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生理中にお酒を飲んでいいの?
生理中にお酒を飲んでもいいのか悩みますよね。これから、生理中にお酒を飲むことについて解説していきます。
女性とお酒の関係
まずは、女性の体とお酒の関係について知りましょう。
アルコールに弱い
アルコールの弱さは体型や個人差がありますが、小柄な女性は、男性よりもアルコールに弱いのが一般的です。
これは、肝臓の大きさが小さいためだと考えられています。
アルコールの分解が遅い
アルコール代謝速度(1時間に代謝できるアルコールの量)の平均も、男性が1時間に約8gアルコールを分解できるのに対し、女性は1時間に約6gと、男性の3/4のスピードでしか分解できません。
よって、男性よりも女性のほうが体にアルコールが残りやすくなります。
アルコールの影響を受けやすい
血液循環量も、女性は男性にくらべて少ないことが判明しています。
男性と女性、それぞれが同じ量のアルコールを飲んだとしましょう。血液循環量が少ない女性は、男性にくらべて血中アルコール濃度が高くなってしまいます。
そうすると、アルコールが長時間体内にとどまることがあり、アルコールの影響を受けやすいのです。
生理中にお酒を飲んだらどうなる?
生理中にお酒を飲むと、さまざまなリスクがあります。どのようなリスクがあるのかを知っておきましょう。
出血の量が多くなる
アルコールには、血管を拡張する作用があります。そのため、アルコールを飲むと子宮内膜にある血管も拡張され、通常よりも出血の量が多くなることがあります。
出血の量が多くなると、場合によっては生理痛がひどくなる可能性もあるので注意が必要です。
酔いやすくなる
生理中はお酒に酔いやすくなります。これは、生理中には女性ホルモンが減少し、体全体の機能が普段よりも低下するためです。
もちろん、アルコールの分解能力も落ちますから、普段よりも酔いやすくなり、体にも大きな負担がかかります。
脱水・貧血・めまい・頭痛が起きることも
生理中は血液量が少なくなり、脱水や貧血を起こしやすい状態です。そこでお酒を飲むと、さらに脱水や貧血が進み、頭痛やめまいといった症状を引き起こしやすくなります。
お酒をたくさん飲むとこれらの症状が悪化することがあるので気をつけましょう。
生理前や生理後はどうなる?
生理中だけでなく、生理前や生理後の飲酒は、体にどのような影響があるのでしょうか。
生理前の飲酒は、PMSによるイライラが強くなることがあるため避けた方が無難です。また、アルコールによって血管が拡張すると、下腹や腰が重く感じたり、だるくなったりする場合があります。
さらに、経血量が増える可能性もあるので生理前の飲酒にも注意してください。
生理後は、お酒を飲んでも問題ありませんが、お酒の飲む量が多いと肝臓に負担をかけることになるため、適量を飲むようにしましょう。
生理とお酒の関係にメリットはある?
生理とお酒の関係には以下のように言われているものもあります。ただし、医学的根拠がないものもあるため、いかなる場合にもお酒の飲み過ぎは禁物です。
お酒を飲むと生理が早まる・遅れる?
お酒を飲み過ぎることで、生理が早まったり、遅れたりする、いわゆる生理不順が起きることがあります。これは、アルコールに卵巣のはたらきを抑える作用があるためです。
しかし、いくら生理を早めたり、遅らせたいからといって、お酒をたくさん飲むのはNGです。
生理前にお酒が飲みたくなるのは自然なこと?
女性のなかには、生理前になるとお酒が飲みたくなる人もいるようです。これは、お酒やお酒の香りにリラックス効果があるからかもしれません。
飲みすぎない程度ならお酒を飲んでもかまいませんが、前述したとおり生理前の飲酒でPMSがひどくなったり、生理痛が重くなったりすることがあります。リラックスする程度、適量を守ってお酒を飲むようにしましょう。
赤ワインは生理痛にならない?
赤ワインにふくまれるアルコールと、ポリフェノールによって、血行促進する作用があるといわれています。これが「赤ワインには体を温める効果がある」といわれている所以です。
しかし、赤ワインはあくまでもアルコール。「赤ワインを飲めば生理痛にならない」「生理痛を和らげる」などの効果はありません。
生理中にお酒を飲むときの対処法や注意点
生理中にお酒を飲むこともあるでしょう。そんなときには次のようなことに気をつけるようにしてください。
脱水に気をつける
生理中は出血によって体から水分が排出するようになるため、脱水状態に陥りやすくなります。そんな状態のときに、利尿作用があるお酒を飲めば、もっと脱水してしまいます。
お酒を飲むときには、こまめにお水も飲んで脱水を防ぎましょう。
体を温めるお酒を選ぶ
生理中は冷えが大敵です。体を冷やさないようにするためにも、お酒の選び方に気をつけるとよいでしょう。
体が冷えにくいお酒には、日本酒、紹興酒、赤ワイン、ブランデーなどがあります。これらを常温、または温めて飲むのがおすすめです。
タンパク質を摂る
生理中のみならず、お酒を飲むときにはタンパク質が多くふくまれたおつまみを選ぶようにしましょう。というのも、アルコールは肝臓で分解されるのですが、その肝臓を機能させるのがタンパク質だからです。
タンパク質を多くふくむ食べ物・飲み物には、豆乳、チーズ、枝豆、ホッケ焼きなどがあります。
おつまみでこういったメニューを選ぶことはもちろん、飲む前に食べておくことで酔いにくくする効果も期待できます。
ピル
基本的に、ピルの服用中にお酒を飲むことは問題ありません。ですが、ピルは毎日同じ時間に飲まなければ効果が不十分になってしまいます。
そのため、二日酔いなどでピルを飲み忘れてしまうことがないように注意が必要です。また、お酒の飲みすぎでピルを吐き出してしまうことにも気をつけてください。
生理痛の薬はNG
生理痛を和らげるために市販の鎮痛剤を飲んでいる人は、アルコールを控えるようにしましょう。
鎮痛剤とお酒をいっしょに摂ると、薬の作用が増強され、意識がなくなったり、血圧が下がりすぎたりする場合があります。
鎮痛剤の用法にも「服用前後には飲酒しない」という旨が記載されているので、必ず守るようにしてください。
生理中のお酒は控えめに
生理中にお酒を飲んでも問題ありませんが、飲みすぎるとさまざまなリスクがあります。
女性の適度な飲酒量は、純アルコールで10g程度。ワインなら1杯、日本酒なら0.5合、缶チューハイなら350ml缶の半分程度です。生理中は適量よりも少なめにするとよいでしょう。
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監修者:つづきレディスクリニック 院長 吉岡範人先生
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。