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生理前に落ち込む、イライラがひどい、情緒不安定で泣く…
何もやる気がおきない。情緒不安定になり泣いてしまう。些細な事に無性にイライラ、モノや人にあたってしまう…。多くの女性が生理前に経験している悩ましい症状。
生理前にあらわれるこのような精神的症状は「月経前症候群」の一種。生理の1週間前あたりから現れ、生理が始まるとなくなっていきます。
はっきりとした原因はわかっていませんが、排卵期を過ぎてから生理が始まるまでの間に、ホルモンバランスは急激に乱れます。それにともない自律神経が乱れることが主な原因ではないかと考えられています。
月経前症候群(PMS)と月経前気分障害(PMDD)の違い
月経前症候群であるPMSとPMDD。同じようなものと思っている方も少なくないと思います。
どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
月経前症候群(PMS)とは
生理の1週間ほど前から、乳房痛や下腹部痛、むくみ、体重増加などの身体症状が現れます。それに加え気分の落ち込みや不安感、イライラなどの精神症状が起こります。これらにより日常生活に支障をきたしてしまうものを月経前症候群(PMS)といいます。
生理が始まると症状はなくなっていきます。原因はわかっていませんが、「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンの変動が関わっていると考えられています。
生理後から排卵期にホルモンの分泌量が急激に変化することで、脳の中枢(視床下部)が対応しきれなくなり不調が起こるのでは、といわれています。
月経前気分障害(PMDD)とは
PMSの症状があるものの、イライラや気分の落ち込み、不安感、ふとしたことで泣いてしまうなど、特に精神症状が強く、日常生活に支障をきたすものを月経前気分障害(PMDD)といいます。やはり生理が始まると治まります。
比較的新しくついた名称で、2013年に「抑うつ症」のひとつと捉えられるようになりました。生理がある女性の1.8%~5.8%が該当します。またBMIが27.5を超えると、症状が出やすいという報告があります。
月経前症候群(PMS)と月経前気分障害(PMDD)の治療方法
どちらも自分なりの方法でケアをしてみても症状が改善されない場合は、薬による治療や心理士によるカウンセリングが必要になります。
薬に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、適切に使用すればつらい症状が軽減され、生理前でも質の良い生活を送る事ができるようになります。
自然の生薬・漢方薬
漢方薬は自然の生薬を組み合わせており症状を根本から改善します。生理前の症状であるイライラなどには、緊張をしずめる効果のある抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)や、血行を良くし身体を温める温経湯(ウンケイトウ)などが効果的です。
ピルや抗うつ薬などの薬物療法
PMDDには低用量や超低用量ピルが有効です。また、場合によっては抗うつ剤や安定剤を用いることも。
精神的症状の治療に効果的なSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)も有効です。脳内のセロトニンの再吸収に作用することで抑うつ症状を改善します。
また、黄体ホルモンや卵胞ホルモンなどの作用によって低下していると考えられるセロトニンを補う作用もあります。
カウンセリング
同じ悩みを持つ友人に相談してみても症状や程度は人それぞれのため、これといった解決には至らない、といった経験も多いでしょう。
そこで、カウンセリングを利用するのもひとつの方法です。話をすることで気持ちも楽になりますし、あなたに合った改善方法を提案してもらえるでしょう。女性カウンセラーがいるクリニックや、オンラインカウンセリングを利用してみるのはいかがでしょうか。
生理前の情緒不安定、ネガティブ、落ち込む症状の原因と改善法
ではここからは、なぜ生理前にこういった症状が出てしまうのか、その原因と改善法をご紹介します。
落ち込む原因
実ははっきりとした原因はわかっていません。生理後〜排卵期を過ぎたあたり、次の生理が始まるまでの間に急激なホルモンバランスの変化が起き、自律神経が乱れることが主な要因ではと考えられています。
