「一挙手一投足」の意味は?基礎知識を解説
「一挙手一投足」とは、「こまかな動作や行動」もしくは「ちょっとした努力」を意味する言葉で、読み方は<いっきょしゅいっとうそく>です。似た言葉に、「一挙一動」があります。
それでは言葉の詳しい意味や由来、似た言葉との違い、一挙手一投足を使ったフレーズ、使い方などの基礎知識を確認しましょう。
意味はこまかな動作や行動のことなど
一挙手一投足の意味は、大きく分けると以下の2つです。
<動作を表す場合>
こまかな一つひとつの動作や行動のこと。
<労力を表す場合>
ちょっとした努力。ほんのわずかな手間や労力。
一挙手一投足は、注目が集まっているときに指先を動かす場合などに使える言葉です。大きな行動全体を指す場合もあるものの、基本的には小さな動作を表現する際に使うといわれています。また、日々のなかで少しずつ積み上げていく努力も、一挙手一投足での表現に該当する内容です。
一挙手一投足の由来・語源
一挙手一投足の由来は、中国唐時代中期の詩人である韓愈(かんゆ)がまとめた「応科目時与人書(かもくにおうずるとき ひとにあたうるのしょ)」という書物だとされています。
由来となったといわれている文章では、「一挙手一投足の労」という言葉が2回でます。韓愈は家柄が良くはなかったため、官吏の登用試験を申し込むときに必要な推薦人が用意できませんでした。そこで、韓愈は試験官が自分を推薦する手間が「ほんのわずかな労力に過ぎない」と表現し、推薦してもらえるように依頼したのです。
なお、もともと一挙手一投足は主に「ちょっとした労力」の意味で使われていました。現代では使い方が変化し、こまかな動作や行動を指すことが多くなったといわれています。
「一挙一動」との違い
「一挙一動」は、一挙手一投足と似た意味で使われる言葉です。一挙一動とは「一つひとつの挙動」「ちょっとした振る舞い」を指します。たとえば、「走る」などの大きめの動作を一挙一動と表現します。
一挙手一投足との違いは、該当する挙動の大きさです。一挙手一投足は、「指先を動かす」などのように、一挙一動よりもさらに細かい挙動を指す傾向にあります。また、一挙手一投足には労力を表す場合があることも、一挙一動との違いです。
一挙手一投足を使ったフレーズ
一挙手一投足を使った使用頻度の高いフレーズには、以下のようなものがあります。
<一挙手一投足に気を配る>
一つひとつのこまかい動作に気を付けることを表現するフレーズ。
<一挙手一投足が気に障る>
こまかい動作すらも気に食わないことを表現するフレーズ。
<一挙手一投足の労>
少しの努力や労力であることを表すフレーズ。
一挙手一投足をうまく使えるように、これらの使用頻度の高いフレーズを知っておくと良いでしょう。
一挙手一投足の使い方・例文
それでは、簡単な例文で使い方をチェックしましょう。
<動作を表す場合>
・最近は、彼の一挙手一投足が気に触ってしまう。
・あの野球選手はどんどん記録を塗り替えていて、一挙手一投足に注目が集まっている。
・上司に一挙手一投足まで見られていて、緊張してしまう。
・義理の実家に顔を出す際は、いつも一挙手一投足に気を配っている。
<労力を表す場合>
・一挙手一投足の労を惜しまないようにしたい。
・最後に一挙手一投足の労を惜しまずに確認すれば、さらにミスを減らせるでしょう。
一挙手一投足の類語・言い換え表現
一挙手一投足の類語・言い換え表現の例は、以下のとおりです。
・立ち居振る舞い(たちいふるまい)
・挙動(きょどう)
また、先述の一挙一動も、一挙手一投足と言い換え可能な表現です。このほか、「一言一行(いちげんいっこう)」「挙措(きょそ)」「所作(しょさ)」「一言一句(いちごんいっく)」「一語一句(いちごいっく)」などとも言い換えられます。
それでは、一挙手一投足の類語・言い換え表現をさらに詳しく確認しましょう。
立ち居振る舞い(たちいふるまい)
立ち居振る舞いとは、立ったり座ったりする動作のことを指す表現です。「立ち居」とは「立ったり座ったりすること」という意味で、振る舞いとあわせて日常の動作を表しています。
「振る舞い(ふるまい)」や「立ち振る舞い(たちふるまい)」の表現でも言い換え可能です。また、日常の動き全般を意味する場合には、「起居(ききょ)」とも言い換えられます。
立ち居振る舞いの意味は具体的な動作だけではなく、以下のように全体的な身のこなしを指す場合もあります。
・彼女は立ち居振る舞いが美しくて上品だ。
・取引先に接しているときの立ち居振る舞いには、とくに気を付けたい。
挙動(きょどう)
挙動とは、人のちょっとした行動や様子を表すことが多い言葉です。先述の一挙一動の語源は、一説では挙動という言葉に「ちょっとしたことである」という意味の「一」を重ねているといわれています。
関連する「挙動不審」という言葉は、人の行動や様子が怪しいことを意味する表現です。たとえば、以下のように使います。
・挙動不審な人がいたため、しばらく様子をうかがっていた。
一挙手一投足を正しく理解しよう
一挙手一投足とは、「こまかな動作や行動」もしくは「ちょっとした努力」のことです。もともとは主に「ちょっとした労力」の意味で使われていましたが、現代では「こまかな動作や行動」を指すことが多いようです。
一挙手一投足と似た意味で使われる言葉に、一挙一動があります。これらの違いは、該当する挙動の大きさと、動作だけではなく労力を表す場合があるかどうかです。使用頻度の高いフレーズには、「一挙手一投足に気を配る」「一挙手一投足が気に障る」「一挙手一投足の労」などがあります。
言葉の詳しい意味や語源、使い方、類語表現などをあわせて確認し、多くの言葉を正しく使えるようになりましょう。