相関関係とは? 意味を解説
相関関係(そうかんかんけい)とは、2つのものが関わり合い、一方が変化すると他方も変化するような関係のことです。数学では、一方が増加すると他方も増加、あるいは減少する関係を指します。
たとえば、急に雨が降り出すと、コンビニエンスストアでビニール傘を買う方も増えるでしょう。
1. 予想外に雨が降る
2. 雨に打たれて濡れる人が増える
3. 手軽に購入できる傘の需要が増える
このように原因と結果に明らかな関係があるため「急な雨」と「コンビニエンスストアのビニール傘の売れ行き」には相関関係があるといえるでしょう。
一方、あるコンビニエンスストアでは、雨の日におにぎりの売上が減ることに気づきました。しかし、必ずしも売上が減るわけではなく、日によっては増えることもあったようです。
このようなケースでは「雨」と「おにぎりの売上」に一定の関係が見られないため、相関関係があるとは断言できかねます。特定の現象に相関関係が見られるときは、関係が生じるメカニズムを分析し、マーケティングや仕入れなどに活かせることもあるでしょう。
そうかん‐かんけい〔サウクワンクワンケイ〕【相関関係】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 二つのものが密接にかかわり合い、一方が変化すれば他方も変化するような関係。
2 数学で、一方が増加すると、他方が増加または減少する、二つの変量の関係。

日常生活ではどう使う? 例文をチェック
相関関係は数学や統計学で使われる言葉ですが、日常生活でも頻繁に使われる傾向が見られます。たとえば、次のように使うことがあるでしょう。
・どうやら君が学校をさぼるのとゲームの発売日には、深い相関関係がありそうだ
・彼の気分と彼女の機嫌には相関関係がある
・この表から、商品Aと商品Bに何らかの相関関係があると読み取れますか?
ビジネスではどう使う? 例文をチェック
ビジネスにおいても、相関関係という言葉がしばしば使用されているようです。たとえば、次のように使われます。
・売上と曜日には相関関係があるはずだ
・データから相関関係のある因子を抽出し、原因を分析しておいてください
・A社の売上と我が社の売上は負の相関関係がある
マーケティングや企画、戦略関係の業務に携わっている方なら、相関関係という言葉はよく耳にするかもしれません。
日常生活・ビジネスで使う統計用語
日常生活やビジネスでは、相関関係以外にもさまざまな統計用語が使われます。たとえば、因果関係や標準偏差、偏差値などの言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
状況に応じて適切に使い分けるためにも、各用語の意味を理解しておくことが必要です。それぞれの意味や使い方などについて簡単に見ていきましょう。

相関関係
相関関係は、一方が増加すると他方も増加、あるいは減少する関係を指すことが一般的です。一方の増加により他方も増加するときは「正の相関関係」、一方が増加すると他方が減少するときは「負の相関関係」にあると表現します。
・両者の間には正の相関関係が見られる
・創造性と知性には相関関係があるのだろうか
・相関関係にあるかどうかは、もう少しデータを増やさないと判断できない
ただし、相関関係にないからといって特定の物事の間に関係がないわけではありません。たとえば、y=x2のグラフを思い浮かべてください。
xが正の数の場合はxが増えるとyも増加するため「正の相関関係」にあるといえますが、xが負の数の場合はxが増えるとyは減少するため「負の相関関係」にあり、一律の関係にあるわけではありません。しかし、xとyには明らかな関係(y=x2)があり、両者は無関係とはいえないのです。
相関係数とは? 求め方も解説
両者に相関関係が見られるとき、どの程度の相関にあるかを数値化したものが「相関係数」です。xとyの相関係数は以下の計算式で求めます。
・相関係数=xとyの共分散/(xの標準偏差 × yの標準偏差)
相関係数は1~-1の範囲で表示され、1に近づくと「正」、-1に近づくと「負」の相関関係にあると判断します。なお、0付近の値が示されたときには相関関係ではないと判断することが一般的です。
散布図上では、変数が右肩上がりのときは1、変数が右肩下がりのときは -1に近づきます。いずれのグラフとも無関係な散らばりが見られるときは、0に近い数字で示されます。
相関関係が求められるケース
両者の間に比例的な関係が見られるかどうかを調べたいときは、相関係数を求め、1もしくは-1に近いことを数値で示すことが有効といえます。しかし、1もしくは-1に近い相関係数が算出されても、両者の間には相関関係がなく、偶然に関係があるように見えているケースも中にはあります。
相関係数が見せかけのものと疑われるときは、両者の変量の散らばりを散布図にまとめてみるとよいでしょう。変数1つずつに注目することで、偶然により相関係数が1もしくは-1に近くなったのか、本当に両者に関係があるのかを見極めやすくなります。

因果関係
因果関係とは、2つ以上のものの間に原因と結果の関係があることです。統計的に示されることもありますが、日常会話にも使われることがあります。
・宣伝と売れ行きには明らかな因果関係がある。宣伝をテレビで流した次の日はよく売れる
・君の行動と周囲からの評価の間には因果関係が見られる
不法行為をした人が法律上負担すべき責任の根拠の一つとして、因果関係が問われることもあります。
いんが‐かんけい〔イングワクワンケイ〕【因果関係】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 二つ以上のものの間に原因と結果の関係があること。
2 犯罪や不法行為などをした者が法律上負担すべき責任の根拠の一つとして、ある行為と結果との間に存在していると認められるつながり。
標準偏差
標準偏差とは、変量の平均からどの程度離れているかについて、変量と単位を合わせて示した数値です。異なる単位間であっても標準偏差を求めることで、平均値の周辺でどの程度のばらつきがあるか数値化できます。
なお、次に説明する偏差値は変量個々を評価したものですが、標準偏差はデータそのものを評価したものです。
ひょうじゅん‐へんさ〔ヘウジユン‐〕【標準偏差】
出典:小学館 デジタル大辞泉
資料の散らばりの度合いを示す数値。各資料の値と平均値との差、すなわち偏差の2乗を平均し、その正の平方根をいう。変動に富む現象について、変動の度合いを知るために用いる。SD(standard deviation)。
偏差値
偏差値は変量が正規分布として分布されていることを仮定し、標準偏差が10(分散が100)、平均が50になるように各変量を調整した数値のことです。50との差により、平均からどの程度離れているかを把握します。
なお、平均点周辺に多くの生徒が偏っている場合は、偏差値が50前後の生徒が多くなります。平均から著しく離れた生徒がいる場合は、偏差値は50から遠い数値として表示されるでしょう。
へんさ‐ち【偏差値】
出典:小学館 デジタル大辞泉
学力などの検査結果が、集団の平均値からどの程度へだたっているかを示す数値。偏差2を10倍し、それを標準偏差で割って50を加えた数として示されるのがふつう。
統計用語を正しく使い分けよう
生活の中でさまざまな統計用語や数学用語が使われるケースがあります。それぞれの意味を正確に把握することで、意図した内容を相手に伝えやすくなることもあるでしょう。
また、データから関係を読み取る際にも統計用語が必要です。この機会に、各用語の意味と使うシチュエーションを確認しておきましょう。
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