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「精算」「清算」2つの違いは
「精算」と「清算」の読みは「せいさん」。同じ読み方をする言葉のため、どちらを使えばいいか迷うことはありませんか? この2つの言葉、実は意味が異なります。ビジネスシーンで多用する言葉ですので、それぞれの意味や使い方は理解しておきたいですね。この記事では、詳しく解説します。
「精算」を辞書で調べると
「精算」には次のような意味があります。
▷【精算】読み方:せいさん
金額などをこまかく計算すること。特に、料金などの過不足を計算しなおすこと。「乗り越し運賃を—する」「—所」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「こまかい」や「緻密」を意味する「精」。緻密に計算する、こまかく計算するというイメージで捉えるといいですね。
「清算」を辞書で調べると
▷【清算】読み方:せいさん
1:相互の貸し借りを計算して、きまりをつけること。「借金を清算する」
2:会社・組合などの法人やその他の団体が解散したとき、その後始末のために財産関係を整理すること。
3:これまでの関係・事柄に結末をつけること。「過去を清算して再出発する」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「清算」にはさまざまな意味がありますが、「清める」「きれいにする」という意味の「清」が使われていることから、過去や関係にけじめをつけるという意味として用いられます。
このように、2つの言葉には明確な違いがあります。しかし、混同して把握している人も多く、誤用されやすいということも。そのため、使い分けが曖昧になっているケースも見受けられます。
使い方を例文でチェック:「精算」
ここからは2つの言葉の使い方を見ていきましょう。まずは「精算」の使い方を、例文を用いて紹介します。
「精算」の使い方
《例文》
・「経費精算のフローが変わり、見積書の添付が必須となった」
・「幹事が立て替えてくれた飲み会のお金は、本日中に精算する予定だ」
・「駐車場代を精算しようと思っていたのに、レシートが見当たらない」
経費の場合、何に使ったか、誰に対して使ったかなどを細かく申請しなければなりません。また内訳も細かく計算しますので、「精算」を使うと覚えておくといいですね。
どのような場面で使う言葉?
ビジネスシーンで「精算」を使うのは、お金関係のシーンが多いでしょう。経費の精算、運賃の精算のように、お金を細かく計算する際によく使われます。また、会食や飲み会にかかった費用を誰かが立て替え、それを参加者で割り勘にする場合も、この言葉を使いますよ。
使い方を例文でチェック:「清算」
「清算」についても見ていきましょう。複数の意味を持つため、それぞれの意味別に例文を紹介します。
「清算」の使い方
《例文:相互の貸し借りの清算》
・「4月までに借金を清算し、新たなスタートを切りたいと考えている」
・「退職を機に、ローン関係の清算手続きをした」
《例文;法人の解散》
・「廃業が決まったので、清算手続きを開始した」
・「会社を解散させるには、不動産の清算手続きをする必要がある」
《例文:関係や事柄の清算》
・「過去の出来事を清算し、出直しをはかることにした」
・「転居したので、自動的に人間関係も清算された」
どのような場面で使われる?
「はっきりとさせる」という意味合いが強い「清算」は、お金のこと以外に、物事や人間関係、出来事を意図的に整理するという意味合いでも使われます。けじめをつける、きれいに整理するという場面で用いられる言葉であると把握しておきましょう。
契約などで使われる「精算書」と「清算書」、何が違う?
ビジネスシーンでは「精算書」と「清算書」があります。特に、何かしらの売買契約の際、どちらの書類も出てくることがあり、混乱するかもしれません。この2つの書類には、次のような違いがあります。
・精算書:かかったコストなどの金額を細かく計算し、詳細な内容を記載したもの。経費精算などで用いられる
・清算書:金銭の受け取りや支払いについて明記したもの。過去の支払いを証明する際に用いられる
上記からもわかるように、この2つの書類には明確な違いがあります。しかし、似たイメージを持つ言葉のため、混同されて使われているということも。書類の名称と内容が違うというケースもありますので、不安な場合は相手に確認するといいでしょう。
「成算」と「概算」との違いは?
「精算」や「精算」と読みが同じ、もしくは似たイメージを持つ言葉があります。特に「成算」と「概算」は混同しやすいので、注意が必要です。
「成算」とは、成功する見込みのこと
「成算」を辞書で調べると、次の意味があることがわかりました。
▷【成算】読み方:せいさん
成功する見込み。「事業を軌道にのせる成算がある」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「成算」は、勝算があるという意味。「精算」や「清算」と異なるのは、過去ではなく未来のことを表すという点です。ポジティブさを感じさせる言葉でもあるため、誤用すると正しく意味が伝わらないということも。使い間違いのないよう注意したいですね。
「概算」は、だいたいの金額を示す
「概算」も辞書でチェックしてみました。
▷【概算】読み方:がいさん
[名](スル)大体の数量または金額を計算すること。「経費を概算する」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「ざっくりと計算して出した金額」を意味する「概算」は、プロジェクトや商品購入、仕入れなどの見積もりでよく用いられています。
「概算でいいので見積もりを出して欲しい」という依頼を受けて、算出することが多いのですが、これは相手が費用感を把握するためのもの。概算が実費と大きく異なることは避けなければなりません。
読み方が同じの言葉に注意
「精算」と「清算」のように、読み方が同じという言葉はたくさんあります。書面でこれらの言葉が使われることも多いですが、注意したいのは会話で登場した時です。読み方が同じのため、「どちらの意味だろう?」と判断がつかないこともあるかもしれません。
自分の解釈が不安、どちらの意味にも取れるという場合は、あとから困らないためにも、口頭で確認するといいですね。聞きづらいと思うかもしれませんが、ミスや失敗を防ぐには、相手に確認するのが一番です。
おわりに
「精算」と「清算」は、意味が異なりますが、その違いを知る人は意外と少ないかもしれません。意味の把握が曖昧だと、ミスコミュニケーションにつながることもありますので、注意したいところ。会話の中で同じ読みの言葉が出たら、不安な時は思い切って相手に確認するのがおすすめです。似た言葉はたくさんありますので、適切に使い分けができるようにしたいですね。
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