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パーパスとは「目的」や「意図」を意味する言葉
企業のホームページなどで見かける「パーパス」。企業の存在意義を表すものとして知られていますが、「経営理念」や「ミッション」などとどう違うのか、よくわからないという人もいるでしょう。
パーパスは、今後の企業経営の主流になると言われており、採用にも取り入れられています。企業の成長に欠かせないとされるパーパスとは何か、見ていきましょう。
パーパスの意味
▷パーパス【purpose】読み方:ぱーぱす
目的。用途。ねらい。意図。
《デジタル大辞泉》(C)Shogakukan Inc.より引用
パーパスは、企業の経営戦略やブランディングを表す際のキーワードとしてよく登場。「なぜその企業が存在するのか」や「その事業に取り組む理由」など、本質的な価値や目的などを表す言葉として用いられており、その企業において揺るぐことのない指針として活用されています。
パーパスが求められる理由
パーパスは最近になり、注目されるようになりました。なぜ今、パーパスが求められるのか、その理由を紹介します。
企業に求められることが変化した
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の採択以降、社会的責任を果たしたり、社会の課題を解決したりすることで企業価値を向上させるという考え方が主流になっています。この意識の変化により、企業活動においてパーパスを重視する傾向が強くなりました。
また、労働者の価値観が変化していることも、影響していると言われます。特にミレニアム世代やZ世代と呼ばれる若者層は、就職先を選ぶ基準として、その企業の持つ文化や社風、社会貢献度を重視する傾向が強め。そのため、パーパスを見直し、若者層の共感を得ることが重要な意味を持つようになりました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の影響
感染症対策により急激に普及した、DX化。リモートワークや印鑑レスが浸透し、企業の意思や方針決定のプロセスも大きく変化しました。DX化は、業務効率化だけでなく、ビジネスモデルや企業文化の変革も目的としています。そのため、自社の存在価値や、どのように社会や顧客に貢献していくのかを根本的に見直し、開示しなければなりません。
パーパスを明確にし、掲示するメリット
明確なパーパスを掲示するメリットには、何があるかを見ていきましょう。社内と社外、2つの視点から紹介します。
1:社内へのメリット
パーパスは、その企業で働く意義を明確にしたもの。パーパスを掲示することで、従業員は自分の取り組む業務がどのように社会や顧客に影響し、貢献につながるのかをリアルに感じやすくなります。
従業員自身が、自分は何のために働き、どのように役立っているのかを体感で知ることは、社内の士気を向上させてくれるということも。また、社内の士気が高まることで、生産性の向上にも期待が持てるでしょう。
パーパスが明確になることで、従業員が自発的に行動することを促進します。それにより、イノベーションの創出が活発化することも大いに期待できるでしょう。
2:社外へのメリット
パーパスを明確にして掲示することは、従業員以外のステークホルダーの信頼を得ることにもつながるとされています。ステークホルダーとは、その企業に対して、利害関係を持つ人のこと。具体的には、顧客や取引先、株主(投資家)、地域社会などが該当します。
また、パーパスは、その企業の活動内容を明文化しているため、企業がどのように動いているのかをイメージしやすいということも。パーパスを知り、共感する人が増えることで、おのずと企業ブランディングや認知度向上、売上向上などが実現します。
パーパスと似た言葉、意味を確認
ここからはパーパスに似た言葉を紹介します。いずれもパーパスとはニュアンスが異なりますので、違いを知っておきましょう。
「経営理念」
経営を行うにあたり、経営者や創業者の考えや信念、大切にしていることなどを明文化したのが、「経営理念」です。パーパスとの大きな違いは、経営者が交代すると変更される可能性があること。パーパスが変更されることはほとんどありません。
「ミッション・ビジョン・バリュー」
・「ミッション」
その企業が果たすべき「使命」のことを指します。パーパス実現のために何をすべきか、戦略や行動指針などを示すのが「ミッション」です。
・「ビジョン」
「将来の構想」や「展望」という意味を持ち、その企業が目指すべき未来の姿を表します。企業活動を実践・継続し、結果として得ることができるものと捉えていいでしょう。
・「バリュー」
「価値観」と訳されることが多い言葉。企業としてミッションやビジョンを実現するために、重要視する価値観や行動基準のことを指します。
上記の3つは、いずれも企業にとって重要ですが、パーパスほど社会のつながりは意識していないと言えます。また、「ミッション・ビジョン・バリュー」は、パーパスから構築されていると考えていいでしょう。
パーパスが関連する言葉
パーパスが関連する言葉についてもチェックしていきましょう。いずれも使われる頻度が増えていますので、覚えておくと役立ちますよ。
「パーパスブランディング」
パーパスを広く知ってもらい、多くの人の共感を得て、自社の商品やサービス、企業イメージのブランディング(ブランドを知ってもらい、価値を高めること)につなげるという手法です。パーパスブランディングの目的は、認知を拡大させること。利益拡大というよりも、多くの共感を得ることが重要視されます。
「パーパス採用」
その企業が持つ社会貢献性や、存在意義に共感した求職者を採用するという方法です。パーパス採用は、存在意義のマッチングを重要視しますので、年齢や属性、性別、国籍などは選考の対象にしません。パーパス採用の導入は企業に多様性をもたらす可能性が高く、それによる企業全体の活性化も期待できます。
「パーパス・ウォッシュ」
パーパス採用に関連する言葉。パーパスを設けたとしても、実現に向けた具体的施策がなければ、従業員や求職者からの共感や信頼は得られませんよね。「パーパス・ウォッシュ」とは、立派なパーパスを掲げているのに、中身がまったく伴わない状態のこと。パーパスを掲げる際は、実際の取り組みについても明文化しなければなりません。
最後に
「パーパス」は、企業の存在価値を表すものとして、近年注目を集めています。パーパスに基づいた経営をする企業も増えており、その効果は大きいことでも知られていますが、それは中身がともなってこそ。立派なパーパスを掲げるだけでなく、実際の取り組みについても具体的に掲示する必要があります。パーパスを重視する傾向は今後もさらに強まると考えていいでしょう。
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