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【失敗1】香典を忘れてしまった!
香典を忘れてしまうことは滅多にないことですが、せっかく準備していたのに家に置き忘れてきたという失敗は、ないとは言えません。
もし葬儀会場に着いて受付をする前に、香典を持ってきていないことに気づいたら、急いで近隣のお店に香典袋と筆ペンを買いに行きましょう。
コンビニエンスストアや文房具屋、キヨスクなどに売られていますので、購入して「御霊前」や「御香典」と表書きを記載し、お札を入れて準備しましょう(表書きは宗教・宗派などによって異なります)。
もし受付で記帳してから気づいたら、お詫びし、後でお持ちすることを伝えます。葬儀の開始までに時間があるなら香典袋を買いに行き、なければ葬儀が終わった後に用意し、通夜ぶるまいの部屋や控え室を尋ねて受付の方にお渡ししましょう。もし受付の方がいなければ、あなたに関係のある遺族の方を探し、事情を話してお渡ししましょう。
もしお通夜のときに忘れてしまったと気づいたら、翌日の告別式のときに持って来ることを受付の方に伝え、翌日持って行きましょう。この方法がベストな対処法といえます。
注意したいのは、香典袋を購入するときに、仏事用の香典袋か白無地の封筒を選ぶことです。水引はついていなくてかまいませんが、白いからといって、郵便用の郵便番号を記入する赤い枠が印刷された封筒は避けましょう。
【失敗2】キリスト教式のお葬式と知らず「御香典」と書かれた香典袋を渡してしまった
香典袋に記載する表書きは、宗教や宗派、また儀式の時期によって変わります。
〈参考〉
・仏式:御霊前、御香典、御香料(法事の際は御仏前・御佛前)
・神式:御霊前、御玉串料、神饌料(法事の際は御神前、御榊料、御玉串料)
・キリスト教式:御霊前、御花料(法事の際は御花料)
「知らないと恥ずかしい“香典”基本マナー|相場金額・書き方・渡し方は?<仏事・終活プロが解説>」
「御香典」は仏式ですから、キリスト教式では使用しません。もしキリスト教式の葬儀に参列する際に「御香典」と書かれた香典を渡してしまったらどうなるのでしょうか。
これは故人やご遺族との関係性によって変わってくるでしょう。もしあなたが訃報を受け取り、キリスト教式の葬儀だとしっかりと文面に書かれていたのであれば、「御香典」と書かれた香典をお渡しするのは失礼に当たります。事前に知っていたからです。
しかし事前にキリスト教式だということを知らないこともあるでしょう。例えば、友人から聞いて葬儀に参列する場合などは、宗教や宗派は知り得ないこともあるはずです。その場合、「御香典」と書かれた香典をお渡しするのは仕方がないことですので、失礼には当たりません。
もし先方の宗教や宗派がわからないときは、仏教はもちろん、神道やキリスト教などオールマイティーに使用できる「御霊前」や「御花料」を用いると良いでしょう。
【失敗3】夏場に上着なしで行ったら会場で寒い思いをした
喪服は正装ですから、上着をきちんと着るのがマナーです。しかし、気温が高い真夏になると外ではとても上着を着ていられません。葬儀会場に向かうときに上着を着るのは暑いことから、近年は夏場に上着を着ない方も増えました。
ただし、上着を着て行かないことは、思わぬ失敗につながることもあります。葬儀会場では、夏場はもちろん冷房が効いていますが、女性や高齢者の方は、40分ぐらいたつと寒くなってしまい、具合が悪くなる方も多くいます。葬儀に参列したことで体調不良や風邪を引くことにつながらないように、上着は手に持って出かけ、葬儀会場の中に入ったら着るようにすると良いでしょう。
【失敗4】肌色ストッキングを穿いて行ってしまった
女性の喪服では、ストッキングについては肌色ではなく黒色が正式です。
葬儀の受付前に気付いたら、香典と同様、お店で買って穿き替えましょう。女性の知人と参列するのであれば、誰かが予備を持っていることもあるので、頼るのも一案です。
ただしどうしても買えない場合は、通夜であれば肌色ストッキングでも問題ないでしょう。
もともと通夜というのは、訃報を聞いて驚いて急いで駆けつけるものだったので、喪服でなくても良いという考え方が古くからあります。今でも仕事が終わってスーツ姿のまま参列する方もいます。それであれば、肌色ストッキングでも問題ないことになります。しかし翌日の告別式は儀式ですから、正装がマナーです。ただし、近年は通夜の日に儀式を行うケースも増えてきましたので、儀式に参列するなら正装の黒色ストッキングがマナーです。
時間があるのであれば、お店で買って穿き替えるのが1番です。
【失敗5】葬儀中にスマホを鳴らしてしまった
葬儀の最中、お坊さんが読経をあげている間などにスマートフォンなどの携帯電話の音を鳴らしてしまうと、大変な失礼となります。
その万が一の場合を想定して、葬儀会場の担当者は開式前の挨拶のとき、「お手元の携帯やスマートフォンを切っていただくか、マナーモードにしてください」と伝えます。このときに音が鳴る状態なら、必ず音が鳴らないように電源を切るかマナーモードなどに設定しましょう。
それにもかかわらず、うっかりして音を鳴らしてしまった場合は、すぐに切るしかありません。着信があったからといってその場で「もしもし?」と電話に出るのは御法度です。頭を下げた後、声を出さずに、遺族の方に向かって謝罪の意味の会釈をするなどしましょう。
大事な儀式のときに音を鳴らしてしまったのですから、周りからは厳しい視線を浴びることになります。謝罪の気持ちを持って、人生勉強だと思い、今後は二度としないように自分を戒めましょう。
* * *
葬儀で起き得る失敗の対処法や予防策をご紹介しました。葬儀にかかわらず、冠婚葬祭のマナーの答えは一つではありません。失敗してしまっても、ケースに応じて適切な対応ができるといいですね。またこれらの失敗をしないように、予防策を立てておきましょう。
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メモリアルアートの大野屋 終活・仏事アドバイザー 川島敦郎
1956年東京都出身。大学卒業後ブライダル会社に勤務。企画やプランナー育成に携わり、業界資格の試験官も務めたエキスパート。ブライダルの世界から2005年にメモリアルアートの大野屋に入社。葬儀ディレクター、生前相談アドバイザー、セミナー講師としても活躍し、現在「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーとして年間5000件以上の相談に答える。
大野屋テレホンセンター著「もう悩まない! 葬儀仏事お墓ズバリ! 解決アンサー」(二見書房)、監修「小さな葬儀とお墓選び・墓じまい」(自由国民社)
お電話窓口:0120-02-8888
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