改善法
自律神経を整えリラックスする時間を持つことが改善につながります。この期間は無理をせず自分を甘やかしてあげましょう。身体を温めると気や血の巡りが良くなり症状が軽減されます。好きな音楽やアロマを活用するなど、自分なりのリラックスを。
また、呼吸を整え自律神経を安定させるヨガ、身体に酸素を取り入れられるウォーキングなどの運動もおすすめです。
生理前のひどいイライラ症状の原因と改善法
些細なことにイライラして、友達やパートナーにあたってしまったり、わかっていても自分ではどうにもできないこともあるでしょう。こうしたイライラはなぜ現れるのでしょうか。その原因と改善方法について解説していきます
イライラする原因
イライラが起きる原因として、排卵後から月経前の女性ホルモンに反応するアドレナリンという脳内ホルモンの変動が考えられています。
また、生活習慣の乱れ、ストレス、ビタミン不足などさまざまな要因が関わっているともいわれています。
改善法
まずは自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。就寝前にぬるめのお風呂に浸かると、体の巡りを改善してストレスやイライラを緩和し、良質な睡眠に導きます。
また、PMSのイライラはエストロゲンの低下により引き起こされます。エストロゲンと似た作用を持つといわれる大豆を積極的に摂取すると良いでしょう。
生理前の倦怠感のある症状の原因と改善法
やることは山ほどあるけどやる気が出ない…。生理前の多くの女性が経験していることです。なぜそのようなことが起きるのでしょうか。生理前に起こる気力の低下や、倦怠感などの原因と対処法を解説していきます。
生理前の倦怠感の原因
生理前はホルモンバランスの乱れが生じ、特に排卵前から月経前までの期間は、急激にエストロゲンの低下が起こります。そのため、自律神経が乱れてさまざまな身体の不調が現れるのです。
改善法
生理前にだるくてやるが起きないという症状は「休養が必要」という身体のサイン。やることがたくさんあっても無理をせずに休養を取ることが大切です。
「頑張らなければ」と気を張ってしまうとそれがまたストレスになり、体調不良がさらに悪化してしまうことに。
だるさや倦怠感は生理の影響であることを周囲に理解してもらい、少しでも気持ちを軽くすることが大切です。
生理前のうつ的症状原因と改善法
生理前になると何故か些細なことが気になって気分が落ち込んでしまう。急に悲しくなり泣いてしまうなど、いつもと違う気分の落ち込みを経験したことのある女性も多いのではないでしょうか? その原因と改善方法を解説します。
生理前のうつ的症状の原因
月経前のうつ症状は、月経前症候群(PMS)のひとつ。PMSの原因は、はっきりとは分かっていません。月経周期半ばの排卵期を過ぎたあたりに急激なホルモンバランスの変化が起こることが主な要因と考えられています。
改善法
自律神経が整うよう、自分なりのリラックス時間を持つことがポイント。自律神経を整えるには深呼吸が効果的です。呼吸が浅いと身体に十分酸素を取り込むことができず、ストレスをますます増幅させることに。
お気に入りのアロマなどを取り入れ、ヨガや呼吸法の動画を見ながら、静かに呼吸を整える時間を作ってみては。
生理前のこの時期は、思い切って自分を甘やかしましょう。追い込んだり、自分を責めてしまってはますます症状が悪化してしまいます。
とりすぎは逆効果ですが、リラックスするためのアルコールは気分転換になるでしょう。
無理せず上手くつきあおう
今回はPMS、そしてPMDDの原因と改善法についてお伝えしました。最近は生理の話をオープンにすることができるようになってきましたね。周囲に理解をしてもらうことも大切です。「あれ、来たな」と感じたら無理せずリラックス。
そして時にはお薬やカウンセリングを利用して、毎月訪れるこの期間と上手くつきあっていきましょう。
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監修者:ひなたクリニック 理事長/院長 三橋 裕一先生
会津若松生まれの54才。産婦人科診療の傍ら、婦人科で行う医療VIO脱毛(介護脱毛)に真剣に取り組んでいる。ライフワークとして、総合格闘技のリングドクターとしても活躍中である。北海道フードマイスター、利酒師、焼酎利酒師の資格を持ち、おいしい食べ物、酒をこよなく愛する。