【目次】
・「小職」の意味とは? ビジネスでも使える?
・「小職」の使い方を例文でチェック
・「小職」と間違いやすい言葉は?
・「小職」を使う時の注意点
・「小職」の類語にはどのようなものがある?
・最後に
「小職」の意味とは? ビジネスでも使える?
「小職」という言葉を見たり聞いたりしたことはありますか? 会話の中で出てきた際には、意味を把握していないと「この人は少食なの?」と勘違いしそうにもなりますね。
また、なんとなくニュアンスはわかるけれども、本当の意味はわからないまま使っている、もしくは見聞きしている言葉の一つかもしれません。この記事では、「小職」について解説していきます。「小生」、「当方」、「弊職」との違いについてもわかりやすくご説明しますよ。

小職は「しょうしょく」と読みます。意味は、「低い官職」もしくは「官職についている人が自分をへりくだっていう語」になります。
官職とは国家公務員に割り当てられる職のことを指しますが、現在では一般企業の社員も「小職」という言葉を使用しています。とはいえ、一般企業の中で使うのは、管理職クラス。役職についていない社員が使うのは、不自然ですので控えましょう。
「小職」の使い方を例文でチェック
「小職」の意味については把握できたでしょうか? 続いては具体的にどのように使用すればいいのかを見ていきましょう。
1:「ご不明点等がございましたら、小職まで遠慮なくご連絡ください」
「小職」は一人称ですので、「私」に置き換えられる文章になります。主に「小職」という言葉は、手紙やメール等、書き言葉として使われることが多いです。
2:「小職の後任として、田中さんが着任されました。今後何かございましたらご相談いただければと存じます」
こちらも「私」に置き換えられますね。へりくだって表現したい時に使用します。
3:「小職も微力ながら、ご支援申し上げます」
小職を使うのは、主に管理職クラスだと申し上げました。その管理職クラスの人が、この例文のように「ご支援申し上げます」と言うのであれば、かなりのサポートが期待できますね。
「小職」と間違いやすい言葉は?

「小職」の他に、「当方」、「弊職」、「小生」という言葉もビジネスシーンで耳にしたことがあるかと思います。それぞれの違いについて、ご存知でしょうか? 解説していきます。
1:当方
「当方」は「とうほう」と読みます。「自分の属している方」、「自分の方」という意味です。つまり、一人称としても使えますが、自分が属している組織やグループのことを指すこともできるところが、「小職」とは異なる点ですね。
[例文]:「当方で原因を究明しております。今しばらくお待ちください」
2:弊職
「弊職」は「へいしょく」と読みます。企業、組織間で交わす文書などで、その職務についている自分自身をへりくだっていう言葉です。「弊職」は、「弊社」と「小職」を合わせた造語だとも言われています。ですから、ビジネスシーンで使うのは控えた方がいいでしょう。
3:小生
「小生」は「しょうせい」と読みます。一人称で、男性が自分をへりくだっていう言葉です。「小職」は男女問わずに使えるので、この点が異なりますね。主に手紙文で使われますよ。この言葉は、自分と同等か目下の人に対して使うとされています。したがって、上司や取引先の人に使ってしまうと、横柄に受け取られかねませんのでご注意ください。
[例文]:「先日、小生は体調不良のためお休みをいただいておりました」
「小職」を使う時の注意点

ここまで「小職」の説明をしてきましたが、使う際には気をつけなければならない3つのポイントがあります。それぞれご確認ください。
1:役職についていない社員が使うのはNG
先述しましたが、「小職」を使うのにふさわしいのは、なんらかの役職についている人。ビジネスメールだからかしこまった表現をしたいと思って、「小職」を使わないよう注意しましょう。役職についていない人は、「私」と表現するのがいいですね。
2:目上の人に使うのはNG
「小職」は位のある人が自分をへりくだって表現する言葉です。要は「高い立場」にいる自分をへりくだる際に使う表現ですから、自分より高い立場の人に使うのは、これまた不自然ですよね。謙虚さがないとも受け取られかねませんので、注意しましょう。
3:堅苦しい印象を与える可能性あり
「小職」と言われると、堅苦しく形式ばった印象がありますよね。それに加えて、地位のある自分をへりくだって表現する言葉ですから、暗に「自分は偉いんだぞ!」と言っていると受け取る人もいます。そんなつもりはなくても、偉そうな印象を与えることもありますので、心に留めておいてください。
「小職」の類語にはどのようなものがある?

続いて同じ意味を持つ言葉をご紹介します。
1:当職
当職の読み方は、「とうしょく」。一人称で、その職務についている人が「自分」という時に用います。謙譲表現ではないところが、「小職」と異なります。
[例文]:「この件につきましては、当職が担当させていただきます」
2:下名
下名の読み方は、「かめい」。一人称で、自分をへりくだっていう言葉です。堅苦しい印象がしますので、使うシーンには注意しましょう。
[例文]:「遠慮なく下名までご用命ください」
3:本職
本職の読み方は、「ほんしょく」。「本職」は、官職にある者が自分を指して使う言葉です。ですから、本来の「小職」の意味に近いですね。しかし、へりくだった表現ではありません。意味を同じくする言葉に「本官」がありますよ。
最後に
いかがでしたか? 今後ビジネスシーンで「小職」が出てきたとしても、頭の中で「少食」ではなく、「小職」に結びつくでしょうか。ビジネスシーンで自分をへりくだって表現したいという時に、“なんとなく遠慮がちな雰囲気があるし”と思って使ってしまうと、思わぬ勘違いをされてしまうこともわかりました。気をつけたいですね…。
慣れない言葉は意味をしっかりと把握した上で使い、責任を持って発言しなければならないですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com