「宝の持ち腐れ」とは?
日常生活でもよく使う「宝の持ち腐れ」という言葉。言葉からなんとなく意味を理解できる人も多いかもしれませんが、果たして正確な意味を把握しているでしょうか? 本記事では、改めて「宝の持ち腐れ」の意味について確認していきましょう。
「宝の持ち腐れ」には、次のような2つの意味があります。役立つものを使わずしまっておくこと。また、優れた才能があるのにも関わらずそれを活用しないこと。このことわざは、物と人どちらに対しても使うことができるでしょう。
例えば物の場合、高価な商品を買ったのに使うのがもったいなくてずっと引き出しにしまってある、というような状態を「宝の持ち腐れ」と表現できます。人の場合は、その分野の資格を持っているのに、全く違うジャンルの部署に配属された時などに使うことができるでしょう。
よく類語表現として「無用の長物」という言葉を思い浮かべる人がいます。「無用の長物」とは、あっても役に立たずかえって邪魔になるもののこと。「宝の持ち腐れ」と違って、役に立たないものを対象にしており、またかえって邪魔になるというニュアンスを含んでいることから、類語表現として適切ではありません。細かなニュアンスの違いに注意して意味を捉えましょう。
「宝の持ち腐れ」を使った例文を紹介
皆さんも「宝の持ち腐れ」ということわざを使う機会は多いでしょう。実際に例文を用いて、使い方を紹介していきます。具体的なシチュエーションを思い浮かべながら参考にしてみてくださいね。
1:自撮り棒を買っておいたのに、旅行に持って行くのを忘れてしまった。まさに宝の持ち腐れだ。
ある目的のために用意していたものを、当日に忘れてしまうことって多々ありますよね。役立つ物を持っているのに、それを使わないまましまっておくことを「宝の持ち腐れ」と表現します。宝というと高価な品物を思い浮かべるかもしれませんが、「宝の持ち腐れ」では価値のあるもの、役に立つものという意味です。
2:英和辞典をプレゼントしたのにも関わらず、未だにスマートフォンで調べ物をする息子…。彼にとって、英和辞典は宝の持ち腐れである。
今の時代、スマートフォンひとつあればできてしまうことがたくさんあります。調べ物をする時も、手軽にどこでも検索できるスマートフォンを使うことが多いのではないでしょうか? しかし、インターネット上の情報は誰でも発信できるからこそ、信憑性に欠ける場合もあります。辞書を引くのは少し手間がかかりますが、本当に知りたい情報を教えてくれる価値のあるものだと言えるでしょう。
3:あんなに優秀な彼をプロジェクトリーダーに推奨しないなんて、宝の持ち腐れだよ。
上記の2つは、物に対する「宝の持ち腐れ」の使い方でした。ここからは、人を対象にして使う場合を紹介していきますね。この例文は「優秀な人材を活用できていない」といった場面を表しています。才能がある人はそれを発揮できる場所にいた方が、その人にとっても会社にとっても有益な結果となることが多いでしょう。
たくさんの人が関わるビジネスでは、才能があってもそれを周知させることが難しく、「宝の持ち腐れ」状態になることも多いのかもしれません。
4:せっかく身長が高いのに、サイズに合わない服を着ていたら宝の持ち腐れだよ。
才能や技量だけでなく、スタイルやルックスなどに使うこともできます。いくら身長が高くてスタイルが良くても、選ぶ服のサイズが合っていなかったり、身だしなみが整っていなければ残念な印象を与えてしまうこともあるかもしれません。相手に良い印象を与えるには、最低限の身だしなみを整えておくと良いでしょう。
類語表現にはどんなものがある?
さて、「宝の持ち腐れ」の類語表現にはどんなものがあるのでしょうか? ここでは3つの類語表現について解説していきます。細かなニュアンスの違いに注意して、こちらも一緒に覚えていきましょう。
1:箪笥の肥やし(たんすのこやし)
箪笥にしまい込んで取り出さないまま、ほとんど着ていない服のこと。転じて、持っていても意味がないという意味を表します。「宝の持ち腐れ」は人とものどちらにも使うことができる表現でしたが、「箪笥の肥やし」は物に限定して使うことができるでしょう。
2:猫に小判(ねこにこばん)
こちらも聞き覚えのある慣用句なのではないでしょうか? 高価なもの、貴重なものを与えても、その価値が分からない者に与えてはなんの意味もないことです。「猫に石仏」も同じ意味の表現として使います。「本人はその価値を理解していない」という少し皮肉のニュアンスが含まれるため、使う際には注意しましょう。
3:豚に真珠(ぶたにしんじゅ)
豚に真珠を与えても意味がないことから、価値の分からない者には貴重なものを与えても役に立たないという意味を表します。「猫に小判」とほぼ同義だと言えるでしょう。
「宝の持ち腐れ」は、「価値のあるものを活用しないと無意味である」というニュアンスであるのに対して「豚に真珠」は「そもそも価値のあるものを与えることが無駄だ」というニュアンスを持っています。
「宝の持ち腐れ」を英語で言うと…?
最後に「宝の持ち腐れ」の英語表現を見ておきましょう。「宝の持ち腐れ」は、「a useless treasure(利用されない宝)」「a waste of talent(無駄な才能)」などというように表現されます。他にも、「Not possession but use is the only riches」で「所持することではなく、使用することこそが豊かさである」という意味を表すこともできるでしょう。様々な言い回しがあるので、文脈によって使い分けられると良いですね。
最後に
もしも「宝の持ち腐れだよ」と言われた時は、あなたの才能に期待しているからこその発言かもしれません。少なくともあなたに才能があることを相手は分かってくれているのです。才能は持つものではなく、活かすもの。より良い活かし方を考えることから始めてみましょう。
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