子の喩えとして使います。つまり、他にないほど優れており、勢いのすさまじいことを「超絶怒涛」と表現するのですね。作品を売りに出す時も「空前絶後、超絶怒涛の小説」などとアピールすることで、その作品の特別感を大いに演出できるでしょう。
例文で使い方をチェック!
ここからは「空前絶後」を使った例文を紹介していきます。前述したように、商品を売り出す時や、非常に稀な体験をした時に使う表現です。日常会話の中でも比較的使いやすい四字熟語なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1:人気アイドルのツアーがあるため、このあたりは空前絶後の人だかりになっている
人気アイドルのツアーがあると、ツアー会場付近は一気に賑わいますよね。ファンがホテルを押さえるために、隣接県のホテルまで全て予約が埋まっているなんてこともあるのだそう。普段は人が少なく静かな場所でも、ツアーやライブとなると、これまでにない人数が集まることもあるでしょう。
2:観光客の団体予約が入り、今日のバイトは空前絶後の忙しさだった
最近は海外からの観光客も増えていますよね。団体のお客さんが来ると、営業も一気に忙しくなるでしょう。皆さんも、「今日の仕事はありえないぐらい忙しかった」という経験はありませんか? そのような場合も「空前絶後」を使って表現することができます。
3:これは我が社の空前絶後のヒット商品である。
最近はSNSの影響で、良い商品をすぐに見つけることができます。クチコミや広告、またはインフルエンサーによる宣伝など、様々なツールで商品を知ることができるため、ヒット商品が生まれやすいとも言えるでしょう。人気のある商品はどんどんネット上で拡散されていくため、すさまじい勢いで売り上げが上がっていきます。その結果、これまでにないヒット数を獲得した空前絶後の商品が生まれるのでしょう。
4:空前絶後、超絶怒涛のラストシーン! 感動間違いなし!
映画やドラマの予告、宣伝でこのようなセリフを聞いたことはありませんか? これまでにない、面白い結末であることをアピールするセリフです。ラスト10分でストーリー展開がガラッと変わり、誰も予想できない結末になったりするのかもしれません。確かに「空前絶後、超絶怒涛…」なんて言われると、どんな作品なのか気になりますよね。
そのため、宣伝において「空前絶後」が使われることは多いでしょう。
5:こんなに豪華キャストが集まるなんて、これは空前絶後の作品だろう
テレビや映画を見ていて、登場するキャスト全員が、とても人気のある俳優さんだったりすることもありますよね。そんなに豪華なメンバーが集まるなんて、これはまさに空前絶後だと言えるでしょう。
このように、「空前絶後」は様々なシチュエーションで使うことができます。皆さんもぜひ、日常会話の中に取り入れてみてくださいね。
類語表現にはなにがある?
最後に「空前絶後」の類語表現をいくつか解説していきます。「空前絶後」の類語表現には、「前代未聞(ぜんだいみもん)」「未曾有(みぞう)」「曠前空後(こうぜんくうご)」「麒麟の一角(きりんのいっかく)」などが挙げられるでしょう。
1:前代未聞(ぜんだいみもん)
皆さんもよく知っている四字熟語ですね。これまでに一度も聞いたことがないこと、つまり非常に珍しい変わった出来事のことを言います。「先代未聞」とも言えるでしょう。使い方は「空前絶後」と似ていて「前代未聞の売り上げ」などと表現します。
2:未曾有(みぞう)
こちらも「前代未聞」と全く同じ意味になります。「未曾有」は「未(いま)だ曾(かつ)て有(あ)らず」という意味で、非常に珍しい事態を表すでしょう。「希有(けう)」という言葉も「未曾有」と同じ意味で使うことができます。
3:曠前空後(こうぜんくうご)
「空前絶後」と似た響きの四字熟語ですね。「曠前空後」とかいて「こうぜんくうご」と読みます。意味は、これまでにも、これからもないと思われるような非常に珍しい様子のこと。「空前絶後」と同じような使い方ができるでしょう。
4:麒麟の一角(きりんのいっかく)
きわめて珍しいこと、またはありえないことの喩えです。ここでいう「麒麟」とは、首の長いキリンではなく、古代中国から想像上の動物とされている生き物のこと。現実世界には存在しないために、「珍しい・ありえない」たとえとされています。「火中の蓮(かちゅうのはちす)」も「麒麟の一角」と同義のことわざでしょう。
最後に
「空前絶後」の類語表現はたくさんありましたね。類語表現の中でも、「空前絶後」のように「過去にも将来にもありえないこと」という意味の言葉と、「過去にはありえなかった」という過去に限定した意味の言葉があります。若干ニュアンスが異なるので、少し注意しておきましょう。
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