目次Contents
仏壇のお参りの流れ
仏壇は、お寺を小さくしたものともいわれます。お寺に毎日供養に行くのは大変なので、自宅で毎日お参り供養ができるのが仏壇です。仏壇の最も高いところにはご本尊が安置されているので、お寺のご本尊様にお参りするのと同じようにお参りしましょう。
自宅に仏壇がない方も、知人や親戚のお宅に仏壇があり、お参りする機会もあるでしょう。そのときのためにお参りの基本的な流れを押さえておくと安心です。
◆仏壇のお参りの基本的な流れ
1. 仏壇の前に正座して向かう。
2. ご本尊へ一礼する。
3. お線香を1本取り、ろうそくの火でお線香に火をともして、香炉にお線香を立てる。
(マッチやライターなどで直接お線香につけない)
4. 手を合わせる。
5. 一礼して、お参りをする。
(ここでは「安らかにお眠りください」など供養の思いを胸に浮かべましょう。また心の中で、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」や「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と唱えてもいいです)
6. 一礼して下がる。
知人・親戚宅での仏壇のお参りマナーQ&A
知人や親戚のお宅へ、仏壇へのお参りを目的に訪問するときには、さまざまな疑問が生じると思います。ここでは、よくある疑問へお答えします。
◆数珠は持参したほうがいい?
数珠はできれば持っていきましょう。仏教では、数珠を持って合掌することが、正式なお参りの作法です。
◆訪問時に持参するお供物の種類は?
お香典、日持ちのするお菓子、贈答用のお線香、生花などケースバイケースで選んでかまいません。生前、故人が好きだったお菓子や花を持っていく方もいます。
避けたほうが良いのは、生臭い肉や魚。生菓子は絶対にダメというわけではありませんが、日持ちがしにくいので、故人が生前に大好きだったなどの特別な理由がなければ避けたほうが良いでしょう。また花はにおいのきついもの、とげのあるものは、基本的には避けたほうが良いとされています。
◆仏壇の前に通されたらまずどうすればいい?
和室にある場合
訪問時に仏壇の前に通されたら、仏壇の座布団の前にすぐに座らず、座布団ではないところ、畳や絨毯の上に一度座って上着などを脇に置き、「これからお線香をあげさせていただきます」と遺族に挨拶をします。その後、「失礼いたします」と言って座布団に座りましょう。
座布団に座るときには、にじり寄るのがマナーです。まず座布団の上に軽く握った両手を左右につき、身体を支えるようにしながら、両手のこぶしを軸にして座布団の中央までにじり上がります。降りるときも同様にしてにじり降りましょう。くれぐれも座布団の上に立ってはいけません。
できなかったら座布団の近くまで歩き、普通に座って良いです。正座したら、先にお伝えした流れでお参りを始めましょう。
洋室の場合
洋室に仏壇がある場合、仏壇用いすが用意されていればそちらに、座布団があればそちらに座ります。椅子も座布団もない場合で、仏壇を見下ろすようにならないのであれば、立ったままお参りをすると良いでしょう。
◆お供物の渡し方・お供えの仕方
持参したお供物は、ご挨拶のときに「こちらお供えものです。お供えください」と言ってお渡しします。遺族が供えることもあれば「どうぞお供えください」と言われ、自分でお供えすることもあります。
もし自分でお供えするときには、置く向きが重要です。例えばお菓子の場合、「御仏前」や「御霊前」と掛け紙がしてあると思いますが、その上下の向きを、仏壇から見てきちんと読めるように供えるのがマナーです。自分が読める向きではなく、仏壇にとって読めるように、上下を正しく向けて置きます。
一方で、遺族の方が受け取ったお供物を仏壇にお供えするときには、「○○さんからいただきましたよ」とその場で供えますが、このとき、一般的には仏壇から見てではなく、お供物をいただいた方が仏壇にお参りしたときに、上下が読めるように置きます。
普段は、遺族も仏壇から見て上下が読めるように置きますが、お供物を持ってきた方が、仏壇に対してお参りをする場合に限って、一般的にはこのように上下逆さまに置くことがあります。
◆お線香を立てる本数は1本? それとも2本? 3本?
お線香を立てる本数は、宗派によって異なります。3本立てる宗派もあれば、お線香を2つに割って香炉に寝かせる宗派もあります。知人宅などで仏壇の前に案内されたら、「お線香はどのようにしたら良いでしょうか」と尋ねましょう。すると「1本にしてください」「3本にしてください」などと宗派に基づく作法を教えてくれます。自分の宗派は関係なく、先方のご意向に沿うのが正しいやり方です。「ご自由に」と言われたら、他の方が立てることも考えて1本だけ立てましょう。
◆おりん(お鈴)はいつ鳴らすの?
仏壇には「おりん(お鈴)」というお椀型の音を鳴らす仏具が置かれていることがありますが、これは基本的にお経をあげる前に鳴らすものです。読経しない方が鳴らす必要はありません。
お経をあげる際には、その前、2回ほど「リンリン」と鳴らし、お経が終わったら再度「リンリン」と鳴らして手を合わせて終わります。
最後に
仏壇のお参りの方法をご紹介しました。最近では仏壇を自宅に置かない方も増えているで、訪問時にお参りする機会はそれほど多くないかもしれません。しかし、だからこそ、いざというときに正式なお作法を知っておくことで、役に立つでしょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
メモリアルアートの大野屋 終活・仏事アドバイザー 川島敦郎
1956年東京都出身。大学卒業後ブライダル会社に勤務。企画やプランナー育成に携わり、業界資格の試験官も務めたエキスパート。ブライダルの世界から2005年にメモリアルアートの大野屋に入社。葬儀ディレクター、生前相談アドバイザー、セミナー講師としても活躍し、現在「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーとして年間5000件以上の相談に答える。
大野屋テレホンセンター著「もう悩まない! 葬儀仏事お墓ズバリ! 解決アンサー」(二見書房)、監修「小さな葬儀とお墓選び・墓じまい」(自由国民社)
お電話窓口:0120-02-8888
葬式・仏事マナーについて、こちらの記事も読まれています