鉄は熱いうちに打てとは?
「鉄は熱いうちに打て」とは、「熱意があるうちに行動せよ」という意味のことわざです。熱意があるタイミングをどのように捉えるかによって、次の2つの意味に分けられます。
・若いうちに鍛えよ
・機会を逸すると成功しにくくなる
それぞれの意味について見ていきましょう。
【意味1】若いうちに鍛えよ
一般的に、若いときは考え方が柔軟で覚える意欲もあり、さまざまな知識やスキルを吸収しやすい時期だとされています。熱せられた鉄が軟らかいように若く柔軟なときに、しっかりと鍛えておくほうがよいという意味で、「鉄は熱いうちに打て」という言葉を使うこともあります。
・資格勉強をするなら、若いうちにしておくほうがよいよ。鉄は熱いうちに打てというでしょう。
・若いときは忙しくても、頑張らなくちゃ。鉄は熱いうちに打てというように、若いときに鍛えておくものだよ。
【意味2】機会を逸すると成功しにくくなる
鉄は熱いときは打って形を変えられますが、冷めてしまうと固くなり、打っても形は変わりません。物事には適切なタイミングがあり、タイミングを逃してしまうと、うまくいくものもうまくいかなくなるという意味で「鉄は熱いうちに打て」と表現することもあります。
・鉄は熱いうちに打てというから、勉強したタイミングで実践したほうがよいよ。
・せっかくみんなの気持ちが高まっているのだから、今すぐ起業をしようよ。鉄は熱いうちに打てというでしょ。
鉄は熱いうちに打てと類似する表現
「鉄は熱いうちに打て」と類似する意味の表現は、いくつかあります。
・善は急げ
・老い木は曲がらぬ
・好機逸すべからず
・思い立ったが吉日
・奇貨居くべし
それぞれのニュアンスの違いや使い方について見ていきましょう。
善は急げ
「善は急げ(ぜんはいそげ)」とは、よいことは時間をおかずにすぐに行動するほうがよいという意味のことわざです。
タイミングを逃さないほうがよいというのは、「鉄は熱いうちに打て」と同じです。しかし、「善は急げ」はとにかく急いで行動することを推奨する言葉ですが、「鉄は熱いうちに打て」は急ぐというよりは、適切なタイミングに行動するほうがよいことを指すため、少々異なります。
・遅刻対策のよいアイデアが浮かんだのだから、善は急げで今日から実施してみましょう。
・善は急げというじゃない。いいニュースだから、早く彼女にも教えてあげよう!
老い木は曲がらぬ
「老い木は曲がらぬ(おいきはまがらぬ)」とは、何かを学ぶのなら柔軟性がある若いときがよいという意味で使われる言葉です。若い木は瑞々しく、柔軟に曲げられます。いっぽう、老いた木は水分が少なく、うまく曲がらないばかりか、力を入れすぎると折れてしまいます。
「鉄は熱いうちに打て」と同じ意味で使えますが、「老い木は曲がらぬ」には好機を逸すると成功しにくくなるという意味で使うことはあまりありません。たとえば、次のように使ってみてください。
・老い木は曲がらぬというから、若いうちにできるだけ多くの勉強をしておくほうがよいよ。語学に興味があるなら、大学を卒業する前に留学したら?
・何事も吸収力のあるときに学ぶほうがよいでしょう。老い木は曲がらぬという言葉のとおりです。
好機逸すべからず
「好機逸すべからず(こうきいっすべからず)」とは、よいタイミングを逃してはいけないという意味の言葉です。「鉄は熱いうちに打て」と同じく、よいタイミングを見計らったら、すぐに行動をすべきだという意味を示します。
ただし、「好機逸すべからず」には、「鉄は熱いうちに打て」のように若いうちに行動すべきだという意味合いはありません。年齢に関係なく、よいタイミングをとらえて行動することを促す言葉です。
・教授に共同研究を持ちかけられたの?好機逸すべからずだよ。すぐにOKしようよ。
・好機逸すべからずと、すぐに研究を始めたけれども、仮定そのものが間違っていることに気づいた。
思い立ったが吉日
「思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)」とは、何かを始めようと思ったら、日を選ばずにすぐに行動するほうがよいという意味の言葉です。
吉日とは暦のうえで縁起のよい日のことですが、吉日になるのを待っていては、好機を逸してしまうかもしれません。思い立った日が吉日だと考えれば、日を選ばず、最短で行動できます。
「鉄は熱いうちに打て」と同じく、熱意があるときにすぐに行動することを促す言葉です。ただし、「思い立ったが吉日」には、「鉄は熱いうちに打て」のように若いうちに物事を始めるべきというニュアンスはありません。
・ダイエットをしようと決意をしたなら、今日から始めなくちゃ。思い立ったが吉日っていうでしょ。
・思い立ったが吉日というから、新しく思いついた営業トークを使ってみた。まだ効果はないけれど、手応えは感じている。
奇貨居くべし
「奇貨居くべし(きかおくべし)」とは、珍しいものは後で値上がりすることもあるから、タイミングを見計らって売り払い、利益を得ようという意味の言葉です。好機を逃さないためにも、出費を惜しんではいけないという教訓です。
中国の歴史書である史記に記載されている言葉で、将来的に値打ちがあるものを指して使います。タイミングを捉えて行動するという点は、「鉄は熱いうちに打て」と同じです。
・この株は値上がりするから、今のうちに多めに買っておくほうがよい。奇貨居くべしだよ。
・高いと思うかもしれないけれども、損はしないよ。奇貨居くべしというから、今の出費を惜しんではいけない。
ビジネスでも用いられる言葉!正しく使おう
「鉄は熱いうちに打て」は、ビジネスシーンでも用いられる言葉です。よい反応を示す相手に対して集中的に営業をおこなうときなどにも、使えるかもしれません。意味を正しく把握して使いましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock