今年一番の気づきを得た藤井貴彦アナウンサーの教えで「言葉ノート」を更新！｜徳島えりか連載vol.38

「言葉ノート」は日々アップデートしています

アナウンサーとして言葉への感度を高めるために日々書いている「言葉ノート」について、最近のアップデートをご紹介します。

▼前回の「言葉ノート」の記事はこちら！

アナウンサーの表現力を鍛える「言葉ノート」を初公開！｜徳島えりか連載v…

まずは、藤井貴彦アナウンサーから受けたフィードバックです。

アーティストやアスリートへのインタビューにおいて、相手をかしこまらせたくない、かたくなってほしくない、そんな思いからインタビューの一言目というのは気をつかうものです。

フランクな雰囲気を作ろうと、つい「〇〇って、～～ですか？」なんて、くだけた話し方を選んでしまいがちですが、それに対する藤井アナウンサーの言葉が「『〇〇って』ではなく『〇〇は』、と言ってもフランクさは十分に伝えられる。くだけた言葉に頼らずに、話しやすい空気を醸し出すことができないか、考え、取り組んでみよう」とのこと。

納得と、反省とで、今年一番の大きな気づきを得られた衝撃がありました。と同時に、助詞ひとつにも妥協せず、大切に考えているからこそ、藤井アナウンサーは心に響く言葉を紡ぐことができるのだなと、実感した瞬間でした。

スポーツの専門用語、どこまで説明する？

アナウンサーは言葉を用いて多くの人になるべく分かりやすく伝えられるよう苦心していますが、言葉でいうと、今年よくスタッフたちと協議になるのはスポーツの専門用語についてです。

WBCから始まり、バスケやラグビーのワールドカップがあるので、ニュースでもお伝えする機会が増えています。

スイーパー、アリウープ、ジャッカル…実際にニュースで出てきた単語ですが、どれほど皆様の中になじんでいるでしょうか。

たとえばバスケ用語で考えてみると、「レイアップシュート」は体育の授業で習った記憶があるけれど、「ターンオーバー」はどうだろうか…。その競技の経験が少しでもあれば、常識でしょ、と感じてしまうような言葉も、知らない人からするとまったく意味が伝わらず、その時点でニュースから置いていかれてしまいかねません。

スポーツ番組なら説明不要でも、朝の情報番組なら？ 夕方の報道番組なら？ 番組の視聴者層も含め考え、何か一言でも説明しよう、ではどう言えば分かりやすいだろうか…そんなことをよく話し合います。

辞書にまだ載っていない気象用語の読み方に悩む…

もう一つ、最近、気になった言葉が「雨柱」です。

おそらく、使ったことがある方、聞いたこともないという方、まだ分かれる言葉かと思います。ゲリラ豪雨など突然の局地的な雨を遠くから見ると、その場所だけ雲と雨が地面からそびえたつ柱のようになっている状況のことを指す言葉です。

近年の異常気象を受け、どうやら気象予報士など専門家の方が使い始めて、徐々に広がってきたようで、説明を聞けばイメージは頭に浮かぶものの、いきなり原稿で出てくると、何？ となる方もいらっしゃるでしょう。

そもそも、なんと読むのが正解でしょうか。もちろん、まだ辞書には載っていません。

“あめばしら”か“あまばしら”か…ネットで検索すると、どうやら“あめばしら”と読む人が多そう…。

でも「雨〇〇」という言葉は大抵「雨雲（あまぐも）」「雨脚（あまあし）」「雨粒（あまつぶ）」のように“あま〇〇”と読むよね…？（そもそも何故“あま〇〇”になるんだろうか？という話にもなったのですが、これは言語学のお話になるようです）

長年お天気情報に携わるスタッフ、学生スタッフ、みんなであれこれ話をして、まだ「雨柱」をいきなり使うのには早いような気がする、という意見でまとまり、結局その時は「雨の柱」、と間に「の」を入れることで落ち着きました。

局地的豪雨は多発しているので、来年には「雨柱」ももっと一般的な言葉になっているかもしれませんし、すっかりおなじみになった「ゲリラ豪雨」が新語・流行語に選ばれたのが2008年のことなので、そろそろ、突然降ってくるとてつもない雨のことを指す言葉がまた新しく生まれるかもしれません。

言葉の変化を感じつつ、慎重に、丁寧にお伝えしていきます。

最後に、近況をひとつ。

中高の同窓会に行ってきました！ 「いつも見てるよ〜！」といった”言葉”に元気をたくさんもらった時間でした。

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日本テレビアナウンサー 徳島えりか

1988年9月生まれ、東京都出身。O型。慶応義塾大学 法学部政治学科卒業後の2011年4月、日本テレビに入社。現在は、『シューイチ』『news every.』を担当。
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