連載30回目は、採用試験の思い出をお話しします!
日本テレビでも2024年度入社の新卒採用活動が始まりました。ということで、今回は私個人のアナウンサー試験の思い出についてお話します!
まずアナウンサーの採用試験で変わっていると思うのはエントリーシートです。一般的な経歴や特技などを書くのに加え、写真が多く必要になります。当時、「あなたらしい表情をした写真を貼ってください」と指定されて困惑した記憶があります。
私の就職活動はまだスマホ普及前(はじめてのスマホは大学4年生のときでした…!)だったので、日常の何気ない瞬間の、しかも自分一人で映っている写真というものがほとんど無かったので、家族旅行の際に両親に写真を多めに撮ってもらったり、一張羅のワンピースを着て公園に出かけたり…。
今は、この最初に提出するものが写真ではなく動画で、たとえば「1分間であなたらしさを表現してください」なんて指示が出るようです。
動画となると、コメントの内容、映り方、総合的に見られてしまうので、今言われても頭を抱えてしまいそうな難しい課題だと思うのですが、今の世代の方は撮影慣れしているのか、さらっと気負いなく取り組んでいるのを見ると、ジェネレーションギャップを感じます。
個別面接で湘南乃風を歌うことに…
さて、エントリーシートを提出するといよいよ採用プロセスが始まります。
年により、会社により、アナウンサーの採用試験は様々ですが、私の年の日本テレビは筆記試験、集団面接、個別面接と非常にオーソドックスなスタイルで、一発芸の披露や、フリートークで笑いをとった、なんてことは全くなく、粛々と志望動機や、やってみたい仕事などを話しました。
印象に残っているのは、40~50代くらいの面接官3人対わたし1人の面接です。面接官の一人から「落ち着いているように見えますが、あなたがはっちゃける時はどんな時ですか?」と聞かれました。
あまり深く考えず、たまたま面接の前日に友人とカラオケに行っていたので「友人とカラオケに行くと盛り上がります」なんて答えたところ…面接官からは「じゃあここで歌ってみてください!」と一言。
カラオケの話を自分で始めてしまいましたが、歌は全く得意でなく、カラオケも頻繁に行くわけではありません。十八番もなかったので、頭が真っ白に。必死に前日のカラオケの記憶を引っ張り出し、最後にみんなでワイワイと歌った湘南乃風『睡蓮花』を一節歌いました。
それまで「報道キャスターになりたいです」と、志望動機などを真剣に話していた学生が、突然「あ~真夏のジャンボリー!」と歌いだしたら、それは驚きますよね。しかもおそらく『睡蓮花』を知らなかったのであろう面接官のポカンとした表情は、10年以上たった今でも忘れません(面接をした会議室に行くと胸が苦しくなります)。
ただその時救われたのは、私に「歌って」と言った面接官が「あ~湘南乃風ね、人気なんですよ」とフォローしてくれたことですが、「へー・・・・・・」という残りの面接官の引いた空気を察し、「終わった」と感じました。
余談ですが、湘南乃風ね、とフォローしてくれた面接官は、なんと音楽番組担当プロデューサーだったのです。この人のおかげで入社できたと、今でも本当に感謝しています…。
就職活動は奇跡とご縁!
当時はテレビ局の採用試験が一番早かったので、面接自体にも不慣れでしたし、手ごたえはなく、前述のアクシデントのようなこともあり、いまだになぜ自分が採用されたのかは分かりません。
ただ、内定をいただいてから人事担当社員と話をする機会にぽろっと言われたのは「徳島が一番“普通”だったからだよ」という言葉でした。毎年、数人しか採用しないアナウンサーは、おそらくなんとなく、今年はこんな学生を採用したい、というイメージがあるのだと思います。私の年はそれが「“普通”な子」であり、そのイメージがどんなものだったのか具体的には分かりませんが、合致するのが私だったのかなと思います。
ということで、採用は奇跡とご縁なのだな、と心の底から感じています。今年はどんな学生さんとご縁があるのか、私も非常に楽しみです。
日本テレビアナウンサー 徳島えりか
1988年9月生まれ、東京都出身。O型。慶応義塾大学 法学部政治学科卒業後の2011年4月、日本テレビに入社。現在は、『シューイチ』『news every.』を担当。
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