【目次】
・「当方」の意味や読み方とは?
・「当方」の使い方は? 例文でチェック
・「当方」の類語にはどのようなものがある?
・「当方」の対義語は?
・最後に
「当方」の意味や読み方とは?
ビジネスメールやクライアントとの会議の中でたまに見聞きする「当方」という言葉を、皆さんは正しく使えておりますでしょうか?
多くの方が、「わたし」に近い意味合いで何気なく使っていると思いますが、もしかするとそれは間違った場面で使用している場合があるかもしれません。本記事では、「当方」の意味や使い方、またどのような類語、対義語があるのかを解説していきますので、しっかり学んでいきましょう。
「当方」は「とうほう」と読み、「自分が属している方」、「こちら」という意味。日常会話であまり使われることはないですが、ビジネスシーンで多く用いられます。“自分が属する部署やグループなどの組織”を言い換えたい時に非常に便利な言葉です。
◆「当方」の使い方は?
では、具体的にどのようなシーンで使われるのか見ていきましょう。「当方」は、特にビジネスメールで使用されることが多いです。相手に対し、「私どもとしては」や「こちらより」など自分が属する組織を主語とする場合に、「当方としては」、「当方より」と表現することが一般的となります。
また“会社全体”としての意味を持たせたい場合には、「当方」よりも「弊社」という言葉を用いる方が自然な表現になります。
◆「当方」をビジネス等で使う時の注意点とは?
「当方」を使う際にはいくつか注意点がありますので、覚えておきましょう。まず、「当方」はあくまでも組織・集団を指し、一個人を主語として使うことはあまり一般的ではありません。
昨今では、「わたし」として使われている場面も耳にすることが増えてきましたが、自身のみを指す場合には、そのまま「わたくし」を使う方が、相手にとっても主体が明確なので無難です。また後程説明しますが、個人を表現したい際に使える言葉として「小職」、「小生」などの類語もあります。
次に、「当方」は自分の属する組織という意味にはなるため、自社内(すでに属している組織)ではあまり使いません。社内の他部署や他部門に対して使えるのでは?と考えられますが、かしこまった表現でもあるため、相手に対し堅苦しい印象を与えかねません。そうした場合は「当部」、「当部門」などを使用する方がよいでしょう。
最後のポイントとしては、「当方」は男女ともに使用できる言葉になります。「私ども」「こちら」を意図する際に変換することができれば、男性・女性問わず用いることができますよ。
「当方」の使い方は? 例文でチェック
続いて、「当方」の具体的な使い方を例文を参考に見ていきましょう。
1:「当方としましては、A案で進めさせていただけますと幸いです」
クライアントから提示のあった複数のプランについて、自身の組織としての意見を代表して回答する際に使う表現となります。これはあくまでも一個人の私的な意見ではなく、属している組織代表として明確に回答できる場合になります。また、会社全体としての意味合いを強調したい場合は、「弊社としましては…」と言い換えることも可能です。
2:「弊社内にて日程調整の上、当方より改めてご連絡させていただきます」
クライアントとの会議日程調整などのシーンで、社内の関係者の予定を調整した後で、改めて連絡をする際に使える表現です。この場合、追って連絡をする人は、自分ではなく秘書や代理の者の可能性もあります。具体的に誰が連絡をするのか定まっていない時などに「こちらから」「私どもから」という意味を持ち、非常に便利な言い回しとなりますよ。
3:「当方に迎撃の用意あり」
こちらはビジネスとは少しかけ離れますが、山口貴由の人気漫画『覚悟のススメ』の一コマで使われているセリフになります。ここでの意味合いもビジネスシーン同様に、「我々に」、「こちらに」という集団を指す表現です。
ちなみにこのセリフの活用シーンは、宣戦布告を受けた際に用いられ、ネット上では「覚悟完了」というワードと、何らかの迎撃準備をしているイラストと共に、ファンの間で盛り上がっているようです。「当方に迎撃の用意… 無し!」というバリエーションも存在し、意味はその通りとなります(笑)。
「当方」の類語にはどのようなものがある?
「当方」にはいくつか似たような表現があり、一つ一つ説明していきますので、こちらも覚えておきましょう。
1:小職
「小職」は、「しょうしょく」と読み、「わたし」を表す一人称の言葉です。手紙やメールなどで用いられる事が多く、男女ともに、役職がある人が自身のことをへりくだって表現する際に使われます。役職がない人、また目上の相手に対しては使われない言葉ですので、注意しましょう。
2:小生
「小生」は「しょうせい」と読み、こちらも個人としての「わたし」という意味で用いられます。男性が自分のことをへりくだった場合にのみ使用され、女性は使いません。また、「小職」同様、目上の方に対しては使われない表現となります。
3:弊方
「弊方」は「へいほう」と読み、これは「当方」をより丁寧にした言葉です。「当方」をよりへりくだって表現したい場合に使われますが、使用されるシーンはあまり多くないのが現状です。
「当方」の対義語は?
当方の対義語は、「先方」という言葉です。「せんぽう」と読み、「当方」と比べても非常に多くのビジネスシーンで使われています。意味は「相手方」で、その場にいない第三者のことを指します。
例えば、社内での会話やメールでクライアント先のことを指す場合は、「その件は先方に確認中で…」や、「○○時に先方オフィスで…」などと表現します。先方は決して敬語ではないので、該当する第三者がいない場や、社内といった身内間でのみ、使用するのがよいでしょう。
最後に
「当方」の正しい意味と使い方、さらには類語・対義語について、深く理解いただけたでしょうか? 中には漫画のセリフといったおもしろいワンシーンもでてきました。
主語を場面ごとに適した表現で使い分けることができれば、周囲とのコミュニケーションも円滑になります。仕事もグンと進めやすくなりますので、ぜひとも覚えておきたい言葉ですね。
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