「この資料、なるはやで仕上げてくれる?」などと、上司から言われたことはないでしょうか。「なるはや」とは、ビジネスシーンで使われることの多い言葉です。ですが、「なるはやとは、具体的にいつまでなのか?」と疑問に思う方も少なくありません。そこで当記事では、「なるはや」の意味や使い方、注意点などを解説していきます。
「なるはや」とは?
最初に、「なるはや」の意味を見ていきましょう。「なるはやは死語なのでは」という声も耳にしますが、今でも使われる言葉ですので、意味を知っておくことはとても大切です。
意味
「なるはや」とは、「なるべく早く」を略した言葉。「なるべく」とは、「できる限り」「できるだけ」という意味ですから、「なるはや」は、「できる限り早く」という意味です。相手の事情や状況を考慮しつつも、「最優先とまでは言わないけれども、できる限り早く対応して欲しい」といったニュアンスで使われます。
「なるはや」の使い方を例文でチェック
続いて、「なるはや」の実際の使い方を紹介します。「なるはや」は業務を早くやって欲しい時、連絡を早く欲しい時などに使えますよ。
1:忙しいところ申し訳ないんだけど、企画書の作成をなるはやでお願いできるかな?
これは、企画書の作成をできるだけ早く作成して欲しい時の例文です。「なるはや」は、強制ではないものの、割り込み仕事を依頼する時に使われることが多い言葉。相手が忙しそうにしている場合はもちろん、そうでない場合でも、「なるはや」を使う時には、「申し訳ないけど」といった言葉と一緒に使った方がいいでしょう。
2:クライアントとの打ち合わせ日程を決めたいので、来週空いている日時をなるはやで教えてください。
「なるはや」は、なるべく早く連絡をして欲しい時にも使えますよ。この文では、打ち合わせに参加するメンバーに対して、「来週空いている日時を、できる限り早く教えて欲しい」といったことを伝えています。例文のように、なぜなるべく早い対応が必要なのかを一緒に伝えると、相手にも事情を理解してもらいやすくなるでしょう。
「なるはや」を使う時の注意点
なるべく早くを省略した「なるはや」。ビジネスシーンでよく使われるものの、くだけた口語表現ですので、使う相手を選ぶ必要があります。また、具体的にいつまでなのかが不明瞭なので、期限を伝えた方が無難です。ここでは、「なるはや」を使う時の注意点をいくつか紹介します。
上司や目上の人には使わない
「なるはや」は、くだけた表現で敬語ではありません。上司や先輩、クライアント、お客様などに使うのは失礼ですので、使わないようにしましょう。もし、「なるはや」を目上の人に使いたい場合には、「できる限り早く」などに置き換えた方が安心です。
依頼する時は、いつまでに対応可能かを確認する
「なるはやでお願い」と言われて、どれくらいの時間をイメージしますか? 「5分以内」と考える方もいれば、「1時間」、もしくは「自分の仕事が済んでから」と考える方もいるかもしれません。このように「なるはや」は具体的な期限を示していないため、受け取り手に期限を委ねることになってしまいます。
自分は10分以内に対応して欲しかったのに、まだ連絡が来ていない… といった事態を避けるためにも、期限は確認しておくことが大切です。その時は、自分自身が希望する期限があっても、まずは「なるはやでお願いしたいんだけど、何時頃までにできそう?」などと、相手がいつまでに対応可能かを確認するといいでしょう。
依頼された時は、期限を確認する
もし、「なるはや」の仕事を依頼された場合には、自分から具体的な期限を確認するようにしましょう。もしくは、「他に急ぎの業務があり、それを終えてからの着手になります。ですので、提出できるのは17時頃ですが、大丈夫でしょうか?」などと、自分の作業状況を伝えつつ、提案するのもありです。
類語や言い換え表現は?
「なるはや」はくだけた表現ですので、目上の人などに使う時には他の言葉を使うといいでしょう。「なるはや」の言い換え表現を紹介しますので、ぜひチェックしてください。
1:早急に
「早急」とは、「非常に急ぐこと」といった意味の言葉です。ちなみに、本来の読みは「さっきゅう」ですが、「そうきゅう」と読んでも間違いではありません。なお、目上の人に「早急にご返信をお願いします」と言うだけでは、やや不躾な印象になってしまいます。
ですので、「恐れ入りますが」「ご多忙のところ申し訳ございませんが」などと、クッション言葉を入れるといいでしょう。
2:至急
「至急」は、「非常に急ぐこと」「大急ぎ」という意味です。「至急の用件」「至急のご連絡をお願いします」などと使われます。「至急」も「早急」と同じく、上司や取引先などに使う時には、クッション言葉とともに使う方が謙虚な気持ちを伝えることができますよ。
英語表現は?
海外の人とのやりとりで、「なるはや」を伝えたい時には、どのような英語表現があるのでしょうか。「ASAP(as soon as possible)」「as quickly as possible」「at your earliest convenience」の3つの表現を紹介します。
1:ASAP(as soon as possible)
「ASAP」とは、「as soon as possible」を略した言葉で、「できるだけ早く」「可能な限り早く」という意味です。「asap」と小文字で表されることや、「A.S.A.P.」と「.」を入れて表されることもあります。「ASAP」は、日本のビジネスシーンでも使われることがあり、その場合は「アサップ」と言う人が多いです。ただ、英語圏では「エーエスエーピー」と言われることが多いよう。
2:as quickly as possible
「as quickly as possible」も、「なるべく早く」「一刻も早く」という意味。「as 〜 as possible」が「できるだけ〜」という意味で、「quickly」が「素早く」という意味になります。
3:at your earliest convenience
「at your earliest convenience」とは、「ご都合のつき次第」「なるべく早く」という意味。「都合のいい時」という意味の「convenience」があり、相手への思いやりが感じられる言い回しですね。
最後に
「なるべく早く」を意味する「なるはや」。ビジネスシーンで使っても問題ないですが、そのまま使うと相手を困らせたり、「期日を示さないなんて無能だ」などと思われることも。使う時には具体的な期限を示し、相手ときちんとすり合わせをするようにしてくださいね。
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