「心に刺さる」とは? 2つの意味を紹介
「心に刺さる」という表現は皆さんもよく使いますよね。実はこの言葉、2通りの意味で使うことができます。まずはそれぞれの意味を解説していきます。
2つの意味
「この言葉すごく心に刺さった」と表現する際、「心に刺さる」の意味合いとして2通りの捉え方ができます。
1つ目は攻撃される、傷つくという意味。「上司のダメ出しが心に刺さった」という例文では、ダメ出しをされて心が痛んでいる様子が見えます。「刺さる」というのは、とげなどの鋭利なものが食い込む状態をイメージさせます。それが心に刺さると言うのですから、グサッと傷つけられるというニュアンスで使われるのが一般的でした。
一方で、最近は「心に刺さる」が異なる表現として使われることが多くなってきました。2つ目の捉え方としては、感動や感心、共感を意味するパターンです。1つ目で紹介した意味合いはネガティブなものでしたが、こちらは比較的良い意味で使うことが多いでしょう。映画や音楽で素敵な作品に出会った時に「これは心に刺さる」と褒め言葉として表現するのです。
この新しい「刺さる」の表現は2015年に新語として紹介されました。ともに紹介された語句の中には「じわる」や「言うて」などの若者言葉も見られます。従来は「心に刺さる」「胸に刺さる」というように使われていたのに比べて、最近では「刺さる」の単語のみで使われるようになったことが大きな変化でしょう。
【刺さる】
[動ラ五(四)]
(1) 先のとがった物が他の物に突き立つ。「とげが—・る」
(2)(比喩的に、刺されたような)強い衝撃を受ける。また、深い感銘を与える。「先輩のひと言が—・る」「多くの人の心に—・るコンテンツを生み出す」→胸に刺さる
<小学館デジタル大辞泉>
似ている言葉「胸に刺さる」「言葉が刺さる」とは?
「胸に刺さる」や「言葉が刺さる」も、今では良い意味と悪い意味の両方で使われます。「胸に刺さる」は「心に刺さる」と同義であると捉えて良いでしょう。「言葉が刺さる」はどちらかというと、傷つくという意味で使われることの方が多いです。しかし、これも2通りの意味で捉えることができるため、誤解無く伝えたい時は次で紹介する言い換え表現を用いましょう。
「心に刺さる」の言い換え表現は?
先ほど解説したように、「心に刺さる」という表現は意味合いが曖昧になってしまうケースがあります。そのため、文脈で意味を判断する必要があるでしょう。ここでは「心に刺さる」の言い換え表現を紹介していきます。誤解を招かないように、言い換えも上手く活用していきましょう。
「傷ついた」という意味の言い換え
まずは従来の、傷つくという意味で言い換え表現を紹介していきましょう。主に「ダメージを受ける」「心を踏みにじられる」「胸が痛む」「胸がえぐられる」などがあります。どれもショックを受けた際に使うフレーズです。
「感動する」という意味の言い換え
次は、良い意味での「心に刺さる」を言い換えた表現を紹介していきます。「感銘を受ける」「胸を打たれる」「心に染みる」「心をわしづかみにされる」「心が揺さぶられる」などたくさんあります。「言葉が刺さる」をよい意味で表現したい時には「言葉が染みる」などとすると良いでしょう。
心に刺さる名言や言葉4選
「心に刺さる」の2つの意味について理解していただけましたか?最近では「感動する」という意味で使われることが多くなってきているようです。次は、心に響く名言や言葉を4つ紹介していきます。皆さんの知っている、有名なフレーズもあるかもしれません。
- 「The past can hurt. But the way I see it, you can either run from it, or learn from it.(過去の出来事に傷つけられることも、もちろんある。しかし私が思うに、そこから逃げることもできるが、そこから学ぶ事もできるのである)」(ウォルト・ディズニー)
- 「If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?(もし今日が人生で最後の日になるとしたら、今やろうとしていることは本当にやりたいことなのか?)」(スティーブ・ジョブズ)
- 「どんなに悔いても過去は変わらない。どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。今、現在に最善を尽くすことである。」(松下幸之助)
- 「人生は楽ではない。そこが面白い。」(武者小路実篤)
「The past can hurt. But the way I see it, you can either run from it, or learn from it.(過去の出来事に傷つけられることも、もちろんある。しかし私が思うに、そこから逃げることもできるが、そこから学ぶ事もできるのである)」(ウォルト・ディズニー)
こちらはディズニーランドの生みの親で知られているウォルト・ディズニーの名言です。幼少期から絵を描くことが好きだったウォルト。最初は漫画家を目指していたものの、あるアニメ作画の仕事をきっかけにアニメに興味を持つようになりました。ハリウッドで会社を設立し、今ではウォルトの作ったディズニーを知らない人はいないほどです。
ウォルトにも裏切りや倒産などの辛い過去がありました。それを乗り越え、成功を収めた彼だからこそ残せた名言なのかもしれません。
「If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?(もし今日が人生で最後の日になるとしたら、今やろうとしていることは本当にやりたいことなのか?)」(スティーブ・ジョブズ)
今では世界中の多くの人が使っているiPhone。スティーブ・ジョブズはApple社を創設し、iPhoneやiPadなどのデバイスを生み出した革命家です。様々な名言を残しているジョブズですが、彼の名言の多くは時間に限りがあることを伝えてくれます。
自分のやりたいことを見つけ、そこに人生を費やした彼の生き方には心打たれるものがあります。一度きりの人生を悔いなく過ごしたいものです。
「どんなに悔いても過去は変わらない。どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。今、現在に最善を尽くすことである。」(松下幸之助)
松下幸之助とは、日本大手企業であるパナソニックの創立者です。実業家でありながら経営家の側面も持ち合わせた彼は、飛躍的に事業を拡大させていきました。1946年にはPHP研究所を、1979年には松下政経塾を創設しています。
彼の名言からは「今この一時を大切にしなさい」というメッセージが読み取れます。誰しも後悔することはあるでしょう。しかし、過去を振り返っていても時間は進んでいくだけです。それなら、今を良くするための行動を取るべきだということでしょう。
「人生は楽ではない。そこが面白い。」(武者小路実篤)
武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)は大正・昭和時代の小説家です。他にも劇作家や詩人、画家など多様な顔を持ち合わせており、多くの作品を生み出しました。東京都にある調布市武者小路実篤記念館に彼の作品が収蔵されています。
人生の中で挫折してしまう経験はあるでしょう。しかし楽なだけの人生はなく、誰にでも辛い経験はあるはず。彼の言葉で前向きになれるような気がします。
誤解を招かないよう言い換え表現も活用を
今回は「心に刺さる」の意味から「心に刺さる」名言まで紹介してきました。「心に刺さる」を使う際には誤解が生まれないよう、上手く言い換え表現も活用していきましょう。
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