目次Contents
この記事のサマリー
・「夜分遅く」の正しい読みは「やぶん」です。
・「夜分遅く」は夜の中でも遅い時間を示す語。
・言い換え表現には「遅い時間」「夜遅く」などがありあます。
夜に連絡をする必要があるとき、「夜分遅くに失礼いたします」の一言を添えるのは、ビジネスマナーのひとつです。とはいえ、「何時からが夜分遅く?」「どんな場面で使えばいいの?」と迷うこともありますよね。
この記事では、辞書の定義をもとに、使い方や時間帯の目安、言い換え表現、英語表現までを整理しながら紹介します。
「夜分遅く」とは? 読み方と意味
まずは、「夜分遅く」の読み方や意味、そして使い方の基本を整理しましょう。
「夜分」の読み方と意味
「夜分」の読み方は「やぶん」です。「よぶん」と読み間違えやすいので注意しましょう。
『デジタル大辞泉』では以下のように記されています。
や‐ぶん【夜分】
よる。夜中。「―失礼いたします」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「夜分」は、「夜間」の改まった言い方で、「夜・夜中」を表す語です。「夜分遅く」は「夜の遅い時間」を指します。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
何時からが「夜分遅く」?
辞書には明確な時刻の定義がありませんが、例えば気象庁の天気予報等では、18時〜24時頃までを「夜」としています。その中で、18時〜21時頃までを「夜のはじめ頃」、21時〜24時頃までを「夜遅く」としています。
一般的には終業時間以降は、配慮が必要な時間帯だといえるでしょう。特に、21時以降は原則として送信や通話を控えた方が安心です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
夜分の連絡手段(電話/メール/チャット・LINE)
連絡手段が多様化した今だからこそ、夜遅い時間の連絡にはいっそうの配慮が求められます。つい「思い立ったときに送信」してしまうと、相手にとっては負担やストレスになることも…。
状況や関係性に応じたマナーを、あらためて確認しておきましょう。
・電話: 緊急時を除き、夜間は避けるのが原則。どうしても必要な場合は、まずメッセージで確認を。
・メール: 深夜に内容をまとめ、予約送信機能を活用。翌朝の送信設定がスマートです。
・チャットやLINE: 可能であれば、翌朝送りましょう。どうしても必要なときは、通知設定に配慮し、「返信は明日で大丈夫です」など一言添えること。
特に社外の相手への夜間連絡は慎重な判断が求められます。同僚であっても、家庭やプライベートの時間を尊重する姿勢が、信頼関係を長く築く上で大切です。

「夜分遅く」を使う際のマナーを解説
「夜分遅く」は、相手に対して時間的な配慮と謝意を同時に伝える言葉です。しかし、使い方を誤ると、かえって無神経な印象を与えてしまうことも。ここでは、ビジネスシーンで「夜分遅く」を用いる際の基本マナーを整理します。
前提として就業時間内に送るのが原則
ビジネスメールは、原則として勤務時間内に送信するのがマナーです。急ぎでない内容なら、翌営業日に改めて送りましょう。
やむを得ず夜間に送る場合は、「夜分遅くに失礼いたします」や「夜分遅くのご連絡となり申し訳ございません」といった一言を添えることで、相手への配慮が伝わります。
連絡の理由を明確に添える
就業時間外、特に夜遅くの連絡は、相手に「緊急性があるのだろう」と思わせるもの。そのため、なぜこの時間に連絡する必要があったのかを簡潔に説明しましょう。「明日の朝までにご確認をお願いしたく、ご連絡いたしました」など、具体的な事情を添えると誠実な印象になります。
要点を簡潔にまとめる
謝罪や理由を述べるのは大切ですが、長文になるとかえって逆効果です。「要点を短く・伝える内容を明確に」が基本。長々とした説明は、相手に「結局何を伝えたいのか」と思わせてしまいます。夜間の連絡だからこそ、簡潔で読みやすい文面を心がけましょう。
「夜分遅く」の類語や言い換え表現を紹介
「夜分遅く」は汎用性の高い表現ですが、何度も繰り返すとやや堅苦しく感じられることもあります。シーンに合わせて言い換えることで、謝意や誠意をより自然に伝えることができますよ。ここでは、状況に応じて使いやすい類語や言い換え表現を紹介します。

遅い時間
「夜分遅く」よりもやわらかい表現です。「遅い時間にごめんなさい」「遅い時間のご連絡となり、失礼いたします」など、ビジネス・プライベートどちらにも応用できます。
夜遅く
「夜遅く」も、「夜分遅く」に比べて少しくだけた印象になります。例えばビジネスシーンなら「夜遅くに失礼いたします」、プライベートでは「夜遅くにごめんなさい」といった形で使えます。
丁寧さを保ちながら、堅苦しさをやわらげたいときに最適な言い換え表現です。
「夜分遅く」の英語表現
夜遅い時間の連絡をする際、英語ではどんな表現があるでしょうか?
“late at night”
“late at night”は、「夜遅くに」「深夜に」を意味します。日本語の「夜分遅く」に近い表現です。
例文: “I’m sorry for emailing you late at night.”
(夜遅くにメールをして申し訳ありません。)
“at this late hour”
“at this late hour”は「このような遅い時間に」や、「こんな夜更けに」という言い回しです。
例文: “I apologize for reaching out at this late hour.”
(このような遅い時間にご連絡し、申し訳ございません。)
参考:『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)

「夜分遅く」に関するFAQ
ここでは、「夜分遅く」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「夜分」の読みは「やぶん」で正しいですか?
A. はい。
「よぶん」などの誤読に注意しましょう。
Q2. 「夜分遅く」は失礼な表現ではありませんか?
A. いいえ。
「夜分」は「夜間」の改まった言い方です。
最後に
ビジネスでは、夜遅くに連絡をすると、「なんて非常識なんだ!」と相手からの信頼を損ねてしまうことがあります。そうならないためにも、「夜分遅くに、失礼いたします」などと一言添えることで、相手に対する配慮を忘れないようにしたいですね。
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