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生理中の貧血は食べ物で和らぐ?
生理中に貧血が起こる原因はどこにあるのでしょうか。そもそも貧血とは、体中に酸素を届ける役割である赤血球やヘモグロビンの量が少なくなることで、全身の組織が酸素不足に陥ってしまい、頭痛や立ちくらみといった症状を起こしてしまいます。
ヘモグロビンの低下は、材料の主成分となる鉄分が不足することで起こります。生理による出血で多くの鉄分が失われることで、貧血を引き起こしやすくしているのです。バランスのよい食生活、そして鉄分を多く含んだ食品を取り入れることで、生理中の貧血を和らげることができます。
生理前のツラい症状と原因
生理前に肉体的、身体的に起こるさまざまなツラい症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。生理のある女性の30%から40%の方に、このPMSの症状があるといわれています。
普通の生活が送れなくなるほどツラい症状が出る方もいらっしゃいます。どんな症状で何が原因なのか、詳しく見ていきましょう。
イライラする
生理前にあるイライラや、抗うつも月経前症候群の1つです。月経前症候群を起こす原因として、卵巣ホルモンや黄体ホルモンの急激な低下と言われています。
これらのホルモンが減少するときに、セロトニンという物質も合わせて低下していきます。このセロトニンの減少が感情をコントロールするのに必要な物質のバランスを崩してしまい、結果イライラなどの精神的症状を引き起こします。
頭痛
生理前に表れる頭痛は「月経関連片頭痛」と言われ、通常時に表れる片頭痛よりも長い時間強い痛みが続き、再発しやすいという特徴があります。
前記したセロトニンの減少は、頭痛を引き起こす要因にもなります。セロトニンは脳の血管を収縮させる作用があり、減少することで収縮が抑えられ血管が拡張していきます。その動きに反応して頭痛を引き起こします。
腹痛
生理中の代表的な症状ですが、月経前症候群でも見られる症状の1つです。生理が始まる少し前に「プロスタグランジン」という子宮を収縮させる働きをもつホルモンが分泌されます。
このホルモンが過剰に分泌されると、子宮や血管が強く収縮し、下腹部痛を引き起こします。
胸の張り、傷み
生理前に胸の張りや傷みといった症状がみられる方もいます。月経前症候群の原因と考えられている黄体ホルモンの増加に伴って乳房の血流が増加し、乳腺組織が活性化します。それにより、張りや痛みといった症状を引き起こします。
便秘
生理前は便秘になるというも多くいらっしゃいます。黄体ホルモンには、腸の水分を吸収し、収縮運動を抑制する働きがあります。黄体ホルモンが多く分泌されると、この作用で腸の動きが抑制され、便秘を引き起こします。
さらに便秘が長く続くと、とどまっている便中からも水分が吸収されてしまい、便が硬くなってより悪化してしまうこともあります。
生理前におすすめの食べ物・飲み物
生理前に起きる症状の根本的な原因は、ホルモンバランスの乱れにあるといわれています。ここでは、その乱れを整え、生理前の不快な症状を和らげてくれる食べ物や飲み物を紹介していきます。
チーズ、ヨーグルト
チーズやヨーグルトなどの乳製品には、月経前症候群の症状緩和に効果があるといわれているカルシウムが豊富に含まれています。
また、イライラなどを引き起こす原因となるセロトニンの減少、そのセロトニンの原料となるトリプトファンも含まれています。さらに、乳酸菌は腸内環境も整えてくれるので、便秘解消にも役立ちます。
豆腐、納豆
大豆に含まれているイソフラボンには、自律神経の働きを整える作用をもつ女性ホルモン「エストロゲン」と似た作用があります。イソフラボンを摂取することでエストロゲンを補い、生理前の乱れがちな気持ちや体調を安定させる効果が期待できます。
レバー
貧血を引き起こす鉄分の不足。レバーは豚、牛、鶏、種類問わず鉄分を豊富に含んだ代表的な食材です。動物性のヘム鉄は吸収効率に優れていて、効果的に鉄分を取り入れることができます。
レバーが苦手という方は、牛豚ヒレ肉などの赤身肉、マグロやカツオ、ブリなどの赤身魚でも鉄分を摂取することができます。
ハーブティ(チェストベリー)
チェストベリーは、月経前症候群への効果が証明されている西洋ハーブの1種で、世界中の女性に愛用されています。サプリメントとしても摂取できますが、温かいハーブティで摂り入れることで、血行促進効果やリラックス効果も期待できます。
