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「小職」の意味とは? ビジネスでも使える?
「小職」って言葉、見たり聞いたりしたことはありますか? 会話中に出てくると「この人は少食なの?」「装飾って言った?聞き間違い?今そんな話してたっけ?」など、勘違いしてしまいそうですよね。
また、なんとなくニュアンスはわかるけれども、本当の意味はわからないまま使っている、もしくは見聞きしている言葉の一つかもしれません。そこでここでは「小職」について深掘りしていきます。「小生」、「当方」、「弊職」など似ている言葉との違いについてもはっきりさせましょう!
小職は「しょうしょく」と読みます。意味は、「低い官職」もしくは「官職についている人が自分をへりくだっていう語」です。
官職とは国家公務員に割り当てられる職のことを指しますが、現在では一般企業の社員も「小職」という言葉を使用しています。とはいえ、一般企業の中で使うのは、管理職クラス。役職についていない社員が使うのは不自然ですので、控えた方がよさそう。
「小職」の使い方を例文でチェック
「小職」の意味については把握できたでしょうか? ここでは、具体的にどのように使用すればいいのかを見ていきましょう。
「ご不明点等がございましたら、小職まで遠慮なくご連絡ください」
「小職」は一人称ですので、「私」に置き換えられる文章になります。主に「小職」という言葉は、手紙やメール等、書き言葉として使われることが多いです。
「小職の後任として、鈴木さんが着任されました。今後何かございましたらご相談いただければと存じます」
こちらも「私」に置き換えられますね。へりくだって表現したい時に使用します。
「小職も微力ながら、ご支援申し上げます」
小職を使うのは、主に管理職クラスだと申し上げました。その管理職クラスの人が、この例文のように「ご支援申し上げます」と言うのであれば、かなりのサポートが期待できますね。
「小職」と間違いやすい言葉は?
「小職」の他に、「当方」、「弊職」、「小生」という言葉もビジネスシーンで耳にしたことがあるかと思います。それぞれの違いについて、ご存知でしょうか? 解説していきます。
当方
「当方」は「とうほう」と読みます。「自分の属している方」、「自分の方」という意味です。つまり、一人称としても使えますが、自分が属している組織やグループのことを指すこともできるところが、「小職」とは異なる点ですね。
[例文]:「当方で原因を究明しております。今しばらくお待ちください」
弊職
「弊職」は「へいしょく」と読みます。企業、組織間で交わす文書などで、その職務についている自分自身をへりくだっていう言葉です。「弊職」は、「弊社」と「小職」を合わせた造語だとも言われています。ですから、ビジネスシーンで使うのは控えた方がいいでしょう。
小生
「小生」は「しょうせい」と読みます。一人称で、男性が自分をへりくだっていう言葉です。「小職」は男女問わずに使えるので、この点が異なりますね。主に手紙文で使われますよ。この言葉は、自分と同等か目下の人に対して使うとされています。したがって、上司や取引先の人に使ってしまうと、横柄に受け取られかねませんのでご注意ください。
[例文]:「先日、小生は体調不良のためお休みをいただいておりました」
「小職」を使う時の注意点
ここまで「小職」の説明をしてきましたが、使う際には気をつけなければならない3つのポイントがあります。それぞれご確認ください。
役職についていない社員が使うのはNG
先述しましたが、「小職」を使うのにふさわしいのは、なんらかの役職についている人。ビジネスメールだからかしこまった表現をしたいと思って、「小職」を使わないよう注意しましょう。役職についていない人は、「私」と表現するのがいいですね。
目上の人に使うのはNG
「小職」は位のある人が自分をへりくだって表現する言葉です。要は「高い立場」にいる自分をへりくだる際に使う表現ですから、自分より高い立場の人に使うのは、これまた不自然ですよね。謙虚さがないとも受け取られかねませんので、注意しましょう。
堅苦しい印象を与える可能性あり
「小職」と言われると、堅苦しく形式ばった印象がありますよね。それに加えて、地位のある自分をへりくだって表現する言葉ですから、暗に「自分は偉いんだぞ!」と言っていると受け取る人もいます。そんなつもりはなくても、偉そうな印象を与えることもありますので、心に留めておいてください。
「小職」の類語にはどのようなものがある?
ラストに、同じ意味を持つ言葉をご紹介します。
当職
当職の読み方は、「とうしょく」。一人称で、その職務についている人が「自分」という時に用います。謙譲表現ではないところが、「小職」と異なります。
[例文]:「この件につきましては、当職が担当させていただきます」
下名
下名の読み方は、「かめい」。一人称で、自分をへりくだっていう言葉です。堅苦しい印象がしますので、使うシーンには注意しましょう。
[例文]:「遠慮なく下名までご用命ください」
本職
本職の読み方は、「ほんしょく」。「本職」は、官職にある者が自分を指して使う言葉です。ですから、本来の「小職」の意味に近いですね。しかし、へりくだった表現ではありません。意味を同じくする言葉に「本官」がありますよ。
最後に
いかがでしたか? 今後ビジネスシーンで「小職」が出てきたとしても、頭の中で「少食」ではなく、「小職」に結びつくでしょうか。ビジネスシーンで自分をへりくだって表現したいという時に、“なんとなく遠慮がちな雰囲気があるし”と思って使ってしまうと、思わぬ勘違いをされてしまうこともわかりました。気をつけたいですね…。
慣れない言葉は意味をしっかりと把握した上で使い、責任を持って発言しなければならないですね。
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