あまり馴染みのない「蓋然性」という言葉。皆さんは、何と読むか、またどういう意味なのかわかりますか? 本記事では、「蓋然性」という言葉について、詳しく見ていきましょう。
蓋然性とは?
まずは、蓋然性の読み方や意味をわかりやすく解説します。これを機会に、しっかりと言葉の意味を把握しましょう!
意味・読み方
蓋然性の読み方は「がいぜんせい」です。意味は、「物事が起こる確実性の度合い」「確からしさ」。ちなみに、蓋然を具体的に数量化したものが「確率」です。蓋然性は、はっきりとした数値として表せないけれども、物事が多分そうなるだろうといった時に使われます。
蓋然性と可能性の違いは?
蓋然性と似た言葉に、「可能性」があります。可能性とは、「物事が実現できる見込み」「事実がそうである見込み」などの意味を持つ言葉です。どちらも、「おそらくそうなるだろう」といった推測の意味合いを含み、使い分けが難しいですよね。具体的な使い方を見ていくことで、両者の違いをつかんでいきましょう。
可能性は、1%でも見込みがあるなら、「可能性はある」と言うことができます。一方で、蓋然性は、見込みが低い場合には、「蓋然性はある」とは言えません。
例えば、どんなに優秀な選手だとしても、もし怪我をしている場合、ホームランを打つ見込みは低いと言えますよね。この場合、「あの選手がホームランを打つ蓋然性は低いが、可能性はある」と表すことができます。
使い方を例文でチェック!
蓋然性の意味がわかったところで、具体的な例文を見ていきましょう。蓋然性は主に、「蓋然性がある・ない」「蓋然性が高い・低い」で表されます。
1:過去の実績を見ても、この商品は売れる蓋然性が高いでしょう。
蓋然性が高いとは、「そうなる確率が高い」という意味です。蓋然性は、具体的な数値で表されるものではありません。ですが、この例文のように客観的な事実やデータに基づいて評価されたり、判断される場合に使われることが多いです。
2:あの地域は、災害が発生する蓋然性のない地域だったはずだ。
「蓋然性のない」とは、「そうなる確率がない」という意味。確率がかなり低い場合に使われる表現です。この例文は、災害が起こる確率が極めて低いとされる地域で、なんらかの災害が発生したことがうかがえますね。近年では、全国各地で未曾有に災害が増えています。そんな状況を表した文章です。
3:上司の推測は、蓋然性に乏しい。
蓋然性は、「蓋然性に乏しい」「蓋然性に欠ける」といった表現でも使えます。「確かさに欠ける」「確かさが不十分」といった意味合いです。
類語や言い換え表現は?
蓋然性は、あまり聞き慣れない言葉ですよね。そのため、蓋然性を使う時は、そのほかの聞き馴染みのある言葉に言い換えた方がよいかもしれません。蓋然性と同じような意味を持つ言葉をいくつか紹介します。
1:確率
「確率(かくりつ)」は、どんな方にとっても馴染みのある言葉ではないでしょうか? あらためて意味をおさらいしておきましょう。確率とは、「物事が起こる可能性の度合い」という意味。蓋然性は、「物事が起こる確実性の度合い」という意味ですから、ほとんど同じ意味の言葉と言えそうですね。
2:見込み
「見込み(みこみ)」も、本記事で何回か登場した言葉です。意味は、「先行きの予想」「将来の可能性」など。「将来、成功する見込みがある」「来年3月に卒業する見込みだ」などと使われます。
3:公算
「公算(こうさん)」も、あまり聞き慣れない言葉ですが、蓋然性の類語にあたるので紹介しておきましょう。公算とは、「あることが起こる確実性の度合い」です。公算は、「公算が大きい」「公算が高い」「公算が多い」などと使われます。
対義語は?
蓋然性とは、反対の意味を持つ言葉を紹介します。語彙を増やせるのはもちろんのこと、反対の意味を持つ言葉を見ていくことで、蓋然性のイメージもよりつかみやすくなりますよ。
1:必然性
蓋然性の反対の意味にあたる言葉は、「必然性(ひつぜんせい)」です。必然性とは、「必ずそうなると決まっている要素や性質」のこと。蓋然性は、「おそらくそうなるだろう」という意味合いで、その結果を断言できるものではありません。しかし必然性は、「必ずそうなる」と自信を持って断言できるものに対して使われます。
2:必至
「必至(ひっし)」とは、「必ずそうなること」「そのことが必ずやってくること」という意味です。「必ずそうなる」という意味合いで、そうなる可能性が高い場合に使われます。
3:不可避
「不可避(ふかひ)」の意味は、「避けられないこと」。「倒産は、不可避だ」「不可避の事態」などと使われることが多いです。
英語表現は?
日本語での類語や対義語を確認したところで、英語表現も一緒に見ておきましょう。蓋然性の英語表現は「probability」です。「probability」は、「起こりそうなこと」「見込み」「確率」などの意味を持つ英語。いくつか例文も紹介しますので、海外の方とやりとりをする時に役立ててください!
・There is a high probability that it will rain tonight.(今夜は雨が降る見込みが高い)
・There’s a low probability of his coming.(彼が来る確率は低い)
・The probability that she will be elected is very small.(彼女が当選する可能性はとてもわずかだ)
最後に
蓋然性について、意味から使い方、言い換え表現、英語表現まで解説しました。ややかたいイメージの言葉ですが、言葉の持つニュアンスはつかめたでしょうか? 蓋然性は、ニュースや論文、法律などのシーンでたまに耳にする言葉です。いざ聞いた時に、すぐに意味がわかるよう、これを機に蓋然性という言葉への理解を深めてみてくださいね!
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