目次Contents
この記事のサマリー
・「蓋然性」は「がいぜんせい」と読み、「確実性の度合い」を表す言葉。
・「可能性」は広く一般的な見込みを示します。
・「見込み」「公算」「確率」などに言い換えられます。
「蓋然性(がいぜんせい)」という言葉、聞いたことはあるけれど意味を説明できるかというと自信がない… そんな人も多いのではないでしょうか? しかし、理解しておくと会話や文章で知的な印象を与えられます。
本記事では、「蓋然性」の正しい意味から「可能性」との違い、例文や言い換え表現まで、幅広く解説していきます。
「蓋然性」とは? 読み方と基本の意味
まずは基本的な読み方と意味を確認していきましょう。
「蓋然性」の読み方と意味
「蓋然性」は「がいぜんせい」と読みます。意味は「ある事象が起こる確かさの度合い」です。
辞書では、次のように説明されていますよ。
がいぜん‐せい【蓋然性】
ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い。確からしさ。これを数量化したものが確率。「―の乏しい推測」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「蓋然性」と「可能性」の違い
多くの人が最初につまずくのが「可能性」と「蓋然性」の違いです。どちらも「起こり得ること」を示しますが、ニュアンスや使われる場面には違いがあります。ここではその境界を整理し、誤用を防ぐ知識を身につけましょう。
「可能性」は一般的な予測
「可能性」は日常会話からビジネス文書まで広く使われる言葉です。基本的には「物事が実現できる、またはそうなり得る見込み」を意味します。辞書には次のように記されていますよ。
かのう‐せい【可能性】
1 物事が実現できる見込み。「成功の―が高い」
2 事実がそうである見込み。「生存している―もある」
3 潜在的な発展性。「無限の―を秘める」
4 認識論で、ある命題が論理的に矛盾を含んでいないという側面を示す様態。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
このように「可能性」は幅広く使える便利な言葉で、未来の見込みだけでなく、現在の状況や潜在的な能力についても表すことができます。
蓋然性は「確実性」の度合い
一方の「蓋然性」は、「確実性の度合い」を指します。主観的な判断に依拠する部分もあり、数量的に表現すると「確率」に近い概念になります。
つまり「蓋然性」も「可能性」も何かが起こり得る、あるいは、ある状態になり得る見込みを表しますが、「可能性」が広く一般的な見込みを指すのに対し、「蓋然性」は「どのくらい確かか」を表す言葉だといえるでしょう。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
使い方を例文でチェック!
蓋然性の意味を確認したところで、具体的な例文を見ていきましょう。蓋然性は主に、「蓋然性がある・ない」「蓋然性が高い・低い」で表されます。
「この計画が成功する蓋然性は高いと考えられる」
成功の見込みを表す言い方です。文章の中で用いることができます。
「この仮説が正しいという蓋然性は乏しいが、さらなる検証が必要だ」
学術的な文脈で使われるパターン。「蓋然性が乏しい」は確実性の度合いが低いことを表します。

「蓋然性」の類語と言い換え表現
「蓋然性」は知的な響きを持つ一方、日常の会話やビジネス文書でそのまま使うと堅く感じられることがあります。そんなときには、状況に合わせた言い換え表現を選ぶことがおすすめ。ここでは代表的な類語を紹介します。
見込み
「見込み」は、先行きの予想や将来の可能性を示す表現です。例えば「来月の契約成立の見込みがある」といえば、具体的な成果が期待されるニュアンスになります。蓋然性よりも日常的で、柔らかい言い回しとして使えます。
公算
「公算」とは、ある事が起こる確実性の度合いを指す言葉です。数字にできない予測を「大きい」「小さい」といった表現で示すのが特徴です。
例:「今期の黒字化は公算が大きい」「この案が採用される公算は小さい」。
新聞記事やビジネス会話でも使われやすく、知的な印象を保ちつつ、「蓋然性」よりも柔らかく表現できるでしょう。
確率
「確率」は、確実さを数値で表す際に用いられる言葉です。統計やデータ分析では欠かせない表現で、「成功する確率は90%」のように具体的な数値を伴うのが特徴です。蓋然性が抽象的な「確からしさ」であるのに対し、確率は数量的に裏付けられた「客観的な指標」となります。
英語で表す「蓋然性」
「蓋然性」は英語で表すと、“probability”になります。高い場合は“high”や“strong”、より高い蓋然性には、“greater”や“increased”。低い場合は“low”と表します。
参考:『小学館 オックスフォード 英語コロケーション辞典』(小学館)

「蓋然性」に関するFAQ
ここでは、「蓋然性」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「蓋然性」と「可能性」の違いは何ですか?
A1. 「可能性」は広く一般的な見込みを示し、「蓋然性」は「確実性の度合い」を表します。
Q2. 英語ではどう表現しますか?
A2. “probability”が対応します。
Q3. NGな使い方は?
A3. 「明日の飲み会は、盛り上がる蓋然性がある」などカジュアルな場面で使うと違和感があるでしょう。
最後に
「蓋然性」は一見難しく感じられますが、正しく理解すれば知性を印象づける強力な言葉です。ぜひTPOに合わせて使い分け、言葉の力を磨いてみてください。
TOP画像/(c) Adobe Stock