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「さることながら」は物事をより強調し伝える
会議などで「さることながら」という言葉を耳にし、どういう意味だろうと思ったことはありませんか? 日常会話ではあまり使われないため、意味や使い方についてはわからないという人もいるでしょう。
「さることながら」は、会議やプレゼンなどビジネスの場や、フォーマルな場での挨拶などで使われています。
「さることながら」の意味を辞書でチェック
▷【然る事】読み方:さること
・そのようなこと。そういうこと。そんなこと。「—はさておき」
・いうまでもないこと。もちろんのこと。もっともなこと。「日ごろの心がけも—ながら」
・たいしたこと。りっぱなこと。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「さること」の後ろに「ながら」が続く場合は、「言うまでもないこと」という意味合いになります。ある意見は当然のことと前提した上で、さらに追加で意見を加えるといった場合に、「さることながら」を使うことが多いでしょう。
「さることながら」漢字で書くと?
「さることながら」の漢字表記は、「然る事乍ら」。ただし、漢字表記はあまり使われていないため、知らない人の方が多いかもしれません。
ビジネスの場などで「さることながら」を書く場合は、ひらがな表記にするのがおすすめ。その方が相手に伝わりやすいでしょう。
「さることながら」使う際のポイント
「さることながら」は、適切に使うことができると便利な言葉です。使う際のポイントを紹介しますので、参考にしてください。
1:より強調したい事柄を入れるのは、後半
「さることながら」は、2つの事柄を強調する際に使いますが、より強調したいことは後半に入れるのが適切です。
たとえば、Aさんの意見が良いとされているけれど、Bさんの意見も大切だということを伝えたい時は、次のように使うといいでしょう。
・Aさんの意見が良いのもさることながら、Bさんの意見も優れていると思います
より強調したいことは後半に持ってくるということを、ぜひ覚えてくださいね。
2:1つ目の強調したい事柄は、明確に
「さることながら」を使う際、1つ目の強調したい事柄があいまいだと、言いたいことがぼやけてしまいます。また、より強調したい事柄は2つ目なのに、1つ目の事柄があいまいだと、相手に違和感を与えてしまうということも…。
2つ目の事柄をしっかり強調するためにも、1つ目の事柄の表現に注意してくださいね。
3:会議などで自分の主張を述べる際に便利
「さることながら」は、先に出ている意見を否定するようなニュアンスがないため、相手に違和感を与えません。先の意見を否定することなく、追加で自分の意見をアピールしているという印象になるため、非常に便利です。
会議や打ち合わせ、プレゼンなどで自分の主張を追加で述べたい時、「さることながら」を用いることをおすすめします。
「さることながら」使い方を例文で紹介
ここからは実際の「さることながら」の使い方を見ていきましょう。例文を一緒に紹介しますので、参考にしてくださいね。
1:ビジネスシーンで使う場合
《例文》
・〇〇主任は、営業マンとしての能力が高いのもさることながら、人間性も素晴らしい
・このプロジェクトは、企画内容もさることながら、ターゲット層の設定もユニークだ
・今秋発売の新製品は、デザインもさることながら、機能面の改善が秀逸だ
上記の例文を読むと、2つの事柄のどちらもいいが、強調したいのは2つ目の事柄であるということがわかるのではないでしょうか? 2つの強調したい事柄を1つの文で伝えたい場合、「さることながら」を用いると、文を上手にまとめることができます。
2:日常で使う場合
日常で「さることながら」をどのように使うかも見ていきましょう。
《例文》
・英語は、文法もさることながら、発音も難しい
・このシェフの作る料理は、味もさることながら、盛り付けも素晴らしい
・この街の魅力は、利便性もさることながら、治安の良さにある
日常会話だと、「さることながら」を使うという人は少ないでしょう。言葉自体が堅苦しさを感じさせることもあり、日常で気軽に使う言葉ではないかもしれませんね。
一方で、フォーマルな場所でのスピーチや挨拶、文書などにはよく使われます。ぜひ、意味や使い方を覚えておいて、適切に使えるようにしてくださいね。
「さることながら」を別の言葉で言い換えるなら?
別の言葉で「さることながら」を言い換えるとしたら、どのような言葉を使えばいいか見ていきましょう。言い換えの表現を知っていると、表現力が豊かになります。例文も紹介しますので、チェックしてくださいね。
汎用性の高い「当然ながら」
「当然ながら」は、「さることながら」と同じ意味で使うことができます。「当然ながら」は、話し言葉としてだけでなく、書き言葉としても使いやすいため、汎用性の高い言い換え表現と言えるでしょう。
なお、目上の人に向けてこの言葉を使う場合は、「当然ですが」にするといいですね。
上手に活用したい「言うまでもなく」
「言うまでもなく」も、言い換え表現として適しています。ビジネスシーンでも使える言葉ですので、言い換え表現として覚えておくといいですね。意味や使い方は、「さることながら」と同じです。目上の方に使う場合は、「言うまでもありませんが」のように、前後に敬語表現を用いるようにしてください。
「言うまでもなく」は、インパクトを感じさせる表現です。上手に活用することで、聞き手を話に惹きつけることができますので、使い方を覚えておきましょう。
「もっともな事だが」も言い換えに使える
「もっともな事だが」も、2つの事柄を肯定しつつ、内容や意見を補足するという使い方をします。意味や使い方は「さることながら」と同じと考えていいでしょう。また、目上の方に使う場合は、前後に敬語表現を入れ、「もっともな事ですが」のようにするといいですね。
最後に
日常会話ではあまり登場しない「さることながら」は、ビジネスやフォーマルな場での挨拶やスピーチなどでよく使われます。ある意見は当然のことと前提した上で、さらに追加で意見を加えるといった場合に使うことが多く、会議やプレゼンなどで自分の意見を補足したい時に使うと便利です。
「さることながら」には、言い換え表現も複数ありますので、覚えておくと使い勝手がいいですね。日常会話ではあまり使わない言葉かもしれませんが、適切に使えると表現力が上がりますので、上手く活用してください。
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