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2022.12.29

理事ってどんな役職? その概要や役割、選任方法などについて解説

「理事」とは、「組織の代表で、決められた事務処理を行う特定の役職や機関」のことです。わかりやすくいうと、会社でいう「取締役」に該当。組織の業務に関する、意思決定の権限がある人のことですね。本記事では、他にも理事の選出フロー、理事長や役員との違いなどについても紹介します。

理事とは何か

学校法人や、医療法人関連のニュースやドラマなどで、理事という言葉が出てくる機会は多いですよね。では、実際に理事に対してどのような認識をお持ちですか? なんとなく「偉い人」または「権力のあるところ」のような、漠然としたイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

理事は、組織や団体の代表的な存在です。学校法人や医療法人、NPO団体、共同組合、公団などの組織や団体のトップを務め、担当の事務処理を行う役職です。

法人では必ず置かれ、一人または数人が置かれることもあります。なお、理事を置くことは、明治29年(1896)に定められた民法五十二条で「法人には一人または数人の理事を置くことを要す」と規定されていましたが、2008年12月1日に法人整備法、法人法、公益認定法が施行され、削除されました。

理事をわかりやすくいうと、会社でいう「取締役」にあたります。一言でいうと、会社の業務に関する、意思決定の権限がある人のこと。

それでは、理事の具体的な役割をみていきましょう。

腕を組む男性
(c)Shutterstock.com

理事の役割

具体的に、理事には次のような役割があります。

・対外的に法人を代表する
・対内的に総会の決議に従って、その法人の業務を行う
・重要事項を決定する権限をもつ

これらの代表的な役割に加えて、様々な義務もあります。

社員に対する社員総会での、通知・説明・報告義務などです。このほかには、忠実に職務を行わなければならない「忠実義務」も大切な義務の一つとしてあります(一般社団・財団法人法83条)。

そしてこれらの任務を怠ったり、職務執行で重大な過失があった場合は、法人に対して、損害賠償責任を負うのです(一般社団・財団法人法111条)。

理事会

また理事には、理事によって構成される「理事会」というものがあります。

理事会では、

・法人の業務執行の決定
・社員総会召集の決定
・理事の職務執行の監督
・代表理事の選定

などが行われます。

白熱する会議
(c)Shutterstock.com

主に、「業務の意思決定」をするのが理事会で、「業務執行」するのが、代表理事や業務執行理事です。

なお、理事会を置くのはそれぞれの法人の任意になります。理事会を置かない法人は社員数が比較的少数で、理事会を置く法人は社員数が多数である場合がほとんどです。

理事になるには

理事になるには、それぞれの機関によって定められているルールに従って選任されます。ここでは、一般社団法人(営利を目的としない「非営利法人」のこと)を例にみていきましょう。

一般社団法人では、理事は社員総会の決議により選任されます。ここでの社員とは、いわゆる一般的な従業員の意味ではなく、議決権のある一般社団法人の構成員を指します。

社員の過半数が出席した決議において、出席した社員の議決権の過半数の賛同を得られて理事に選任されるのです。つまり、四分の一の賛成があれば理事として選ばれることになります。思っていたより、意外と少ない印象を受けられたのではないでしょうか。

ちなみに、「理事」を選ぶ場合は「選任」、「代表理事」を選ぶ場合は「選定」とそれぞれ言葉が使い分けられています。また、一般社団法人の中には、「名誉職」として名前だけの理事に就任する方もいるようです。

しかし、上記のように理事には様々な役目や、義務があります。過失があった場合、責任をおって賠償しなければならないリスクもあるので、理事の業務や義務を守れる意思がない方の就任は本来、望ましくありません。

理事長や役員との違い

さて、ここまで理事ついて説明をしてきましたが、「理事と代表理事とは、何が違うのか」「役員とは別物なの?」と疑問に思いませんか? それぞれの意味と役割をみていきましょう。

クエスチョンマークの吹き出し
(c)Shutterstock.com

「役員」とは

役員とは、会社や団体の中心的な役割を持つ運営の責任者、幹部職員のことです。

会社についての基本ルールである「会社法」では、取締役・会計参与および監査役のことを意味します。

会社法施行規則では、取締役、会計参与、監査役と並び理事、執行役などを含めて「役員」としています。つまり、理事は役員の役職の中の一つということです。

「代表理事」とは

代表理事とは、一般に理事長と呼ばれ、理事の代表者のこと。法律上の正式名称は「代表理事」となります。日々の業務の他に、運営に関わる報告書や、理事会などの議事録などを管理する人のことです。

例えば医療法人の場合、その病院の院長が兼任しているケースが多いです。医療法人の理事長は医師、もしくは歯医者の免許を保持している必要があります。理事長になるには名ばかりではなく、深い知識や経験も必要になるわけですね。

腕を組む白衣の人の後ろにいる人たち
(c)Shutterstock.com

理事長に関しての記憶に新しいニュースでいうと、令和4年の7月に作家の林真理子さんが、日本大学の理事長に就任しましたね。理事長の挨拶では「この学校の学生・生徒の幸せや、願いをかなえることが最も重要」と熱い気持ちを語られていました。

理事長には「この組織をよくしたい」というような、善良で熱心な気持ちを持っている人こそがふさわしいのでしょう。

最後に

「理事」の意味や役割について解説しました。日常生活においてはあまり使う機会がない言葉ではありますが、ニュースやドラマで理事が出てきた時に、役割が分かると理解が深まりますね。

理事は、組織をよくするために存在しています。ご自身の所属する組織に、理事が存在する場合は、よりよい発展をもたらしてくれると良いですね。

TOP 画像/(c)Shutterstock.com

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