「逆セクハラ」という言葉を、聞いたことがありますか?
「セクハラ」と言えば、なんとなく「男性が女性に対してする性的なハラスメント」というイメージをお持ちの方も、多いかもしれません。ですが、実はセクシャルハラスメントは、性別を問わないということを、ご存知でしょうか?
この記事では、逆セクハラの概要、セクハラの定義や、事例を解説します。普段何気なくしていた言動が、実はセクハラになってしまっていることも。ハラスメントについて、年々問題意識が高まっている昨今ですので、おさえておきたいテーマですね。
逆セクハラとは?
逆セクハラとは、主に女性による男性へのセクハラのことです。
男性から女性にするセクハラは、一般的にイメージしやすいかもしれません。例えば、職場で男性が女性に対して、性的な発言をする、身体を触るなどは、今の世の中でやったら大変なことになりますよね。
これらのセクハラの、性別を入れ替えたものと考えると、分かりやすいでしょう。
いわゆる「男らしさ」を求められる文化の中では、男性からセクハラ被害の声をあげにくいという現状もあるようですね。
しかし近年では、性をめぐる様々な議論や、ジェンダー問題なども相まって、逆セクハラも問題視されています。
では、職場でのセクハラは、どのような定義付けがされているのでしょうか? いざ具体的に聞かれると、なかなか難しい問題ですよね。
ここでは、厚生労働省による「職場におけるセクシャルハラスメント」の定義を見ていきましょう。
セクシャルハラスメントの定義
よく聞く「セクハラ」というワードですが、いざ定義を聞かれると、難しいですよね。また、「どこからがセクハラ?」と、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
厚生労働省によれば、職場でのセクハラは、主に「環境型」と「対価型」の2タイプがあるとされています。
1:環境型セクハラ
「環境型セクハラ」とは、相手が望まない性的な発言や行動によって、働く環境が不快なものになってしまうことをいいます。
とはいえ、これだけでは少し漠然としていますよね。定義をさらに深堀してみましょう。
厚生労働省によれば、「能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で、看過できない程度の支障が生じること」が、環境型セクハラの要素とされています。
少し堅い表現ですので、具体的にどんなものなのか、疑問に思われるかもしれませんね。
環境型セクハラの例も見ていきましょう。
典型的なのは、会社内できわどいグラビアや、ヌードポスターなどを貼っているケース。そのほか、パソコンのデスクトップが、性的な画像になっているなども、よくある事例です。
「個人の自由じゃないか」という声も聞こえてきそうですが、こういったものを、不快と感じる人もいますよね。職場においては、ただの個人的な趣味では済まされないことも。
例えば、「不快感で仕事が手につかない」などの悪い影響が周りに出てくる場合、それはもはや「看過できない程度の支障」と言えるでしょう。
2:対価型セクハラ
対価型セクハラは、性的な言動に対して拒否や抵抗をされたことの腹いせとして、クビにする、給与を下げる、昇進させないなどの、不利益な扱いをすることを指します。
例えば、職場で上司が部下に交際を断られたため、部下の評価を下げたというケースは、典型的ですね。
「オフィスラブ」と言うと、なんだかロマンチックなイメージがあるかもしれませんが、一歩間違えばセクハラになるので要注意。
また、上司・部下という分かりやすい上下関係だけではなく、同僚間であっても、セクハラになってしまうケースがあります。
逆セクハラの事例は?
逆セクハラの事例には、どのようなものがあるのでしょうか?
セクハラに対しては、年々厳しい目が向けられており、裁判に発展してしまうことも。特に、職場でこのようなトラブルに発展してしまうと、キャリアにも大きな打撃がありますよね。
無自覚にセクハラをしていないかチェックするためにも、事例を一緒に見ていきましょう。
1:性的な話題を振る
下ネタや性的な話題は、女性から男性に振ったとしても、セクハラになってしまう可能性大。
「男同士のようなノリなら許される」と思っている人もいるようですが、そのような発言は、性別に関わらず、不快に思う人はいるでしょう。そのため、セクシャルな話題は、職場では避けたほうが良いと言えますね。
また、下ネタ以外にも、恋愛についての質問をするのも、気をつけたいポイントです。例えば、「彼女いるの?」や、「独身?」などの質問は、逆セクハラと捉えられてしまいかねません。
2:ボディタッチ
モテを意識して、ボディタッチをしがちな人は要注意です。「女性に触られて、いやがる男性なんていない」と言う声もあるようですが、それは偏見と言えるでしょう。そもそも身体的接触が苦手な人もいますよね。また、好きではない人から触られることを、不快と感じる人も。
特にビジネスシーンにおいて、不必要に身体に触れるというのは、極力避けるようにしましょう。
3:男性らしさを求める
「男はこうあるべき」などの発言も、セクハラになってしまいかねません。また、「男のくせに」などの発言も気をつけたいところです。
そもそも、性別で一概に人を括ることはできませんよね。「男性らしさ」や「女性らしさ」に関する偏見は、セクハラ以外の問題になってしまうケースも。
こういった性に関する一方的な決めつけは、思わぬトラブルの原因になりがちですので、気を付けたいところです。
気を付けたいポイント
様々な事例を見ていきましたが、重要なポイントは、「性別で決めつけない」こと。基本的に、男性から女性に対してしたときに、セクハラになる言動は、女性から男性にするのもNGだと心得ておくのが良いですね。「男性だから、これくらい許されるだろう」という発想は手放しましょう。
また、性に関する話題は、とてもセンシティブです。知らず知らずのうちに、相手に不愉快な思いをさせている可能性もあるかもしれません。LGBTなども含め、様々な配慮が必要ですので、安易に口にしないのが得策です。
最後に
この記事では、逆セクハラの概要、セクハラの定義や事例を解説しました。悪気が無くても、相手からセクハラと受け取られてしまうこともあり得ますよね。セクハラや、職場でのハラスメントについては、年々問題意識が高まっていますので、おさえておきたいテーマです。
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塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはらみさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。ライター所属:京都メディアライン