生理中のツラい症状と原因
続きまして生理中に感じるツラい症状と原因について紹介していきます。
「夜も寝られないぐらいつらい」
「毎月つらくて生理がくるのがこわい」
生理中のツラい症状に多くの女性が悩まされています。まずはその原因から押さえていきましょう。
貧血
生理前の症状として鉄分が不足しておこる鉄欠乏症貧血を紹介しましたが、生理中に起こる貧血としてもう1種類、脳貧血というものがあります。
血液中のヘモグロビンが不足して起こる貧血とは違い、ホルモンバランスが崩れることによって起こる自律神経の乱れが原因の貧血で、起立性障害、自律神経失調症の1つと考えられています。症状としては、鉄欠乏症貧血と同様に、めまいや立ちくらみといったものが表れます。
生理痛
毎回、日常の生活に支障をきたすほどのつらい痛みで苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。生理痛はさまざまな症状があり、人によって痛みの具合も変わってきます。
頭痛、腰痛、下腹部痛といったものが代表的な症状で、どれも原因は生理前に感じる痛みと同様にプロスタグランジンやエストロゲンといったホルモンの分泌バランスが乱れることで、痛みを引き起こします。
吐き気
子宮を収縮させる働きをもち、腰痛や下腹部痛を引き起こす原因であるプロスタグランジンは、子宮だけではなく胃腸も一緒に収縮させてしまいます。
胃腸が収縮すると、痛みだけではなく、胃に感じる強い不快感から吐き気を催す方も多くいらっしゃいます。
イライラする
生理中も引き続きイライラしたり不安感に襲われたりといった、精神的症状も引き起こします。原因は卵胞ホルモンや黄体ホルモンの減少といわれていますが、頭痛や下腹部痛といった生理痛がひどく、思うように仕事や家事ができないことにイライラするという方も多いようです。
肌荒れ
生理前に分泌量が増加する黄体ホルモンは、皮脂の分泌を促す働きがあり、ニキビや黒ずみをできやすくします。そして、生理が始まると今度は減少していくことでお肌の乾燥を招き、さまざまな肌トラブルを引き起こします。
生理中におすすめの食べ物・飲み物
生理中のさまざまな不快症状を普段の食事を見直すことで改善することができます。ここでは、そんな毎月のストレスを少しでも減らすための、生理中におすすめしたい食べ物や飲み物を紹介していきます。
ピーマン、ほうれん草
色の強い緑黄色野菜には、傷みを和らげて気持ちを落ち着かせてくれる効果のあるマグネシウムを初め、カルシウム、カリウム、鉄といった、症状を和らげてくれる成分が豊富に含まれています。
さらに、食物繊維には腸内環境を整える整腸効果、血糖値の上昇を抑えてくれる作用もあります。
卵、牛乳
ビタミンB群の不足は肌荒れを引き起こします。肌荒れを起こしやすい生理中はとくにビタミンB群を豊富に含む卵や牛乳、ウナギ、納豆、レバーなど毎日摂るようにしましょう。
卵に含まれるビタミンB12は血液の形成を助ける役割があります。
鶏むね肉
たんぱく質や鉄分を豊富に含んだ食材です。たんぱく質が不足していると、イライラしたり精神的に不安定になります。ヘルシーで太る心配も気にせず摂り入れられます。鉄分は貧血予防に効果があります。
コーヒー、緑茶
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは、下腹部痛や精神的な不快症状を和らげる効果があると言われています。ただ、過剰摂取は血管を収縮させてしまう可能性があるので、適度に取り入れてリラックスしましょう。
ショウガ
痛みを和らげるには、体を温めて血行をよくすることも重要です。体が冷えていると血行が悪くなり、子宮まで栄養が届かなくなることで痛みが強くなることがあります。
ショウガは体を温める代表的な食材です。すりおろしたりして、毎日の食事に少しずつ取り入れていきましょう。
味噌、豆乳
イソフラボンを含む大豆製品は、生理中においてもホルモンバランスを整える重要な役割を果たしてくれます。頭痛、下腹部痛、腰痛といった、いろいろな痛みを緩和してくれる効果が期待できます。積極的に取り入れていきましょう。
生理後の体の状態
