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自身の仕事での成長を感じられない
優秀な人ほど、自分の成長や将来のビジョンについて、こだわりを持っているもの。このままでは成長できないと感じた時、会社に対して、早く見切りをつける場合があります。キャリアコンサルタントの櫻井宏美さんと一緒に、優秀な人が辞める理由やその兆しについて見ていきましょう。
今回は自身の仕事での成長を感じられないという、Oggiブレーンの方から、お悩みをいただきました。
「仕事で成長している実感がありません。このまま働き続けると、どうなるのか不安です」(Sさん・47歳・女性/千葉県)
「今の仕事で自分の成長を感じることができず、この先のご自身のキャリアを不安に感じていらっしゃるようですね。Sさんのその気づきは、とても素晴らしいと思います。
優秀な人ほど、自分の成長をしっかりと、見据えることが多いようです。そして、成長を感じられなくなった時、会社を離れ、新しいステップへ進まれる場合があります。
以前、相談を受けた方の話です。その方は、長年携わってきた業務がひと段落し、『これ以上同じ業務での成長は見込めない』と、悩んでおられました。転職するかどうか迷っておられたので、どんな業務に興味があるか尋ねたところ、採用の仕事に興味があるとのこと。そこで、社内で採用業務に関わることができないか、上司に相談することを進めました。
その結果、中途採用の業務に携わることができるようになりました。社歴も長く、会社のことをよく知っているSさんは、中途採用の面接でも、説明がより現場目線で、応募者からも好評だったそうです。
『今まで携わってきたことが、意外な形で活かせ、新しいことも学べて、やりがいを感じています』と、イキイキと話されていました。
成長を求めて、会社を辞めるという手段もあります。しかしながら、自分の成長は、自分で作り出せるということも言えます。まずは、Sさんが望む成長について、じっくりと考えてみるのもいいかもしれませんね」(櫻井さん)
優秀な人ほど、自分の成長を強く求めるものと言えますね。そして、自分の成長が会社の成長となり、貢献した分だけ、しっかりと評価してもらえると、やりがいを感じることでしょう。
一方で、それが叶わなかったとしたら、一気にモチベーションが下がることも。ここからは、優秀な人が会社を辞める理由を見ていきましょう。
優秀な人が会社を辞める理由は?
「あの人、いつの間に辞めてしまったの?」。そのような経験がある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。一人辞めると、次から次へと連鎖反応が起き、辞めていく場合もあります。ここでは、突然、優秀な人が会社を去る理由を紹介しましょう。
1:適切な評価がされていない
優秀な人は、自分の能力の高さや仕事の適性など、自分の評価の判断基準を明確に持っている場合が多いです。自ら考えて行動するので、与えられた仕事以上の成果を出そうとします。しかしながら、会社の評価制度があいまいで、年功序列にならった評価を行った場合、大きな不満を持つことに。
特に、上司が私的な思惑で部下の評価を行うようなことがあれば、一気にやる気が損なわれ、会社から気持ちが離れていくことになるでしょう。
2:仕事で成長を感じられない
職場で、尊敬する上司や、刺激のある同僚と一緒に仕事をすることは、優秀な人にとって、やりがいにもなります。自身の就労環境が、自己成長に与える大きさを知っているからです。そのため、自分が成長できない状態が長く続くと、新しい環境を求めようとするのは自然なこと。
経験値や知識を蓄え、人脈を広げていくことは、次のステップにもつながります。優秀な人ほど、現状に満足せず、歩みを止めることなく進んでいくものです。
3:やりたいことが見つかった
長年、成果を出し続け、評価を高く得られたとしても、優秀な人は満足しません。常に、自分の可能性や、ポテンシャルを信じている場合が多いもの。そのため、日頃からさまざまな事柄にアンテナを立て、常に情報収集を行い、仕事以外の人との交流も盛んです。
新しく得た情報や面白いアイデアで、自分のやりがいを見つけた時、会社を去るきっかけになる場合があります。
優秀な人が会社を辞める時の兆候とは?
会社に対する見切りが早いことは、優秀な人の特性でもあります。どんな態度や兆しが見られるのでしょうか。一緒にチェックしていきましょう。
1:有給で休むことが多くなる
体調を崩しても会社を休まず、仕事に責任とやりがいを感じている、優秀な人が、有休を取得することが多くなった場合、要注意です。残業も減り、定時で退社することも多くなる傾向にあります。
このような兆しが見られる場合、他の会社の面接を受けていると考えられます。優秀な人ほど、その人を逃したくないと、募集企業が面接期間を短く設定することも。その場合、急に有休や半休を取得することも多くなります。
2:会議での発言が減る
自分の意見や考えを、積極的に発言するのは、優秀な人の特徴の1つといえます。社員が一丸となって、会社を良くしていく、その中心に自分がいるという、気持ちの表れともいえますね。しかしながら、会社を辞めようと考えている場合は、発言することが少なくなります。
今まで活発に発言して議論を重ねてきた人が、急に会議で何も話さなくなった場合は、会社を辞めることを考えているのかもしれません。
3:後任の育成や、書類整理をし始める
優秀な人は、自分が立ち去った後のことも考えて、行動することが多いでしょう。後任になるような人に、自身のノウハウを引き継ぎ、現場が困らないようにします。今後、他の会社に移っても、今の会社が取引先となることも考えられますよね。「立つ鳥、跡を濁さず」を着実に進めていくものです。
整理整頓と言いながら、机の中や書類を整理していくことも。机周りがすっきりするころには、次の会社が決まっている場合もあるでしょう。
優秀な人が辞めた後の影響とは
優秀な人が辞めた後、残された組織や社員は、どんな状況に陥るのでしょうか。ここでは2つ紹介します。
1:仕事が円滑に回らなくなる
チームのリーダー的存在であり、まとめ役であり、よき相談相手である場合も多いはず。そんな、支柱が急になくなってしまったら、どうでしょう。仕事が回らなくなり、チームの士気も下がることが考えられますよね。
多くない社員数で、ギリギリ仕事を回している会社にとっては、一人の優秀な社員の退職が大きな損失になる場合があります。
2:他の社員が辞めるきっかけになる
優秀な人と一緒に働くことは、やりがいにもつながります。憧れていた先輩や上司は、社内でも一目置かれており、ともに働くことで、モチベーションが上がる人も多いことでしょう。
優秀な人が辞めることで、一気にやる気を無くす場合があります。すぐに後を追って辞めることはなくても、退職を考えるきっかけになる可能性があることを、頭の隅に置いておいてください。
優秀な人が辞めるのを防ぐ方法
優秀な人には長く勤めて欲しいと、企業は望むもの。そのためには、「この会社で働きたい」と、思えるような環境を整えることが重要となります。ぜひ、参考にしてみてください。
1:仕事の量と質を見直す
仕事が集中してしまうのは、優秀な人の特徴です。そのため、業務過多や長時間労働が発生しやすいことも。勤怠管理をしっかり行って、無理のない働き方に改善していきましょう。
組織内で仕事の可視化を行い、業務内容を見直します。優秀な人が抱えている業務で、他に任せられるようなものは、分担させ、負担を軽減することが必要です。
2:1on1面談で話を聴く
優秀な人ほど、人から相談されることが多く、自分から相談することが少ないと言えます。上司が定期的に、1 on 1面談で、話を聴く機会を設けてみましょう。どんなに優秀な人でも、悩みや不満がある状態が長く続くと、「退職」の文字がちらつくことにつながります。
今、どんな状態か、どんなことを改善したいと思っているのか。面と向かって話しにくいようであれば、お昼ご飯を一緒にとるなど、雑談から始めてみるのもいいでしょう。
3:人事評価を見直す
優秀な人が辞める原因の1つに、適正な評価を得られていない、と感じていることがあげられます。優秀な人に限らず、どの社員にも言えることかもしれませんね。
自分が達成した成果や、その過程の努力や頑張りについて、優秀な人ほど、納得のいく評価を求めるでしょう。曖昧な評価基準を見直すことも、社員の離脱を止める重要な施策になります。
最後に
優秀な人が会社を辞めることは、周りの社員が不安になることもあり、仕事への影響もあるでしょう。しかしながら、「自分がその人の代わりになり、大きく成長できるチャンスだ!」と、前向きにとらえる機会にもなりますよね。自分の成長に目覚めると、誰もが優秀な社員になれるのでは。自分のやりがいや強みに、目を向けてみるのもいいかもしれませんね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
※本記事はOggiブレーン会員に対して、2022年10月に行った「働き方アンケート」に回答していただいたOggi 読者の回答をもとにしています。
キャリアコンサルタント 櫻井宏美
2017年国家資格キャリアコンサルタント取得。保険薬局・薬剤師の新卒採用を担当。Well-beingが高まる働き方を模索&実践中。