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法事と法要の違い
法要とは、故人を供養する儀式です。お寺や式場、自宅などでお坊さんがお経をあげ、参列者はお焼香を行い、故人があの世で幸せに暮らせるように願います。
一方、法事は法要の儀式に加えてさまざまな事柄、すべてを含めたものを指します。法要の儀式終了後に、集まった家族や親族と食事をし、お墓参りをするのが一般的です。
法事の際の会食は「精進落とし」と呼ばれ、精進料理をいただくのが通例です。精進料理とは、お坊さんが悟りを開くときにいただく肉や魚を用いない料理のこと。仏教には殺生をしてはいけないという教えがあり、動物の肉を使わず、肉や魚に見立てた「がんもどき」などを用いるのが特徴です。
家族や親族で故人をしのびながら食事をして、仏教の教えに触れ、日々の暮らしを振り返りましょうという意味合いがあります。
代表的な法要
法要は、故人が亡くなった後に、さまざまなタイミングで行います。多数ある法要の中でも代表的な法要をご紹介します。
◆年忌法要(回忌法要)
年忌(ねんき)法要(回忌(かいき)法要)は、亡くなった年を一年目とし、3と7のつく年に行う法要です。三年目に行うのが「三回忌」、七年目に行うのが「七回忌」、同様に「十三回忌」「十七回忌」「二十三回忌」「二十七回忌」「三十三回忌」といった具合に続いていきます。
亡くなった後、葬儀で供養をしますが、年忌法要(回忌法要)は故人があの世で幸せに暮らせるように、引き続き供養を続けるために行います。昔は三十三回忌で故人の供養が終わり、ご先祖様の仲間に入るといわれ、「弔(とむら)い上げ」とされてきました。ですから、三十三回忌法要までで年忌法要(回忌法要)が終わるのが一般的です。
ここ20~30年は少子化や核家族化もあり、33年も親族が集まることができないことが多いのが現実となってきたため、繰り上げて弔い上げをするケースが増えてきています。いつの回忌法要で繰り上げるかはそれぞれのご事情によって異なります。
◆四十九日法要
四十九日(しじゅうくにち)法要は、亡くなってから49日目に行う法要です。
葬儀後、故人はこの世のものではなくなりますが、まだ成仏していない状態にあります。亡くなった後しばらくは、あの世まで歩いている最中にあり、家族が祈ってあげないと無事に成仏できないと考えられています。そこで、亡くなってから7日ごとに「初七日(しょなのか)」「ニ七(ふたなのか)」「三七(みなのか)」「四七(よなのか)」「五七(いつなのか)」「六七(むなのか)」「七七(なななぬか)」と7回法要を行います。
最後の七七法要は、49日目になるため「四十九日法要」と呼ばれています。この四十九日法要の際に故人は成仏できるといわれているため、重要な日として現代でも法要が執り行われています。四十九日法要は、成仏してもらうために祈る儀式です。このときに納骨をする方も多くいます。
◆一周忌法要
一周忌(いっしゅうき)法要は、亡くなった日からちょうど一年後に行う法要です。年忌法要(回忌法要)とは異なります。
◆彼岸会法要
年2回、春と秋のお彼岸の時期に先祖供養を行いますが、この時期にお寺で執り行う儀式が彼岸会(ひがんえ)法要です。お寺に集まって、ご本尊の前で皆でご先祖供養をする儀式です。
現代においては、四十九日法要と、一周忌法要、年忌法要の三回忌法要の3つは行われることが多いです。それ以降、七回忌からはご家庭の事情によって行うことができないことが多いですが、それでも七回忌と十三回忌は法要を行う人が多いです。
各法要の内容は、彼岸会法要などの先祖供養の法要以外は、亡くなった方、一人に対する供養なので、基本的に同じです。また葬儀とは異なり、四十九日法要以降は一般の人を呼ばず、集まるのは家族・親族が中心になります。
法事に出席するときの服装・香典の額
服装のマナーや香典の相場を紹介します。直前になって困らないよう、頭に入れておきましょう。
◆法事に出席する際の服装
法事に出席するときの服装について、よく質問を受けることが多いです。葬儀とは異なるので、どのような服装で行ったらいいのか迷われる方が多いようです。
親族から法事に呼ばれたら、葬儀と同様、喪服を着ていってまったく問題ありません。ただし身内だけが集まる場ですので、常識あるお出かけ用の服で、黒や濃いグレー、濃紺等の色合いであり、飾りや光ものが付いていないものであれば喪服でなくても構いません。
正式な儀式なので、喪服を着ていけば間違いはありません。実際に、喪服を着ている人のほうが多い印象です。
◆法事に出席する際に持参する香典の額
香典の額は地域によって異なりますが、葬儀の金額よりも少なくなります。およそ1万円から3万円が相場です。とはいえ、法事で提供される食事と香典返しを合わせると9,000円から1万円くらいかかることが多いので、香典の額が1万円だと少ないといえます。
20代など若い方であれば1万円でも問題ないことが多いですが、通常は3万円が中心です。2万円の「2」という数字は、結婚式などのお祝い事では避けるべきといわれていますが、本来、仏事では問題ありません。しかし仏事であっても「2」という数字は避けるべきという考え方を持っている方もいますので、どうしても避けたい場合は、1万円の香典と6~7千円のお花やお線香・お菓子などのお供物を用意するのが一般的です。
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法事と法要の違いや代表的な法要、法事に呼ばれた際のマナーをご紹介しました。親族で集まる法事の際にも、知識とマナーを携えて出席することで、故人をしのぶ心も変わってくるでしょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
メモリアルアートの大野屋 終活・仏事アドバイザー 川島敦郎
1956年東京都出身。大学卒業後ブライダル会社に勤務。企画やプランナー育成に携わり、業界資格の試験官も務めたエキスパート。ブライダルの世界から2005年にメモリアルアートの大野屋に入社。葬儀ディレクター、生前相談アドバイザー、セミナー講師としても活躍し、現在「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーとして年間5000件以上の相談に答える。
大野屋テレホンセンター著「もう悩まない! 葬儀仏事お墓ズバリ! 解決アンサー」(二見書房)、監修「小さな葬儀とお墓選び・墓じまい」(自由国民社)
お電話窓口:0120-02-8888
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