生理が終わると、ツラい症状の原因となっていたプロスタグランジンなどのホルモンが減少し始め、心と身体をリラックスさせる効果のあるエストロゲンが増加していきます。そのため、生理後は比較的体調不良が起こりにくいと考えられています。
さらにこの時期は、妊娠のために蓄えられたものが排出されていくので、内臓の動きも活性化し、老廃物が身体の外に出やすい状態になっています。この生理後の7日から10日間がダイエットに最適な期間といわれています。
ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、脂肪燃焼にとても効果があり負荷の調整もしやすいので、生理後の疲れた体にやさしいダイエット方法です。無理のない範囲でこの特別な期間を有効活用していきましょう。
生理後におすすめの食べ物・飲み物
心身ともに絶好調なこの時期、食べ物や飲み物でケアしていくことで、より大きな効果を得ることができます。ここでは生理後におすすめの食べ物や飲み物を紹介していきます。
牡蠣、カシューナッツ、豚肉
これらの食材に含まれている栄養素「亜鉛」は、新陳代謝を促す働きをもっています。亜鉛を摂ることでお肌の再生がスムーズに進み、ハリと潤いのあるキレイなお肌に近づきます。
抹茶
スーパーフードとも呼ばれ、最近は海外からも注目されている抹茶。ビタミンA,B2,E,C、カテキン、テアニン、ミネラル、アミノ酸など、多くの栄養素の含んだまさにスーパーフードです。お肌の再生、脂肪燃焼、便秘改善など多くの効果が期待できます。
卵、牛乳
ビタミンB群にはダイエット効果を高める働きもあります。エネルギー代謝を促し、さまざまな老廃物をスムーズに排出する潤滑油のような役割をします。
牛赤身肉、豚肉、鶏肉
動物性植物に多く含まれているL-カルニチンは、体内の脂肪燃焼をサポートする役割があります。さらに疲労物質である乳酸の増加を抑える働きもあるので、ダイエット前に摂取するとより効果が得やすくなります。
生理中に食べてはいけないもの・控えたほうがいいもの
ここまで生理の体におすすめの食べ物や飲み物を紹介してきましたが、体に良いものがあれば当然よくないものもあります。ここからは、生理中は食べてはいけない、控えたほうがいい食べ物、飲み物を紹介していきます。
アイス
アイスや冷たい飲み物などは、体を冷やして血行を悪くします。そうすると血液を排出しようと子宮の収縮が活発になり、生理痛がひどくなることがあります。
ケーキ
ケーキやチョコレートといった甘いものに含まれる糖分は、血糖値を急上昇させる作用があります。その後インスリンが大量に分泌され、上がった血糖値を急降下させます。
この血糖値の乱高下がホルモンバランスを崩したり、体温の低下を引き起こします。
カップラーメン
カップラーメンなどのインスタント食品は塩分を大量に含んでいます。塩分はむくみの原因となりますので、気になる方は生理中はもちろん、普段からも控えていきましょう。
また、子宮筋腫の発症リスク上昇に影響があるといわれているトランス脂肪酸も多く含んでいます。
アルコール・タバコ
生理中のアルコール摂取は体を冷やして生理痛を悪化させる可能性があります。また、血流が促進されることで出血が増えて貧血を起こしやすくなったり、ホルモンバランスが崩れていて、少しの変化でも体調不良を起こす危険性があるので注意が必要です。
食べ物ではないですが、嗜好品であるタバコも避けたほうがよいでしょう。タバコに含まれるニコチンは手足の血管収縮を起こし、血流を低下させ体の冷えが進みます。このため、月経痛が悪化します。
生活習慣を整えて症状改善をめざしましょう
生理のツラい症状を助ける食べ物や飲み物について紹介してきました。食事など普段の生活習慣を整えることで症状を軽減することはできます。いつものこととあきらめずに見直していきましょう。
ただ、継続してやり続けても一向に症状が改善しない、痛みが変わらないという方は、一度婦人科に相談してください。つらい時は決して無理をせず、ゆっくりと休みましょう。
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監修者:ひなたクリニック 理事長/院長 三橋 裕一先生
会津若松生まれの54才。産婦人科診療の傍ら、婦人科で行う医療VIO脱毛(介護脱毛)に真剣に取り組んでいる。ライフワークとして、総合格闘技のリングドクターとしても活躍中である。北海道フードマイスター、利酒師、焼酎利酒師の資格を持ち、おいしい食べ物、酒をこよなく愛する。