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所見とは? 意味をチェック
健康診断などで見かける「所見」の言葉。見たことはあるけれど、はっきりとした意味は知らないという人もいるでしょう。所見とは2つの意味を持ち、ビジネスシーンではよく登場しています。「所見」が持つ2つの意味をチェックし、使い方をマスターしましょう。
「所見」の意味は2つ
「所見」には次の意味があります。
▷【所見】読み方:しょけん
1:見た事柄。見た結果の判断や意見。「医師の所見によれば」
2:ある事についての意見、考え。「所見を述べる」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
よく目にする「医師の所見」は、診察や検査結果などから、疾病や体の状態を判断した医師の意見という意味。健康診断の結果表に記載される「所見」も、同じ意味合いになります。他にも、「教師の所見」のように使われていますよ。
「所見」とは、どのように使う? シーン別に例文を紹介
ここからは「所見」の使い方を見ていきましょう。例文も一緒に紹介しますので、参考にしてください。
シーン1:通知表(通信簿)
通知表には「所見欄」があり、教師が見ている学校での子供の様子や、それに対する教師の意見や感想を記入します。子供の保護者は、「所見欄」を見て、子供の状況や教師の意見などを把握することができます。
子供がどのように学習に取り組んだか、どんな成長をしたかを具体的に記述することで、保護者と情報を共有し、子供の意欲向上につなげることができるわけです。
《例文》
・通知表の所見欄には、先生から見た子供の様子がわかりやすく書かれていた
・所見欄を書く時は、自分だけでなく、他の先生からも意見をもらうようにしている
シーン2:病院や健康診断
医師が、担当する患者に「見立て」を告げる際、「所見」という表現で、意見や考えを伝えます。また、健康診断結果表や病院の診断書などには「所見欄」がありますが、これも診断した医師の意見や考えだと捉えて問題ありません。
《例文》
・検査結果次第だが、医師の所見によると大きな病気の可能性は低いそうだ
・健康診断の結果に「所見あり」と書かれていたので、生活を見直そうと考えている
シーン3:ビジネスシーン
ビジネスシーンでも同様に、自分の意見や判断を伝える際に「所見」を使います。また、相手に意見を求めたい時も、「所見」を使うことが多いでしょう。
《例文》
・この分野の専門家に問い合わせ、所見を伺いたい
・人事評価の所見に何を書くか、いつも迷う
・商品のアンケート結果を見て、所見を述べてください
「所見」と間違えやすい言葉とは?
「所見」には、複数の混同しやすい言葉があります。「所見」と間違えやすい言葉について、それぞれ意味を見ていきましょう。
「所見」と間違えやすい言葉:初見
漢字表記は異なりますが、読み方が同じの「初見(しょけん)」は、「初めて見る、初めて会う」ことを意味します。たとえば、初めて楽譜を見て、すぐに演奏できることを「初見演奏」と言い、プロの音楽家は難なくできることが多いとされています。
「所見」とは意味がまったく異なりますが、読み方が同じのため、文字変換の際に誤って使ってしまうということも。どちらの言葉の意味も把握しておき、誤用しないようにしましょう。
「所見」と間違えやすい言葉:所感
「所感(しょかん)」も混合されやすい言葉です。「所感」とは「折に触れて心に感じたこと、感想」を意味しますが、「所見」とはニュアンスが異なります。
どちらも感想を示す言葉ですが、「所見」は結果に対する判断や意見、「所感」は何かに触れて心が動いた結果として抱いた感想というニュアンスになるので、注意してください。「所感」の方が、その人自身が感じたことをより重視すると考えていいでしょう。
ビジネスシーンにおいては、結果に対する意見を述べる際は「所見」、自分が感じたことや経験したことの感想を述べる際は「所感」という使い分けをすることが多いでしょう。
「所見」と間違えやすい言葉:書見
「書見(しょけん)」は、「書物を読むこと、読書」を意味しますが、「所見」と読み方が同じため、やはり文字変換で誤用されやすい言葉です。「書見」は本を立てる際に使う「書見台」のように使うため、「所見」とは意味も使い方も異なります。
「所見」の言い換えになる言葉とは?
もし「所見」を言い換えるとしたら、どのような言葉が適しているか、チェックしていきましょう。
「所見」を言い換えるには
「所見」を言い換える場合、次の言葉を使うといいでしょう。
・コメント
・意見
・主観
・見解
・考え
・判断
・所論
言葉やシーンによっては、「所見」と少しニュアンスが異なるケースがありますので、気をつけましょうね。
「所見」を使う際、注意したいこと
実際に「所見」を使う場合、意識したいことを見ていきましょう。
「所見」の意味はあいまいになりがち
「所見」はビジネスシーンなどでよく使われますが、その意味や使い方についてはあいまいにしか知らない人が多いでしょう。「所見」がどのような意味を持つのかを把握していれば、誤用を避けることができるので、あらためて意味や使い方を確認しておきたいですね。
最近は、手書きで文字を書く機会が減っていますので、文字変換ミスによる誤用が多いはず。よく確認したのに、あとから読み直して冷や汗をかくというのは、誰もが経験していることでしょう。
また、文字変換が正しいと思い込むあまり、間違った漢字や意味のまま覚えてしまい、ずいぶん経ってから誤解に気づくということも…。「所見」はそれに該当しやすい言葉かもしれません。
文字変換で言葉を選ぶ際、意味や使い方をよく知らない言葉については調べてみるようにすると、誤用防止になりますよ。
最後に
「所見」は、通知書や健康診断結果表、診断書などでよく見かける言葉です。しかし、意味や使い方を明確に知っているという人は少ないかもしれません。「所見」は、同じ読み方の言葉と混同されがちですが、それぞれ意味は異なります。
また、意味が似ている「所感」と誤用されることもありますので、それぞれの言葉の意味を把握しておきたいですね。誤用に気がつかず、あとから知って慌てることを防ぐためにも、意味のあいまいな言葉については、都度調べることをおすすめします。
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