インシデントとは?
「ヤバい、こんなミスがあった!」「未然に防げてよかった…」そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか? ミスをせずに完璧に何でもこなすというのは、難しいことですよね。一方で、大事件に至らなくても、ミスは避けたいもの。本記事では、インシデントの意味、アクシデントとの違い、解決法を解説します。
インシデントとは、ちょっとした事件や出来事を意味する言葉です。ビジネスで用いる場合は、大きな事故や事件になる寸前だった事例やミスを指します。大事件に発展しない場合でも、インシデントが起こると、取引先や顧客などに悪影響を及ぼすかもしれません。企業にとっては、好ましくない出来事で、避けたいことであると言えますね。
インシデントに似た言葉で、「アクシデント」があります。意味は、不意の出来事、思わぬ故障、事故。予期せぬ出来事や、思わぬ事故といった意味合いが強いです。大事に至らなかった出来事はインシデント、大きな事故に発展してしまったものはアクシデント、と認識しておけば問題ないでしょう。
「ヒヤリハット」という言葉はインシデントに近い意味合いがあります。何か危険なことが起こりそうな際に、「ヒヤリ」「はっと」したことに由来。ヒヤリハットが発生しないインシデントもあるので、インシデントの中にヒヤリハットが含まれると覚えておくといいでしょう。
アクシデントに発展しないように、インシデントを発見した時点で、しっかりと対応しましょう。
ビジネスで発生するインシデント
ビジネスで気をつけなければならないインシデントについて見ていきます。これを機に覚えておきましょう。
1:ヒューマンエラー
最も身近で誰もが起こしやすいインシデントは、ヒューマンエラーと言えます。思い込みや見落とし、確認不足や不注意など、日常的に発生しやすいインシデントでしょう。
決まりきったことを淡々とこなすルーチンワークはヒューマンエラーを起こしやすいです。一人でチェックするのではなく、複数人で確認するなど、予防策を徹底しておきましょう。
2:ウイルスによる感染
スパムメールをうっかり開いてしまい、パソコンがウイルスに感染してしまったことが原因で、システム障害や機密情報の漏洩を起こしてしまうことも、インシデントと言えます。
その他に、サイトを閲覧しただけなのに、タブレットやパソコンがウイルス感染してしまうマルウェアサイト(「トロイの木馬」が有名ですね)、データを暗号化して、パソコンを使用できなくした後、復元することと引き換えに金銭を要求してくるランサムウェアといったものがあげられます。
インターネットを使用していない企業は今やほぼ皆無でしょう。どんな企業でも感染する危険性があります。
3:システム障害
ハードウェアの故障、ソフトウェアによるバグ、過負荷により、サーバーがダウンすることがあります。そうなると、ウェブサイトやアプリケーションへのアクセスが不可能に。ユーザーがサービスにアクセスできないことで、不満が増大することにつながります。
また、ビジネスでの運用が中断されると、収益に大きな影響を及ぼすことにもなり、障害の復旧にはコストがかかることにもなります。
定期的なバックアップやセキュリティ対策、モニタリングなど、システムの安定性を確保することが必要となるでしょう。
インシデントが及ぼす影響
インシデントが発生すると企業にどんな影響を及ぼすのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:社会的信用の低下
ウイルス感染による顧客情報や機密情報の漏洩は、企業の社会的信用を大きく損なうことにつながります。セキュリティに対する意識の低さは、企業のブランドイメージに大きなダメージを与えることに。
適切な対応が行われない場合は、さらに信用は低下するでしょう。隠ぺいや情報公開の遅延は信用を損なう要因となります。逆に、迅速で透明性の高い対応は信用を回復する鍵になりますよ。
2:コストや損害賠償が発生する恐れも
発生したインシデントには、復旧や対応に費用がかかります。ウイルス感染によるインシデントでは、システムが停止したことによる損失額、原因を究明するための調査費用といったものがあげられるでしょう。また、顧客情報や個人情報が漏洩した場合、刑事・民事において、同時に損害賠償を負うことも。
さらには、事業免許・取扱資格の取り消しや撤回、行政指導が行われることも考えられます。最悪の場合、業務停止も覚悟しておかなければなりません。
インシデントを克服する対処法
インシデントの発生を防ぐためには、対策を講じることが重要となります。ここでは2つ紹介。マスターしておきましょう。
1:社内規定の再確認やセキュリティ強化
インシデントの発生を防ぐには、日常的に社内規定を確認し、見直すことが必要です。業務フローの改善もしておきましょう。
また、セキュリティ対策を強化することがあげられます。セキュリティが脆弱である状態は、ウイルス感染のリスクが高くなり、サイバー攻撃の格好の的です。パスワードの強化、最新のセキュリティソフトウェアの導入、システムとソフトウェアの定期的な更新など、さまざまな対策を組み合わせ、インシデントのリスクを最小限に抑えましょう。
2:社内での周知・啓蒙活動
日常業務における確認不足や不注意から発生するインシデントは、社内での周知や啓蒙活動を行うことが有効であると言えます。
例えば、怪しいリンクや添付ファイルを開かないようにする、不明瞭な差出人からのメールに警戒する、受信者のアドレスを確認し誤って機密情報を送信しないように気をつける、といった基本的なことを周知することが重要です。
また、不測の事態が起こった際には、情報を迅速かつ早急に把握し、上長に報告するといった社員意識の徹底も大事です。組織の安定性と信頼性を継続することを心がけましょう。
最後に
本記事ではインシデントについて解説しました。インシデントは誰にでも身近に起こりえるリスクと言えます。自身が何気なく携わっている業務も、小さなミスが大きな事故に発展する可能性がはらんでいますね。一方で、ミスがない人はいません。ミスが起こった時、適切に対応できる準備、心構えを持っておくようにしましょう。
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