「楽しいことを考える」ことの効果は?
「楽しいことを考える」習慣があると、人生も豊かになるような気がいたしますね。とはいえ、具体的には何を考えたらいいのでしょう? ぼんやり考えているだけでもいいのでしょうか? 具体的な方法を知りたいですよね。そこで、「楽しいことを考える」思考について、5万人以上のキャリアサポートをしてきた、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんにお話を伺いました。
「『楽しいことを考える』というのは、自分が楽しいと思えることに意識を向けられる思考のクセ・習慣を持っているということ。意識をすれば誰でもすぐにできる自己調整法です。
楽しいことを考えることで、脳はドーパミンという物質を分泌します。その影響で、私たちは、やる気や幸福感を得られるわけです。さらに、集中力や創造性が発揮されるとか。また、楽しいことを考えることは、ストレスやプレッシャーに対する対処能力を高め、自己肯定感を高めることができるとも言われています。
『自分が楽しいと感じられることを実現していきたい』ということそのものが、人生の目標にもなります。自分がどんなことを楽しいと思うのか? それを日々感じられる環境や仕事は何か? それを獲得するためにはどうしていけばいいのか…? キャリアデザインとは『楽しいと思えることを中心に考える』ことでもあります。
心身ともに健康をキープし、自分の望むキャリアを作っていくためには、『楽しいことを考える』時間を、意識して作ることが必要ですね」(キャリアコーチ・菊池さん)
「楽しいことを考える」ためのコツ
楽しいことを考えることを習慣にするには、ちょっとしたコツがあります。それは、「ふとした時に意識をどこに向けるのか」。コツをつかむと、無意識でもできる「クセ」になります。3つのコツを紹介しますので、慣れるまでは意識をして取り組んでみてください。
1: 出来事のプラス面に注目をする
出来事のとらえ方には、必ずプラスとマイナスがあります。例えば、仕事で新しいプロジェクトを任された時、「難しい」「時間がかかる」ととらえることもできます。一方で「期待されて与えられたチャレンジ」「スキルアップにつながる」というとらえ方も。マイナスに感じたことを、「プラスにとらえたらどんな感じ? 」と連想ゲームのように視点を変えてみましょう。
2:今まで楽しいと感じた経験を思い出す
最近の事から順番に、「楽しい! 」と感じられた出来事を思い出してみましょう。そして、楽しいと感じた理由を考えていくと、いくつかの共通点が見えてきます。その共通点から発展して、「今度はどんな楽しいことをしようかな? 」と考えていくことで、過去・現在・未来を「楽しいこと」でつなぐことができます。
3:寝る前に考える
寝る直前に考えていたことは、寝ている間ずっと脳の中にあり、それが脳に定着していくという話があります。経験的にも、寝る直前にイライラすることやモヤモヤすることを考えていると、なかなか寝付けなかったり、起きてもどんよりした感じを引きずったりしませんか?
寝る前に楽しいことを考えるのは、一日の中でもベストなタイミング! ふとんの中でゆったりリラックスしながら楽しいことを考えることで、睡眠の質も上がり、心身の健康にもつながります。
人気のある楽しいことランキング10
楽しいことを考えるにあたって、いくつかのアクティビティをあげてみました。人それぞれ楽しいと感じることは違いますが、下記を参考に、自分にあった「楽しいこと」を考えてみては? 楽しいことに没頭をしていると、いろんなアイデアが湧き、「やりたいこと」が見えてきます。趣味の領域を超え、新しいキャリアに結びつく可能性もありますよ。
1:文化活動
文化活動と言うと、ちょっと堅苦しい感じがしますか? 読書や楽器の演奏、美術館・神社仏閣めぐり、ライブや演劇を見に行くなどの「推し活」も、立派な文化活動です!
2:食にこだわる
美味しいランチのお店を探す、友人とアフタヌーンティーに行く、食材を吟味して自分で作ってみる、珍しいものをお取り寄せする… など、「食」へのこだわりを極めてみるのもいいですね。
3:観葉植物の育成
何かを「育てる」という行為は、癒しや達成感も味わえます。そして、気候や環境に応じてちょっとした工夫も必要です。植物の変化に気付き、対応をするということは、脳トレにもつながります。
4:体を鍛える
そもそも人間の身体は、「動かないでいる」状態をストレスに感じるもの。適度な運動は、美容と健康に不可欠なものです。ジムに通ったり、ダイエットの計画を立てることは、自分の身体と向き合う知的作業でもあります。
5:散歩
運動は苦手… という人は、散歩はいかがでしょうか? 近所を定期的に歩くだけでも、季節の移り変わりや町のちょっとした変化が見えてきます。変化を感じられることは、脳の活性化にもつながりますよ。
6:アロマテラピー
嗅覚は、人間の五感の中でも記憶や情動に影響を与えると言われています。良い香りで癒されることで、さらに楽しいことを考えるきっかけになりますよ。
7:学ぶ
新たな知識の吸収は、視座が高まり世界が広がることにつながります。仕事に役立ちそうな資格に挑戦したり、セミナーや異業種交流会へ参加することで、人脈も広がりますね。
8:リッチな場所ですごす
高級ホテルでの女子会を企画して、ドレスアップをして集合! または、クルージングパーティーに申し込んでみるなど、たまには日常を離れ、ラグジュアリーな空間に身を置くのはいかがでしょうか?
9:旅行をする
旅行は、思いついた瞬間から始まっています! 友人や家族、パートナーと一緒に。そして一人旅も。企画から実行、ふりかえりと長く楽しめるのもいいところですね。
10:世界へ目を向ける
日本を飛び出して世界へ! まだまだ知らないことは沢山あります。写真集や地図を広げたり、ネットで検索をしたり…。思いをはせるだけでも視野は広がっていきますよ。
おわりに
「楽しいことを考える」ことは、心身の健康にも有効です。また、自分の成長にもつながり、新しいアイデアが生まれやすくなります。楽しい考えは、自分の人生を豊かにすることにつながりますね。コストもかからず誰でもすぐにできることです。ぜひ、毎日の習慣にしてみてください。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン