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2022.12.09

「負け組」は真の「敗者」?「負け組」の意外な言葉の生まれや意味を深掘り!

「負け組」とは、「勝負事で敗れたか、ビジネスや人生などで失敗した人たち」のことを指します。しかし、当初はブラジルなどの日系移民の中で「第二次世界大戦に日本が敗れた」と認識した人たちのことを指していました。この記事では、「負け組」に対する捉え方についても説明します。

そもそも「負け組」とは?

私たちは、いろいろなシーンで「負け組」という言葉を目にしますよね。一般的なイメージでは「事業や人生、勝負事などに失敗した人たち」といったところかと思います。ところが、その語源には全く違う経緯が・・・。

この記事では、「負け組」という言葉の定義や、負け組に対する考え方について見ていきたいと思います。

「負け組」の定義

今日、「負け組」というと「人生やビジネスなどで失敗した人たち」を指しますよね? しかし、「負け組」という言葉は当初、今とはずいぶんと異なった意味を持っていました。

1945年、日本が第二次世界大戦で敗北します。この時、遠いブラジルに住んでいた日系移民が2つのグループに分かれました。「日本は戦争に勝った」と思い込んだ「勝ち組」と、「日本は戦争に敗れた」と認識した「負け組」です。この認識の違いが、やがて両グループの流血沙汰にまで発展します。このように「負け組」というのは、元々は「日本は戦争に負けた」と認識した人たちを指す言葉でした。

では、現代ではどうでしょうか? これについては、よく知られているように「勝負事で敗れたか、ビジネスや人生などで失敗した人たち」のことを指します。当初の意味とはかなり異なるのが分かりますね。ちなみに英語では「a loser in life」などと表現されます。

チェスのコマ
(c)Shutterstock.com

相対的な意味での「負け組」

おそらく、「自分は負け組で、よくない人生だ」と思っている人は多いのではないでしょうか? 激務についていけなくなり、診断を受けて「うつ」と判明した人は少なくありません。あるいは、収入が少ないことや出世していないことを気にする人もいるでしょう。

ここで、まず問い直す必要があるのは「勝ち負けとは何か」ということです。私たちは、収入や職業、肩書や所属している会社などの特徴で「あの人は勝ち組だ」「この人は負け組だ」と判断しようとします。

しかし、「勝ち負け」を判断する根拠となるものは、そもそも誰かが作ったものではないでしょうか。あるいは、生まれた時から学校や会社、友達など周囲から言われて「それに価値がある」と信じているからではないのかと。

誰かが作った基準に従って、「勝ち負け」に一喜一憂するということ。それはある意味、「基準を作った人に対して遅れをとっている」、つまり「負けている」と見なせるのではないでしょうか。

具体例をいくつか示します。例えば、SEO記事。多くのライターは、自分が書いた記事が検索結果の上位に表示されるように、検索エンジンの特性やルールを調べ、工夫を凝らします。そして、各々のライターは、自分が書いた記事が他の記事よりも上位に表示されれば、「やった」と思うことでしょう。そして、「他のライターに勝った」と思うかもしれません。

しかし、もし検索エンジン側が「この記事は検索結果に表示されないようにしよう」と手を打てば、全くヒットしなくなります。そうでなくても、検索エンジン側がアルゴリズムやルールを変えれば、書き手としてはそれに従う他ありません。この場において、真の「勝者」は検索エンジンです。なぜなら、自由自在に記事の表示結果を操作できるから。ライターは、検索エンジンの手の平の上にいると言えるでしょう。

スポーツの世界においても、状況は似ています。例えば、1956年の豪州メルボルン五輪における平泳ぎ200メートル決勝で、古川勝(ふるかわ・まさる)選手は、潜水泳法によって圧倒的な勝利を収めました。2着以下に2秒以上もの大差をつけての優勝でした。

しかし、国際水泳連盟はメルボルン五輪の後、潜水泳法に関する規定ができました。飛び込み時とターンのみの潜水以外は、長距離の潜水が禁止されたのです。このルール改正は、古川選手にとって大きな打撃となり、日本水泳界も次の金メダルは、16年後のミュンヘン五輪まで待つことになったのでした。ある意味、真の「勝者」は国際水泳連盟だったのかもしれません。

クロールを泳ぐ女性
(c)Shutterstock.com

このように、真の「勝者」とは、競い合いの場を主宰する者であると言えるでしょう。「勝者」も「敗者」も主宰者に従うことになります。これは、今の私たちが置かれている状況ともよく似ているのではないでしょうか? 私たちも、主宰者が決めた物差しに従って、「勝ち組だ」「負け組だ」と考えているわけですから。そして、その物差しは絶対的なものではないのです。

まず、自分が相対的な「勝ち負け」にとらわれていることを認識し、そこから抜け出すにはどうするかを考える必要があるでしょう。

自分自身の価値観・軸を持つ

「自分は純粋にこのような生き方をしたい」「こうすることが正しいと思う」などと自分が心の底から信じるような価値観・軸を持つことが大切ではないでしょうか。そこには、「相手がどう思うか」よりも「自分がどうありたいか」という主体的な視点があるのです。

「収入がこれだけあるから勝った」「いい会社に入ったから勝ち組」といった考え方は、自らが「勝ち組」であることを判断する主導権を他者に渡していることになります。相手が「あの人は勝ち組だな、うらやましい」と認識してこそ、「勝ち組」になる。しかし、それは自分が本当に心から信じているものなのでしょうか。「価値がある」と信じ込まされているだけかもしれません。

このように、相手によって比較される・査定される状況から脱し、自らの心の軸を持つことが重要なのかもしれませんね。

山の上から町をみる女性
(c)Shutterstock.com

みんな、「負け組」になる?

さて、最近の日本の状況を見ると、物価の上昇や相次ぐ増税などで生活水準は日を追うごとに下がりつつあるようです。貧困層も増加傾向にあると言われます。しかし、根本的な解決手段は見つかっていません。

今後、予想されるのは「一億総中流」から「一億総下流」への移行です。つまり、みんながみんな、「負け組」に「転落」していく…。ある意味、「平等」です。一部の人たちは「勝ち組」に属すでしょうが、社会や国全体としては困窮し活力を失い、すっかり弱体化してしまっている。日本という国自体が「負け組」になっていくのかもしれません。「勝ち組」であっても、外国から見れば、「衰退した国」と捉えられてしまうのかもしれません。

今後、このような事態が想定される中で、どうやって各人が尊厳を持って生きていけるかを考えることは、差し迫った課題なのかもしれません。

最後に

以上、「負け組」について見てきました。いわゆる「勝った、負けた」というのは相対的なものでしかなく、真の「勝者」は勝ち負けのルールを決めている人たちであると言えます。

まずは、相対的な優劣をつけられる場から抜け出し、自分自身が信じる価値観・軸を持ち、どのような道を歩むかを考える必要があるでしょう。比較することをいったん停止するわけです。

そして、それは不確実性が増す今後において、ますます重要になってくるのかもしれません。何しろ、「正しい」「当たり前」と思っていたものが崩れていく時代ですから。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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